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カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

スタディーツアー報告⑩アフェシップ・フェアファッション訪問

2008年11月05日 11時57分39秒 | Weblog
今日はスタディーツアー報告その10、アフェシップ・フェアファッションについての報告を以下に参加者の平川さんがして下さいます。

報告の前に少しだけフェアファッションについて説明をさせて頂きます。フェアファッションは、人身売買、性的搾取の被害にあった経験を持つ女性が、経済的自立を果たし、自分の育った地域に戻って元気で生活していけるよう、縫製とその商品販売を通じてサポートしており、女性たちの縫った服や小物をフェアトレード商品として販売しています。現在フェアファッションでは、保育室がないために、そこで働く女性の子どもたちが、母親とともに時間を過ごしています。子どもたちは、はさみや針が目の前にあったり床に落ちていたりする環境にいます。シーライツは、フェアファッションで働く女性たちが縫製に集中できるよう、また、彼女たちの子どもが縫製道具でケガをしないように保育事業を開始できるよう、現在、保育士の人件費のための支援を募っています。

アフェシップ・フェアファッション(モード)報告書    
平川 果絵

【開発事業担当マネージャーのジョンソンさんからの説明】

1、組織に関して

2003年設立。当時は従業員6名。
2005年にアフェシップから独立。
現在は20名が勤務。勤続年数3~5年の従業員が多い。
半NGO、半企業の形態。
月~金曜日は8時間労働(7~17時のうち、11~13時が休憩)、土曜日は8-12時。
ヘルスケア、カウンセリングも行なわれている。
従業員は共同で家を借りて住んでいる。

国内で生産されるグレード1からグレード3のシルクを主に使用。中でも、織りが一番細かくスムースなグレード1シルクを使っているフェアトレードをうたっている。
草木などの天然染料と化学染料を用いて染められている。
スペイン、ドイツ、カナダなどからのボランティアがデザイン、スタイル、技術を伝授。
カタログを作成してインターネットでも購入できるようにしている。

スタッフは裁断、縫製、仕上げ(品質チェック、アイロンかけ、袋づめ等)の3チームに分かれて作業。
各チームのリーダーがチームの作業をチェック。
一人で服作りができるよう、全ての技術を身につけるために定期的にチーム替えを行なっている。

一般の縫製工場の最低月給は45ドルだが(注)フェアファッションは72~100ドル(チームリーダーが100ドル)
年間休日24日。
(カンボジア事務所注)中川さんは約60ドルと説明されましたが、正確には2008年度の最低賃金は実質US$56となっているそうです。ただ、実際の平均賃金は残業代(平日10時間労働)、皆勤手当などの手当てが加算され、平均$70-80となっているとのことです

2、現在抱えている問題

・ フェアファッションで働く女性同士のいざこざ
今まで一人で何かをする事が多かった事、他人を信用することが出来なくなってい るという2つの理由で、カウンセリングを行ない、チームワークを学んでもらえるよう努めている。


・ フェアファッションの女性と働くことの難しさ
フェアファッションで働く女性は、貧困家庭出身で若い時に人身売買されてしまったために教育を受ける機会がほとんどなかったため、読み書きや計算ができないことも多い。このため、簡単な計算をしなければいけない時も困難だったり、覚えてもらうのに時間がかかったりするが、作業のスピードは彼女たちに合わせるようにしている。


【縫製室】
10畳くらいの部屋に、ミシンが8台ほどありました。
3畳ほどのスペースにカーペットが敷かれ、床に座って作業できるようになっている。
カーペットには3歳くらいの子どもも1人。子どもが同じ部屋にいると仕事に集中できないし針などが危ないので保育部屋を設けたいが、資金不足のため実現していない。(別の部屋でも子ども二人がハンモックで寝ていた)
電力不足のため、作業が1~8時間中断してしまうことも。
訪問した時は、カーペットの上の従業員はネックレス(1cmほどの丸プラスチックを布でくるんだパーツをつなげたもの)を作っていた。
ドイツからのボランティアのイーナさんは、短い着物のような服を作るとおっしゃっていました。

 
【1階の縫製室兼売り場】
スペースの半分ほどにミシンとカーペット、残りの半分にショーケースとハンガーにかけられた服が並べられていた。
一番の売れ筋は中国風ジャケット。
メンズも少しあり。
バッグ、シュシュなどもありましたが、品数はかなり少なく、お店という雰囲気ではない。

【感想】
いろいろな国からのボランティアが技術指導をしているという話を聞き、どんな商品があるのだろうと期待しましたが、商品はあまり並んではいませんでした。受注生産が基本なのでしょうか(注)。ドイツからいらしたイーナさんは着物のような服を作るとおっしゃっていましたが、欧米人をターゲットにしているのでしょうか。質問タイムがなかったため疑問を持ったまま帰国してしまいましたが、マーケティングは念頭にあるのだろうか等、疑問を感じました。一緒にモードを訪問した他の5人も服のコーナーを真剣に見ている人はあまりいなかったように感じました。
人身売買や性的搾取の被害にあった経験のある女性が働いている場所というよりも、ビジネスとしての観点から見たため、辛口な感想になってしまいました。運営面で抱えている問題も大きいようですし、全ての面に気を配るのはとても難しいことだとは思いますが、今後に期待したいです。
(カンボジア事務所注)アフェシップ・フェアファッションは、CDカタログなどによる受注生産が基本で、訪問した場所やお店ではなく洋裁所です。マーケティングのスタッフも不定期で雇われており、力を入れたいと考えているようですが、資金面、技術不足などから難しいようです。


アフェシップ・フェアファッションにおける保育室設置のため、ぜひ会員になってください!
シーライツ あなたにできること: http://www.c-rights.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ: http://www.c-rights.org/


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