付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか」 芝宮青十

2024-08-01 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「何かを生み出すことのできる人間は、みんな神様だ」
「価値を決めるのは作者ではない。いつだって、観者が自由に決める。それが創作だ」

 セレーネ・パパスタソプーロスは己の哲学を語る。絵であろうと文であろうと同じことだと。

 今上月子は日本一の大病院の娘で将来は医者になることが確定していると言われている才媛。そんな「院長」と呼ばれる彼女が放課後の教室に下着姿でいるのを、部活帰りの黒松治は出くわしてしまった。
 実は彼女は医者の卵であるだけでなく、既に小説家として本を出しているらしい。しかし、彼女は恋愛が分からない。人の心が分からない。そもそも人の顔が判別できないから声で聞き分けているだけだ。人の姿にその裏側の肉や骨や血管の塊まで見えてしまう彼女には、肉の塊に恋愛感情など湧きようもないのだ。
 作品にリアリティをもたせるため教室でイメージ作りに励むものの成果があがらない彼女は、自身が書いた小説のキャラをフィギュア化してほしいと黒松に依頼した。裏側に血も肉も骨も脂も詰まっていないフィギュアなら、その気持ちを想像できるかもしれない。自分だって青春したい……。

 美少女フィギュア作りの達人なのにその技を封印している主人公と、恋愛感情が分からない才女と、オタ絵師なギャルに塗装LOVEなギリシャ美少女による美少女フィギュアに賭けた青春の顛末である創作者たちの日々。
 〈色神〉セレーネ椎竹がいちばんキャラ立ちしてますよね。ギリシャなまりというか、まさに哲学的先輩。

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