沖縄・台湾友の会

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 額面から製造コストを差引くのが政府のセニョリッジ(通貨発行益)    政府発行のコインは、ウクライナ以後、どうなっているか

2022-05-24 20:09:55 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)5月23日(月曜日)
        通巻第7345号  <前日発行>
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 額面から製造コストを差引くのが政府のセニョリッジ(通貨発行益)
   政府発行のコインは、ウクライナ以後、どうなっているか
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 ウクライナ危機で、従来から安定確保を説かれたコバルト、レアメタル(金を含む)、レアアースの高騰ぶりが目立ったが、基礎金属の銀、銅、ニッケル、アルミの価格も急騰した。
とりわけ銅は2・3倍になった。 

 セニョリッジ(「シニョリッジ」ともいう)とは通貨発行益のことである。たとえば100円コインの額面から製造コストを差し引くと通貨発行権をもつ権力が利益を得る。日本の場合、紙幣は日銀、コインは政府通貨だから日本国政府の利益である。

 1円硬貨はアルミで製造コストは42%。
 5円は銅と亜鉛合金で84%(そのうちコストが赤字となるだろう)。
 10円は銅とスズ合金で、製造コストは63%
 (以上三つは2022年五月統計。一時期、1円は製造コストが1・8円の赤字と言われた)

 50円は銅とニッケル合金で製造コストは7・5%
 100円は銅とニッケル金で製造コスト4・5%
 500円硬貨は銅と亜鉛、ニッケルの合金で1%
 (以上三つは2018年の統計から筆者が算定した)

 ちなみに日銀が発行する千円札の制作コストは17円、一万円札は25円。
 さらにちなみ政府紙幣発行論とは日銀札と平行して政府も紙幣をだせば、利息がかからず、そのままセニュリッジが国庫に入り、赤字国債発行を減らし、財政健全化になるという経済理論だが、政府、日銀、財務省は、この類いの議論には背を向けてきた。

 日本で最初にセニョリッジを発起したのは天武天皇だった。
秩父に銅鉱山が発見され、持統天皇のときに本邦初の『和同開珎』が作られた。結局、鉱山技術が稚拙で産出量が少なく、広範囲の流通は出来ずに不発におわる。以後は輸入銭でまかなった。

 聖武天皇の大仏開眼は奥羽に金が出たからだが、装飾に使われただけで、通貨発行という発想はなかった。
信長は砂金に目をつけ、家臣団の恩賞に使った。秀吉は折からの鉱山開発と灰吹法のイノベーションがあって大判を大量に作った。しかしセニュリッジの発想はなく、ひたすら武将団、家臣たちへの報奨とした。

 セニョリッジによる財政を本格化させるのは徳川家康である。
 秀吉小判の十分の一、金の含有が80%を超える小判を製造し、膨大なセニョリジを独占して、経済の覇者としても、まつりごとを治めた。(詳しくは秋に刊行予定の拙著『徳川家康 五百年の孤独』に詳述します)


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