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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「ベン・トー7.5 箸休め」 アサウラ

2011-07-23 | 食・料理
『大人は子供の前では常に格好良く、立派であらねばならないのだ』
 企業戦士サラリーマン、レッドの矜恃。

 半額弁当を奪い合って死闘を繰り広げるのが生き甲斐の者もいれば、そんな行為の何が面白いか理解できない者もいる。人の趣味嗜好なんてそんなものだ。
 茉莉花のおねだりを断り切れず、鎗水は佐藤と白粉を連れて一泊二日の小旅行に出かけることになったが、企画を立てた著莪は予定が合わず見送るはめになり……。

 書き下ろしの中編と、ウェブやジャンプSQで発表されていた短編をまとめた外伝集。HP同好会が繰り広げる温泉旅行の顛末は、佐藤洋の地獄極楽丸。この立場、替わって欲しいヤツ、いくらでもいるよね!?
 レトロゲームへの熱い思いと、思わずお腹が減ってしまうほど料理の味についての描写がみっちり詰まった青春小説。アニメ化で、この熱い情熱がどこまで再現されるか気になるところです。

【ベン・トー】【箸休め】【Wolves, be ambitious!】【アサウラ】【柴乃櫂人】【スーパーダッシュ文庫】【企業戦士サラリーマン】【大衆律動体操】【うなぎ茶漬け弁当】【特別事象調査係】【心霊現象調査研究部】【パンツァードラグーン】【脂汗】【赤いランドセル】【お好み焼きサンド】【バレンタインデー】
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★サークル小説(編集中)

2011-06-28 | ランキング・カテゴリー
 ライトノベルでも最近はがちがちのファンタジーやSFは流行らないよとかいわれると、なんとなく日常系学園ものが多いような気がしますが、そんなことは全然無くて、ましてサークル活動をメインとした日常系小説は皆無に近いようです。まんがタイム×××とか読んでいると、そんな感じの4コマまんがばかりなので意外です。
 で、適当に感覚で多いとか少ないというのも良くないと思うので、拾ってみました。
 とりあえず2005年1月から 2011年3月までに刊行された、電撃文庫、富士見ファンタジア文庫、角川スニーカー文庫、MF文庫J、ファミ通文庫、スーパーダッシュ文庫、GA文庫、ガガガ文庫、一迅社文庫、メガミ文庫、ソノラマセレクション、徳間デュアル文庫を目録でチェックし、主な登場人物がすべて小学校から大学までのサークル(公式・非公式を問わない学生・児童の集合体で、団体として存在が周囲から認識されているもの)に所属しているものを拾い出してみました。
 これ以外のものについても、手持ちで内容が確認できるものについては拾い出しました。


【仕事する生徒会】
「くじびき・アンバランス」生徒会/浜崎達也/MF文庫J
「創立!?三ツ星生徒会」生徒会/佐々原史緒/ファミ通文庫
「生徒会ばーさす!」生徒会/番棚葵/スーパーダッシュ文庫
「うちの会長は荒ぶる虎猫に似ている。」生徒会/空埜一樹/HJ文庫
「碧陽学園生徒会議事録」生徒会/葵せきな/富士見ファンタジア文庫
「会長の切り札」生徒会/鷹見一幸/角川スニーカー文庫
「マリア様がみてる」山百合会/今野緒雪/コバルト文庫

【ぽややんと日々を送りながら恋に悩んだりする日常系文化部】
「メグとセロン」 新聞部/時雨沢恵一/電撃文庫
「“菜々子さん"の戯曲」映画研究会/高木敦史/角川スニーカー文庫
「ヒメゴトシステム」放送部/神崎リン/ラブコメ/角川スニーカー文庫
「ぼいレコ!」第二放送部/夏緑/HJ文庫
「ラノベ部」軽小説部/平坂読/MF文庫J
「すてっち!」手芸部/相内円/HJ文庫
「らじかるエレメンツ」化学実験部/白鳥士郎/GA文庫
「助けて秋吉くん!!!」模型部/不破悠/HJ文庫
「みすてぃっく・あい」美術部/一柳凪/ガガガ文庫
「水平線まで何マイル?双つの翼」宇宙科学会/伊吹秀明/HJ文庫

【日常系運動部】
「ロウきゅーぶ!」女子バスケ部/蒼山サグ/電撃文庫
「MiX!」女子新体操部/岩佐まもる/角川スニーカー文庫
「私闘学園」格闘技同好会/朝松健/ソノラマ文庫
「暴風ガールズファイト」ラクロス部/佐々原史緒/ファミ通文庫
「○×△べーす」野球部/月本一/ファミ通文庫
「せんすいかん」水泳部/水城正太郎/HJ文庫
「吉祥GOOD☆LOOKS」野球部/若王子ラムネ/ガガガ文庫
「学校の階段」階段部/櫂末高彰/ファミ通文庫

【ミステリ系文化部】
「はい、こちら探偵部です」探偵部/似鳥航一/電撃文庫
「子ひつじは迷わない」生徒会/玩具堂/角川スニーカー文庫
「"文学少女"」文芸部/野村美月/ファミ通文庫
「初恋ソムリエ」吹奏楽部/初野晴/角川書店
「ほうそうぶ2」放送部/宮沢周/スーパーダッシュ文庫
「りっぱな部員になる方法。」ミステリー研究部/午前三時五分/スーパーダッシュ文庫

【人助けするボランティア系】
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」奉仕部/渡航/ガガガ文庫
「オオカミさんと亮士くんとたくさんの仲間たち」御伽銀行/沖田 雅/電撃文庫
「つばさ」つばさ/麻生俊平/MF文庫J
「えむえむっ!」第二ボランティア部/松野秋鳴/MF文庫J
「戴天高校勝利部」勝利部/夏希のたね/スーパーダッシュ文庫

【オカルト・バトル系】
「恋する鬼門のプロトコル」超常現象研究会/出口きぬごし/電撃文庫
「ほうかご百物語」美術部/峰守ひろかず/電撃文庫
「戒書封殺記」図書部/十月ユウ/富士見ファンタジア文庫
「いつか天魔の黒ウサギ」生徒会/鏡貴也/富士見ファンタジア文庫
「丘ルトロジック」オカルト研究会/耳目口司/角川スニーカー文庫
「末代まで!」心霊研/猫砂一平/角川スニーカー文庫
「荒瀬はるか、容赦なし!」化学・物理部(化物部)/熊谷雅人/MF文庫J
「コトノハ遣いは囁かない」学園伝説研究会/木村航/MF文庫J
「疾走する思春期のパラベラム」映画部/深見真/ファミ通文庫
「ココロコネクトヒトランダム」文研部/庵田定夏/ファミ通文庫
「ずっとそこにいるよ」文芸部/早見裕司/理論社
「モノケロスの魔杖は穿つ」地域社会研究部/伊都工平/MF文庫J
「戦え!松竹梅高等学校漫画研究部」漫研部/番棚葵/スーパーダッシュ文庫

【暴走する理系】
「ピクシー・ワークス」天文部/南井大介/電撃文庫
「キケン」機械制御研究部/有川浩/新潮社
「ほうかごのロケッティア」ロケット研究部/大樹連司/ガガガ文庫

【実体不明で主宰者のひまつぶしが主目的】
「帰宅部のエースくん。」帰宅部/ハセガワケイスケ/電撃文庫
「ハロー、ジーニアス」第二科学部/優木カズヒロ/電撃文庫
「ぷれいぶっ!」ぷれい部/高遠豹介/電撃文庫
「藍坂素敵な症候群」医術部/水瀬葉月/電撃文庫
「先輩とぼく」ミステリー研究会/沖田雅/電撃文庫
「涼宮ハルヒの憂鬱」SOS団/谷川流/角川スニーカー文庫
「僕は友達が少ない」隣人部/平坂読/MF文庫J
「ようこそ、無目的室へ!」無目的部/在原竹広/HJ文庫
「GJ部」GJ部/新木伸/ガガガ文庫

【公然の秘密の裏組織】
「ベリーベリー・エンジェルス」壱伍機関(スパイ部)/藤本圭/角川スニーカー文庫
「恋愛撲滅隊コイスル」組織〈コイスル〉/葛西伸哉/ファミ通文庫
「ルゥとよゐこの悪党稼業」悪党稼業部/藤谷ある/HJ文庫
「セク研!」セク研/大泉りか/ガガガ文庫

【ゲーム系】
「ギャルゲーマスター椎名」ギャルゲー部/周防ツカサ/電撃文庫
「げーまに。」女子ゲーム部/あきさかあさひ/MF文庫J
「彼女と二人で「C」体験!」マイコン部/石川ユウヤ/MF文庫J
「幻月のパンドオラ」電芸部/桃乃蛍/スーパーダッシュ文庫

【食でバトル】
「ベン・トー」ハーフプライス部/アサウラ/スーパーダッシュ文庫
「激辛!夏風高校カレー部(いもうと付き)」カレー部/神楽坂淳/スーパーダッシュ文庫
「喰」過食倶楽部/内田俊/MF文庫J



 やはりコミックと比べると(絶対量が少ないせいもあるかもしれないけど)運動部系の話が少ないですね。野球小説とかサッカー小説とか応援団小説ってほとんどありません。
 まあ、これだけリストアップしてもぜんぜん完璧じゃあありませんし、このリストに何か意味があるかというと自己満足の逃避でしかないわけですが。暇じゃないんだけどねえ。
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「ベン・トー7~真・和風ロールキャベツ弁当280円」 アサウラ

2011-03-02 | 食・料理
「敵は……味方。強い敵は、すなわち強い味方でもある」
 狼ならば邪魔になる相手は倒せばいい、負けても何度でも食らいつけとオルトロス、沢桔梗の言葉。

 親に仕送りをすっかり忘れられていて、佐藤は半額弁当すら買えないほどの金穴状態に。
 しかも槍水先輩は修学旅行で1週間の不在……というときに、HP同好会の部室にふらりと現れたのは、部のOGだという烏頭みことだった。
 なんのつもりか部室に居座るみことは、周囲に静かなる毒をまき散らし始めた……。

 烏頭……ガンコナーに喰われたな……。

 真面目な人間が決まったことを真面目にやるのを観ていたって面白くない。反対の反対も同じで、バカな人間がなにも考えずにバカなことをやるのを観ていたって面白くない。真面目な人間が真面目にバカなことをやるとき、バカな人間が真剣に真面目なことに取り組んだとき、そのギャップがドラマを生み、笑いを生み、感動を生むのです。
 この話も、半額弁当を取り合っての白兵戦なんてバカなことに真っ正面から挑んでいるから面白い。みんな真剣に考え、悩み苦しみ、支え合い、奪い合い、良き敵として君臨しているからこそ、勝って食べる弁当は美味いし、負けて食べるカップ麺はしょぼいのです。

 今回は、オルトロスがきっちりまとめた回。白梅パパが登場し、白粉はすっかり腐っていて、ウィザードは最後までカッコイイのです。茶髪の赤丸急上昇と、新キャラのウルフヘアの急成長も楽しみです。それに比べて顎髭と坊主はかなり脇役濃度が上がりました。大丈夫でしょうか?

【ベン・トー】【真・和風ロールキャベツ弁当280円】【アサウラ】【柴乃櫂人】【スーパーダッシュ文庫】【ウルフズベイン】【ガンコナー】【チーズ・フォンデュ】【料理の鉄人】【キムチ鍋】【修学旅行】【ラペリング降下作戦】【マラソン】【GG】【多国籍軍の合同軍事演習】
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「ベン・トー6~和栗おこわ弁当310円」 アサウラ

2010-08-31 | 食・料理
 文化祭も間近なある日。
 佐藤洋は学校のすぐ近くにスーパー・マーケットを見つけた。こんな近くにあるなら、今まで何故行かなかったのかと訊ねる佐藤に、槍水はあの店は特殊だから近寄らない方が良いと警告するのだが……。

 かねてより噂の、槍水先輩の年の離れた妹・茉莉花の登場編、烏田高校の文化祭です。前回、主人公不在と見間違えてしまったくらい扱いの悪かった口絵ですが、さらにひどいことになってます……。

「これはな、犯罪じゃない。……ロマンだよ」

 16歳高校生と20歳超えているだろう男子がそろって、10歳の女の子の下半身を仁王立ちでガン見するのも、ロマンの探求者であるからだと<毛玉>の主張。

 今年のSF大会『TOKON10』にまで出張してきた本屋の店舗では、ゲストで来場している作家やマンガ家の作品が平積みで売られていましたが、そんな中に異彩を放っていたのは『ベン・トー』。
 なんで『ベン・トー』?と思っていたら、作者の人がゲスト参加していたのですね。「セガをかたる2010<メガドライブ秘話>」なんて企画で、みんなで社長の名刺とかの話をしてましたよ……(ちらっとだけ見た)。確かに、この話の何割かはレトロゲームのネタですね。(2010.8.31)

 面白かったので、そのままの勢いで1冊目から読み直し。年相応にエッチで狡くて、でも気性はまっすぐな主人公の、熱くて笑えて夜中に読むとお腹が減って仕方がない話です。(2010.8.31)

【ベン・トー】【和栗おこわ弁当310円】【アサウラ】【柴乃櫂人】【スーパーダッシュ文庫】【アフターバーナー】【レイアース】【青の6号】【ガリー・トロット】【文化祭】【イチジク浣腸】【特性和牛ステーキ弁当(山葵ソース)】【ペド野郎】【移動販売】【ビッグ・マム】
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「ベン・トー5.5 箸休め~燃えよ狼」 アサウラ

2010-04-27 | 食・料理
「あたしが誕生日プレゼントだよ!」
 そういって許されるのは美少女だけです。少し照れているとなおよし。

 佐藤洋はHP同好会や高校見学の中学生たちを引き連れ、従妹の著莪あやめの高校の文化祭へと繰り出す。
 そこは大学の経済学の教授や学生たちの指導のもと、近隣の商店とタイアップしたバザーが出るなどさすがエリート校という盛況さだったが、メインステージでは投票で選ばれた美少女の手作り弁当争奪戦が繰り広げられようとしていた……。

 周囲に不幸をまき散らす無垢な美少女あせびの本領発揮の文化祭編他、番外の箸休め編で中短編集。おまけに半額弁当シールが入ってます。しかし、この作者、JoJoが好きだなあ……というか、スーパーダッシュ文庫が集英社だという利点をフルに活かしてますね……。

【ベン・トー】【箸休め】【燃えよ狼】【アサウラ】【柴乃櫂人】【スーパーダッシュ文庫】【JoJo】【手作り弁当】【文化祭】【筋肉刑事】【侵略】【ファンタジー編】【誕生日】
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「ベン・トー5~北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円」 アサウラ

2010-01-28 | 食・料理
『エロい女性を軽蔑する男がこの世のどこにいようか』

 スーパーマーケットの半額弁当を巡って夜ごと戦いを繰り広げる狼たちの物語、熱血武闘派弁当小説「ベン・トー」も5巻。超能力も拳法の奥義も出てこないのに、ここまで熱い闘いが繰り広げられるというのは不思議。『私闘学園』が好きで、メシの美味そうな話が好きな人には二重丸でお奨め。
 今回は合宿直後の帰省した実家での顛末から、動き始めた<ダンドーと猟犬群>との激闘、そしてあやめと洋の幼馴染みにして妹系アイドルの鬼灯ランの出現まで。名も分からない茶髪少女はあいかわらず強いなあ。こういう名も知らぬ男女がときには戦い、ときには協力する物語は好き。<氷結の魔女>と<オルトロス>沢桔姉妹のタックも熱い。エースのジョーとか普通に出てきそうです。
 しかし、カラー口絵のツインテールの美少女に「佐藤洋(主人公)」とか書いてあってびっくりしたけど、主人公が女装したとか性転換したとかではなく、単に写植ミスだった模様。これ、鬼灯ランでしょ?

【ベン・トー】【北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円】【アサウラ】【柴乃櫂人】【スーパーダッシュ文庫】【ダンドーと猟犬群】【ホブヤー】【ホッケ弁当】【肉詰めピーマン弁当】【暗闇でドッキリ】【交換学生】【暗黒太極拳】【JoJo】
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私的年間ベスト2009

2009-12-31 | その他フィクション
 まあ、大晦日でもありますし、今年刊行された本の中で面白かったものを選んでみましょう。シリーズものの場合は2009年中に新刊が出ているものを対象として、とりあえず12作品です。以下順不同。

「ガンパレード・マーチ 九州奪還」 榊涼介
 ガンパレも「九州奪還」編は今年完結。ゲームの枠を超えた激戦が繰り広げられました。キャラが活きていて、戦術から政略までまんべんなく押さえていてと文句がつけられません。

「鬼切り夜鳥子」 桝田省治
 女子高生陰陽師、鬼切り夜鳥子も今年で完結。駒子と愉快な仲間たちの冒険は好きなシリーズなだけに、短編集の形でも良いので後日談が出ることを期待しています。

「“文学少女”見習いの、初戀。」 野村美月
 これは高校生の長男から勧められたシリーズ。読書ガイド+日常系ミステリの文学少女シリーズも本編は完結し、この後日談と短編集がぽつぽつ出ています。

「サマーウォーズ」 岩井恭平
 映画のノベライズだけれど、原作に寄りかからずに小説として面白いです。小説は映像じゃないということを熟知して、斬り捨てるところは捨て、加えるところは加えて完成度を上げつつ、あくまでもサマーウォーズなのです。

「ベン・トー4~花火ちらし寿司305円」 アサウラ
 なんで安売り弁当の取り合いを、ここまで熱く語らねばならないのでしょうか!島本和彦がコミック化してもおかしくない、馬鹿馬鹿しくも熱い狼たちの戦いを描いた熱血青春活劇。

「紫色のクオリア」 うえお久光
 ラノベの文法で書かれた、認識と時間移動と平行宇宙を扱ったハードSF。今年のベストSFを選ぶなら、これをベスト10にいれることを検討しないのは見識が足りないというものです。

「宇宙をかける少女」 瀬尾つかさ
 人工知能を搭載した移動型スペースコロニーのどつき合いなのに、古き良き「センス・オブ・ワンダー」を堪能できる正統派スペオペ。TVアニメのノベライズだけれど、本編とはかなり違います。

「マジカルパンプキン44キロ」 木村航
 別作品の外伝だけれど単独の作品として愉しめる、悪魔も勧めるとっても健康的なダイエット・ファンタジー。木村航の陽の面が凝縮した1冊。

「さよならの次にくる」 似鳥鶏
 学校の内外で起きる不可解な事件に挑む連作短編集で、日常系学園ミステリの佳作。構成とキャラ造型が巧いと思います。大きな謎と小さな謎、正面から挑む謎と伏線としてこっそり提示された謎のバランスも良いですね。

「15×24」 新城カズマ
 15人の少年少女の群像劇で海外ドラマ『24』みたいな話をやろうとした意欲作。最後まで予測できないハラハラ展開。

「ほうかごのロケッティア」 大樹連司
 ロケット打ち上げ小説。これで「あれは良い思い出だったよな」で終わると普通の小説。つかーーんと突き抜けたから面白い。

「阪急電車」 有川浩
 これもグランドホテル形式というんでしょうか。電車を軸に人間模様を描いた連作短編集。元気の出る良い話。自衛官が出てこない話だなあと思って読んでいたら、ミリオタは出てくるのでちょっと笑いました。

 次点は「ラ・のべつまくなし」「翼の帰る処」「武士道シックスティーン」といったところかな。

 こうやってみると国産ライトノベルが目立ちますね……。
 ハードカバーは重くて持ち歩きしにくいし、分厚い本はじっくり読んでいる暇がないのです。最近紹介される海外SFあたりに顕著な傾向ですが、とにかく分厚い上にすぐシリーズ化します。そういうのはキライなんですよね。そんなに枚数を費やさないと語れない話なのかと。いくら活字のポイント数が大きくなって行間が開いたとしても、最近の本って軒並み70年代80年代の倍の厚みじゃないですか。じゃあ、中身が倍になっているかといえば、そうとも言い切れない気がします。
 そういうわけで、ついつい奔放なアイデアがコンパクトにまとめられていて、バリエーション豊かなライトノベル中心になるのも自然な流れです。アガサ・クリスティだって、コナン・ドイルだって、コードウェイナー・スミスだって、A・B・チャンドラーだって、ハリイ・ハリスンだって、キース・ローマーだって、ジョン・ウィンダムだって、今のラノベ並みの枚数で面白かったじゃないですか。キャンベルの「彷徨える艦隊」やウェーバーの「反逆者の月」も面白かったけれど分厚くて読むのに気合いが必要です。同じ面白さならコンパクト優先というのが今年の私です。
 さて、来年はどんな作品に巡り会えるでしょうか?

 皆さま、良いお年をお迎え下さい。
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「ベン・トー4~花火ちらし弁当305円」 アサウラ

2009-07-27 | 食・料理
「負けるのはともかく、出来ることをしないで諦めるなんてのは嫌いなんだ」
 <湖の麗人>著莪あやめの言葉。

 夏休み強化合宿をおこなうことになったHP同好会が向かった観光地はおりしも夏祭り。田舎の小さなスーパーマーケットにも、半額弁当争奪戦に参加すべく全国各地から続々と強豪が集まってくる……。

 そろそろ新刊が出ているだろうと覗いたリアル本屋で無事に入手。買って帰ってさあ読もうと思ったら本がない。高校生長男が速攻で奪って逃げようとするものですから、「金払った者が先じゃ!」と5分49秒のバトルの末に奪還!



 嘘です。ごめんなさい。
 親の一喝で取り戻しましたが、まったく油断も隙もありません。人の本に手を出す暇があったら、夏休みでも1日最低8時間はきちんと勉強していれば良いのです。1日24時間、8時間眠ってもまだ16時間余るんだ。8時間しっかりやってもまだ時間は半分残っている。今の3年間で、これから先40年以上の人生が方向づけられちゃうんだぞー!
 学歴にこだわるわけじゃないし、高校で勉強したことの半分も実社会で使わないのも承知だし、中卒高卒でみんなに尊敬されている人やお金を稼いでいる人はいくらでも身近にいるけれど、自分が選びたいと言った道がそれだけの学習を必要とする人生なんだから、言った以上はやれよ。




……ってなことも考えずに突っ走るのが高校生という時代。中学生も大学生も社会人もいるようですけれど、この話はまさに「半額弁当」という他人には理解しがたい一事に青春のすべてをぶつける狼たちの物語。そのうち石岡くんの逆襲がありそうな気がしますが、ついに4巻。狼たちのバトルは馬鹿馬鹿しくもあくまで熱く、次々に登場する弁当は本当に美味そうで、そして若者たちは良くも悪くも青春まっただ中です。著莪がいちばん熱いなあ。こういう子、好きだよ。

 そういえば、ゲーム仲間やPBMで知り合った面々にも、こういう勢いで方向変えたまま突っ走ってしまった人が多かった気がするなあ。たぶん、音信不通になるような人は真っ当な道を選んだってことなんだろうね。おかげさまで、長い付き合いをさせていただいております……。
 今になって思えば因果応報。親としては歯がゆいけれど仕方がないわなあ。最後は自己責任、自分の尻ぬぐいをするのは自分だけだし、ちょっと泣き笑いしながら読んでおります。

【ベン・トー】【花火ちらし弁当305円】【アサウラ】【柴乃櫂人】【スーパーダッシュ文庫】【陰毛】【フォー・オークロック】【父と母が結婚した理由】【お粥弁当】【まぐろカツ弁当】【どん兵衛】【強化合宿】【セガガガ】【サラマンダー】【ナックラヴィー】【アン】【東北のオカリナ】【企業戦士サラリーマン】【ギリー・ドゥー】【大顎】【天井の蜘蛛】
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「ベン・トー3~国産うなぎ弁当300円」 アサウラ

2009-07-18 | 食・料理
 突如、東区の狩り場に出現した2人の美少女、沢桔梗と沢桔鏡。まったくの無名ながら、彼女らのコンビネーションの前には二つ名を持つ狼たちも敵ではなかった。二人にして一体の狼、双頭の黒き獣の名を持つ双子姉妹は狩り場を西区へと移していった……。

「出る杭は打たれる。だが、打っても引っ込まない杭があったとしたら、お前ならどうする?」
「死ぬ気でぶっ叩く。力ずくで無理やり打ち込む」

 頭の悪い答だけれど、だからこそバカでも佐藤が主役なのだ(成績はそこそこ良いけどね)。

 スーパーマーケットで半額値引きの弁当を争う狼たちの物語の第3弾。今回のメインは「うなぎ弁当」。敵は……、つくづく面倒くさい姉妹ですね。
 風邪をひいてちょっと弱気な槍水仙、発酵臭漂う白粉花、なんのかのといってもけなげな著莪あやめ、ティーラ・ブラウンの対極に位置する井ノ上あせび、と今回は脇に回ってしまった感じのキャラもしっかり存在感をアピールしています。果たしてお守りは間に合ったのでしょうか? 忘れっぽいからなあ。
 しかし、今回最大のバカは、国産うなぎを炭火で焼いた弁当をいきなり300円で売るオヤジですね。

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「ベン・トー2~ザンギ弁当295円」 アサウラ

2009-07-17 | 食・料理
「心を濁すな、狙いを澄ませ。今、思うべきは一つだけだ」
 戦いの場を制するのは力でも技でもなく、意志の力だと<氷結の魔女>こと槍水仙。香港あたりで実写映画化してくれないかね?

 HP同好会に入った佐藤洋の下宿にひょっこり現れたのは、幼なじみにして同い年の従姉・著莪あやめ。エロ本をあさりまくり、一日中テレビゲームで遊びほうける金髪の美少女だったが、実は著莪こそ<湖の麗人>の二つ名を持つ狼であり、佐藤たちの西地区に東地区から使者として送り込まれた捨て駒だった……。

 閉店間際のスーパーマーケットで半額弁当を求めて戦う、誇り高き狼たちの物語の第2弾。誇りを持たぬ<帝王>の覇道に、狼たちはいかに立ち向かうのか!?

 素人だった佐藤がちゃくちゃくと頭角を現していくのは、彼が自分ではクールなナイスガイで真面目少年と思っていても、客観的には十分ヘンであり、自己中心的であり、狡く、しかも現役陸上自衛隊員である父親に引きずり回されて体力と運動神経だけなら人一倍以上だから。それでも、腐女子な白粉さんに遅れをとってしまうのが、この世界の奥の深さです。
 面白いし、きちんと1巻完結になっているので読んでいても安心。敵味方入り乱れる乱闘シーンの迫力も、苦労の末に手に入れたザンギ弁当の美味しさも、佐藤を黙々と観察している白粉の執筆した小説の腐れッぷりも手抜き無しです。

【ベン・トー2】【ザンギ弁当295円】【アサウラ】【柴乃櫂人】【スーパーダッシュ文庫】【どん兵衛】【横滑り佐藤】【半額弁当】【湖の麗人】【帝王】【オオカバマダラ】【ガブリエル・ラチェット】
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「ベン・トー~サバの味噌煮290円」 アサウラ

2009-07-16 | 食・料理
「誰しもに負けると思われている勝負を覆す。それが……楽しいんだよ」
 <魔導士>金城優の言葉。

 『ベン・トー』というタイトルにチャールストン・ヘストン主演の『ベン・ハー』を連想し、全然違う内容に放り投げかけてしまったけれども、よく読んでみたらそれほど違うわけでもなかった……という1冊。つまり、泉昌之の『かっこいいスキヤキ』とか押井守の『立喰師列伝』に代表される、他人が見たら「どうでもいいじゃないか。そんなくだらんこと」「見窄らしい。無様」ということに命をかけて道を見出していく孤高の男女たちの物語であり、時に「騎士」と呼ばれ、時に「狼」と呼ばれる求道者たちの戦いの記録。

 高校生・佐藤洋はある夜、気がつくとスーパーマーケットの床に倒れていた。偶然近くにいた同級生の白粉花にも分からないという。ただ、佐藤が半額になった弁当に手を伸ばした瞬間、嵐のような「何か」に巻き込まれたように見えたらしい。
 親からのぎりぎりの仕送りで暮らしている佐藤にとって、安売り弁当は命の綱。白粉ともども夜のスーパーに挑む佐藤だったが、その前に現れた<氷結の魔女>は、2人を完膚なきまでに叩きのめすと「豚は去れ」と告げるのだった……。

 ある時には味方となり、次の瞬間には敵となるライバルたちとの壮絶な闘い。たかが「夜間に半額値引きのシールを貼られた弁当の争奪戦」をこれだけ熱く語れるってのはスゴイと思います。
 ただ、そのままだったら“ちょっとヘンな求道小説”に成りかねないところですが、見るもの聞くものすべてにフィルターがかかってしまう白粉さんの言動によって逆方向に放り投げられています。まあ、槍水先輩とか十分におかしいし、生徒会の白梅梅さんは完全にキの人だし、そういう意味では白粉さんは常識人な方だと思いますが、『げんしけん』の荻上さん以上に見境ありませんので、お付き合いにはかなりの覚悟がいることと思います……。
 サバの味噌煮がまたこりゃ美味しそうなんだ……。

 今月末の4巻発売までに、あと2冊追いついてしまおう……。

【ベン・トー】【サバの味噌煮290円】【アサウラ】【柴乃櫂人】【スーパーダッシュ文庫】【ガテン系BL】【どん兵衛】【バトルロワイヤル】【半額弁当】【氷結の魔女】【魔導士】【ダンドーと猟犬群】【大猪】【アラシ】
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