会社が倒産し、再就職先はブラックで、身体を壊してのたれ死にしたのは前世のこと。今は、乙女ゲー『桜散る先で君と恋を語ろう』という、現代日本と酷似していながら華族特権が生き残る世界で桂華院瑠奈という悪役令嬢のポジションにいる。
物心ついた時には転生に気づいていた瑠奈は、やがて始まる乙女ゲーの世界で没落することを回避すべく、少しずつ手を打ち始める。時おりしもバブル崩壊の真っ盛り。これがさらに悪化していこうと考えて行動する者は多くはない。
瑠奈は自宅を抵当に入れた資金をハイテク関連投資につぎ込んだ。まだ4歳の歳であった……。
バブル崩壊後の現代悪役令嬢による日本再生譚で、今回は北海道開拓銀行こと拓銀を救います。
歴史物のIF、仮想戦記が面白いのは、史実を知っていてなおそれが覆る様を見たいから。そういう意味で、ゲームの世界に転生してシナリオをひっくり返すというのは、元のストーリーを知っているのは作者だけなのでどうしても「お約束」頼りになってしまいます。誰も知らないシナリオがひっくり返ろうがそのままだろうが、読者にとっては知ったことがありません。
でも、この話の舞台は現代日本なので、停滞しきって、デフレが進み、みんな貧しくなっていく社会がひっくり返る様子が見られるのは痛快なことなのです。
それでいて、人生やり直し系サクセスストーリーの王道もきちんとフォローしているので、単なる経済IF小説とも違うんですね。
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