恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

9/17(火)池袋演芸場夜席(主任:三遊亭天どん)

2019年09月18日 | 噺とか
9月中席の池袋はなかなかいい顔付けで、一度は顔を出さねばと思っていたら、
あっという間に時が過ぎてしまって今日にいたる、と、
3連休も過ぎ去って、少し落ち着いているかな、と仕事を切り上げて池袋へ。
連休明けだからさして混雑していないだろうと思ったら大間違いで、
昼の部のトリ直前の一朝師匠から入ったらなんと満席立ち見。
いやはや、久しぶりに立ち見を経験しましたよ。
かつてここで小三治師匠のトリを3時間立ちっぱなしで見た記憶が甦ります。
もっとも、昼席がハネると大方のお客さんは帰り、いつもの平日の池袋に。

【昼席】
一 朝「岸柳島」
橘之助「浮世節」
雲 助「死神」

【夜席】
扇ぽう「寿限無」
粋 歌「すぶや」
百 栄「お血脈」
アサダ二世「奇術」
小ゑん「下町せんべい」
 茜 「快談牡丹燈籠・お札貼り」
ロケット団「漫才」
窓 輝「庭蟹」
小満ん「かんしゃく」
-仲入り-
駒 治「鉄道戦国絵巻」
龍 玉「穴泥」
楽 一「紙切り」(圓丈師匠と天どん師匠・ドロップゴール・ドラゴンクエスト」
天どん「呼ぶ男」

昼のトリ、雲助師匠は「死神」でした。
先日、黒門亭で世之介師匠の「死神」を聞いたばかりでしたが、
あちらがかなり長大だったのに対して、こちらは寄席サイズ。
無駄な部分はそぎ落としながらも噺のエッセンスはしっかりと。
雲助師匠のトリを見る機会がほとんどない中、
とても良い日に当たったなぁと思いましたよ。

夜席は昼と打って変わって新作モード。
先日の独演会でお会いした百栄師匠、池袋ではあまりお見掛けしませんが、
この日は何をやるのかと思ったらまさかの古典。
先日の独演会で古典を聞いて、またここで聞けるとは思いませんで。
百栄師匠がやるので、通り一辺倒な「お血脈」ではなく、
やはりそこは百栄ワールドがあちこちに散りばめられていました。
これも池袋ならではでしょうねぇ。

小ゑん師匠はおなじみの「下町せんべい」でした。
ご本人のTwitterによると、「幽霊のところまでできた」とあり、
なるほど確かにいつもより長いバージョンでした。
聞き馴染んだ話でもその時のタイミングで変わるのも面白いもので。

窓輝師匠は本当に久しぶり。
この顔付けの中で正統派な古典をしっかりと聞かせてくれました。
もっといろんな寄席で顔付けされていいのになぁなんて思ったり。
若旦那然とした風貌もまたこの噺の雰囲気と合うような。

小満ん師匠は明治時代に作られた新作とのこと。
初めて聞く噺で、あれこれ調べてみたんですが演題がわかりません。
お金持ちの旦那が毎日4時に仕事を終えて帰宅するも、
妻をはじめ家の使用人たちが行き届いておらず、あれこれ小言を言う、という。
どなたかご存知でしたらご教示くださいませ。
何となくほろっと来る場面もある、そんなお話でした。
→ボビン様のご教示により、「かんしゃく」という噺とわかりました。
 先代文楽師匠が得意にしていたとのことで、なるほどなぁと。


仲入りをはさんで駒治さんはお得意の「鉄道戦国絵巻」。
これも久しぶりでした。
最近の京浜急行の事故のネタをサラッと盛り込んで話題にするのもさすが。

んでもってトリの天どん師匠。
ずーっとここのところ変態的な新作ばかりでフラストレーションがあるそうで。
やっと昨日古典の「らくだ」ができて満足しているそうですが、
そこは天どん師匠、観客の希望を聞いてやるネタをチョイスさせる。
古典のトリネタか、寄席でかけたことのない新作か、変態ネタか。
案の定、変態ネタに一番多くの拍手が集まって「呼ぶ男」へ。
ずいぶん前にこの噺を聞いたことがありましたが、
まさか寄席でこの噺をまた聞くことになろうとは。
龍玉師匠や志ん五師匠の裏話を随所にちりばめつつ、
会場をおかしな笑いで埋め尽くしていきます。

いやはや、池袋の自由な雰囲気、なんとも言えずいいですねぇ。
きっと鈴本ではこのネタはできないでしょうからね。
時間さえあればしょっちゅう足を運びたい池袋。
今日もそんな気持ちにさせてくれる芝居でした。

恐懼謹言。
コメント (2)
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