沖縄・台湾友の会

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プーチンの沈黙は不気味。ゼレンスキーは「これはゲームチェンジだ」 ウクライナの侵攻という語彙をもちいず、「挑発行為だ」としている

2024-08-30 22:06:06 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)8月26(月曜日)
     通巻第8382号   <前日発行>
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プーチンの沈黙は不気味。ゼレンスキーは「これはゲームチェンジだ」
ウクライナの侵攻という語彙をもちいず、「挑発行為だ」としている
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2024年8月6日早朝、ロシア領内にウクライナが侵攻した。このウクライナ軍の奇襲攻撃は二次世界大戦以来初の外国軍のロシア侵入だった。クルスク地区18万住民のうち、13万3000人が避難した。
厳密に言えば「地域紛争。限定戦争」の範囲から正式な「戦争」の段階に歩を進めたことになり、プーチンのいう「特別軍事作戦」の範疇を超えた。欧米もゼレンスキーの暴走を非難せずに、沈黙し続ける。

プーチンの沈黙は不気味である。
依然としてウクライナの侵攻という語彙をもちいず、「挑発行為だ」としている。この間にプーチンは13年ぶりにチェチェンを訪問し、カディロフと会見したくらいで、外交的にはオルバン、ルカシェンコ、李強、モディ等の来訪を承けたが、記者会見でもクルスク侵攻を語らず、避難民にはとりあえずひとり1万ルーブルを保障し、また捕虜となった住民115名をウクライナからの115名と「捕虜交換」した。

 ゼレンスキーは「これはゲームチェンジだ」と言った。プーチンを「赤の広場にいる病んだ老人」とも比喩した。
 意表を突かれた欧米はたじろいだ。ロシア領には戦線を広げないというのが欧米とウクライナの約束であり、その前提で武器供与を継続してきた。ウクライナがロシア領土を侵せば、戦争はエスカレートし、NATOが巻き込まれるから、下手をすれば第三次世界大戦につながりかねない。

 「間違いなくゲームチェンジの一部だ。しかしEUはゲームの主体ではないにもかかわらず将来の欧州の地政学の運命を決めるものだ」(ジョセフボリスEU外交委員会幹部。元スペイン外相)

 ゼレンスキーは前後してウクライナ領内のロシア正教会の教会すべての閉鎖を命じた。宗教はロシアならびに旧東欧諸国に於いて極めつきに重要な問題である。
 「歴史は神と直接に結ばれている」(ランケ)


ウクライナではカソリックは勢力を伸ばし、信者の獲得に余念がなく、そのうえゼレンスキーはユダヤ教からバイデンの侵攻するカソリックへ改宗した。改宗はユダヤ人にとっては明らかな裏切りである。

 ロシア領内に攻め込まれても、まだ反撃も出来ないプーチンは顔に泥を塗られた格好だが、いかなる反撃を想定しているのか。 

 「ウクライナは寒い冬を覚悟しなければなるまい」とドイツのエネルギー相が警告し、EUエネルギー委員会のカドリシムソンンは「ウクライナ電力は昨年の半分しか確保できず生存できるかの問題となる」と警告した。ゼレンスキー自身もウクライナ国内の80%の発電施設は破壊されたと認めている。
 一方でウクライナ軍はロシアの石油備蓄基地を爆撃し、8月18日から24日まで燃え続けた。

 思い出す人物が居る。
サンクトペテルブルクにあるエフゲニー・プリゴジンの墓。8月23日は、プリゴジンの「暗殺」から一周年。墓地は花束に埋め尽くされた。そのニケ月までにプリゴジン率いる「ワグナー軍団」はクレムリンへ進軍し、クーデターを試みた。プリゴジは「プーチンのシェフ(料理人)」とも呼ばれ、レストランやケータリング事業でプーチンの外国賓客をもてなし権力の側近に食い込んだ。

ウクライナ侵攻において、ワグネルの部隊はバフムートの戦いなどに参加。プリコジンは2023年5月には、弾薬補給の不足に不満を漏らし、セルゲイ・ショイグ国防大臣とロシア連邦軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長を公然と非難した。
23年6月23日にはロシア連邦政府に叛旗を翻し、首都モスクワへ進軍を開始した。プーチンはこれを「反逆」「裏切り」と非難。25日には、隣国ベラルーシの大統領アレクサンドル・ルカシェンコの仲介で矛を収めた。

2023年8月23日、モスクワ北西部のトヴェリ州で墜落したビジネスジェットの乗客名簿にプリゴジンの名前があり、乗客乗員10人は全員死亡が確認された。

プリゴジン氏の頻繁な暴言の主な標的の一人であったセルゲイ・ショイグ元国防相は安全保障理事会に異動となった。汚職捜査で数人の高官が逮捕され、起訴された。ロシアの新国防長官アンドレイ・ベロウソフはテクノクラートであり、数字分析は得意だが、プーチン大統領に政治的、軍事的脅威を与えるほどの経歴とカリスマ性に欠ける。

 軍上層部の移動による作戦立案の立ち遅れか、いやプーチンは計算できているのだろう。もし大規模に反撃すればNATOを刺激し、戦争は次の段階へ間違いなく進む。ロシアもNATOも、率直に言って、そうした事態にはそなえていないのだ。


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