付け焼き刃の覚え書き

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「魔王と勇者の戦いの裏で」 涼樹悠樹

2022-04-26 | 異世界転生
「ま、神ならざる身なんで何でもかんでもは無理だ。できる範囲で可能な限りでいこう」
 ヴェルナー・ファン・ツェアフェルトは主役ではないし、死んでもやり直しが出来るわけでもないのだ。

 会社員をやっていたはずだが、気がつけば見覚えのある王道RPGっぽい世界に転生していたヴェルナーは、この先のストーリー展開を考えると自分が「勇者が魔王退治の旅に出ている間に全滅した王都」の貴族じゃないかと見当をつけた。かといって、伯爵家の息子といっても勇者の代わりができるほどの才能はなく、自分でできる限りのことをして生き抜くと決意したのは7歳の年であった。
 やがて学園へ通うようになり、文武共にそこそこ優れた優等生としての評価を獲得し、ひょんなことから勇者となる平民マゼル・ハルティングとも知り合って友人となり、いざ魔族の襲撃に直面するにあたってあらためて気づいたのだ。
 ここはゲームの世界ではない。確かにここで生きている人がいて、人間関係があり、自分もその中の一部なのだ。戦闘能力もチート能力もない。けれど、ゲームの知識もあるし、貴族として一般市民より行動や予算に自由がある。ならば、「自分が生き残る」以外にも何かしらできることはあるはずだ……。

 現代日本からRPGのゲーム世界にモブキャラとして転生した男が、勇者一行が魔族の討伐に出ている間に、いや、魔王の討伐に出る前に経験値が得やすい修行の場を助言し、優れた装備を取り寄せるために商隊や護衛の手配をし、各地に斥候を送り出すなどして地ならしをする縁の下の力持ちストーリー。
 かわいいヒロインがわきゃわきゃ登場するでなし、初っぱなから主人公が無双したりとか使えないと言われたスキルやクラスで周囲以上の大活躍をするわけでなし、当然ざまぁ展開などもあるはずもなく、すごく面白くてわくわくするけれど書籍化まではいかないんじゃないかと思っていた作品が見事に書籍化。コミカライズも決定しているということで、先が楽しみです。

【魔王と勇者の戦いの裏で~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~】【涼樹悠樹】【山椒魚】【オーバーラップ文庫】【小説家になろう】【伝説の裏側で奮闘するモブキャラの本格戦記ファンタジー】【釣り野伏】【学生服は礼服】

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