「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)8月27(火曜日)
通巻第8384号 <前日発行>
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この逮捕劇はおかしくないか。フランスの暴挙に抗議の輪
イーロン・マスク、タッカー・カールソン等が批判声明
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メッセージ送信の暗号アプリ「テレグラム」の共同創設者兼CEOのパベル・デュロフ(ロシア人なれどフランスとUAEの三重国籍)がフランスで突然逮捕され、国際的な波紋を巻き起こしている。
8月24日、デュロフはアゼルバイジャンのバクーから、パリで夕食の約束のため、プライベートジャットでパリ郊外の飛行場に到着した。フランス官憲は逮捕状なしの仮条例で彼を拘束した。容疑は暗号通信が麻薬取引に遣われたことを公開しなかったとか。
テレグラムは、暗号化メッセージングを提供し、ユーザーが「チャンネル」を設定してフォロワーに情報を素早く広められる。したがってデュラフが、テロ、麻薬密売、詐欺などさまざまな犯罪を助長したとフランスの国家詐欺対策局(ONAF)が拘留理由をあげた。
すぐさま抗議行動が起きたのはモスクワのフランス大使館前、ニュースを知ったモスクワ市民が「即時釈放」をもとめ、白い紙飛行機を仏大使館の生垣に落とした。つまり白(言論の自由)が墜落したという意味を込めている。
テレグラムはエンドツーエンドの暗号化を提供するため安全性が高く、このアプリが、ロシア軍だけでなく一般の人々の間でも広く使用されている。
まっさきに声をあげ、釈放を要求したのはイーロン・マスクだった。すると「次の逮捕はイーロン・マスクだ」という予測がSNSの空間で駆け巡った。
次にタッカー・カールソンが抗議の声をあげた。カールソンは四月にデユロスを招いてインタビュー番組を作成しており「逮捕は政治駅理由でしかなく、危機の兆候だ。すぐさま釈放をもとめる」とした。
カールソンとのインタビューのなかで、デュロフはマスクと彼の言論の自由を支持する姿勢を称賛した。
デュロフはサンクトペテルブルク生まれのロシア人で、まだ39歳、世界の億万長者に仲間入り(個人資産は115億ドル)。テレグラムのユーザーが世界は9億5000万人。
2021年にUAEの国籍を取得し、先月にはフランスの市民権を得た。三重国籍である。
したがってロシア政府は自国民の安全のためにもフランスに抗議するのは当然だろうが、クレムリン関係者は「この逮捕劇の背後にアメリカがいる」と非難している。
デュロスはクレムリンを批判し、2014年にロシアを離れてドバイに移住した。テレグラム本社登記もドバイだ。
▼情報戦争の主力舞台はネットに移行している
とはいうもののロシア国内ではインターネットで閲覧できるサイトは制限されており、旧ツイッター(現在のX)やフェイスブック、インスタグラム、一部のユーチューブなど多くのSNSや外国メディアなどのサイトへは通常繋がらない。中国も同様だが、そこは政府の規制をかいくぐる腕が冴えるのがロシア人、中国人共通である。テレグラムもロシアでは一時期禁止されていた。
ロシア政府はフランスに逮捕理由の説明を求めている。
またロシア安全保障会議のドミトリー・メドベージェフ副議長(元ロシア大統領)は、「ドゥロフ氏がロシア人であるために標的にされた。彼はロシア人であり、それゆえ予測不可能で危険だ」とするメッセージをだした。
ロシアネチズンは「言論の自由に対する取り締まり」「パベル・ドュロフ氏は政治犯、西側諸国による魔女狩りの犠牲者だ」「フランスでも言論の自由は死んだ」と書き込んでいるが、さて欧米の論調ときたら歯切れが悪いのだ。
「言論の自由をめぐる議論となるだろう」(ニューヨ-クタイムズ)
「欧米と露西亜の緊張を高める」(ウォールストリートジャーナル)。
ネット空間における検閲は米国でトランプの口座を永久追放したりやりたい放題である。映画、ラジオ、新聞、テレビの時代から情報操作の空間は、いまやネットが主舞台となっている。そして左翼が保守の意見を封じ込めている。
令和六年(2024年)8月27(火曜日)
通巻第8384号 <前日発行>
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この逮捕劇はおかしくないか。フランスの暴挙に抗議の輪
イーロン・マスク、タッカー・カールソン等が批判声明
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メッセージ送信の暗号アプリ「テレグラム」の共同創設者兼CEOのパベル・デュロフ(ロシア人なれどフランスとUAEの三重国籍)がフランスで突然逮捕され、国際的な波紋を巻き起こしている。
8月24日、デュロフはアゼルバイジャンのバクーから、パリで夕食の約束のため、プライベートジャットでパリ郊外の飛行場に到着した。フランス官憲は逮捕状なしの仮条例で彼を拘束した。容疑は暗号通信が麻薬取引に遣われたことを公開しなかったとか。
テレグラムは、暗号化メッセージングを提供し、ユーザーが「チャンネル」を設定してフォロワーに情報を素早く広められる。したがってデュラフが、テロ、麻薬密売、詐欺などさまざまな犯罪を助長したとフランスの国家詐欺対策局(ONAF)が拘留理由をあげた。
すぐさま抗議行動が起きたのはモスクワのフランス大使館前、ニュースを知ったモスクワ市民が「即時釈放」をもとめ、白い紙飛行機を仏大使館の生垣に落とした。つまり白(言論の自由)が墜落したという意味を込めている。
テレグラムはエンドツーエンドの暗号化を提供するため安全性が高く、このアプリが、ロシア軍だけでなく一般の人々の間でも広く使用されている。
まっさきに声をあげ、釈放を要求したのはイーロン・マスクだった。すると「次の逮捕はイーロン・マスクだ」という予測がSNSの空間で駆け巡った。
次にタッカー・カールソンが抗議の声をあげた。カールソンは四月にデユロスを招いてインタビュー番組を作成しており「逮捕は政治駅理由でしかなく、危機の兆候だ。すぐさま釈放をもとめる」とした。
カールソンとのインタビューのなかで、デュロフはマスクと彼の言論の自由を支持する姿勢を称賛した。
デュロフはサンクトペテルブルク生まれのロシア人で、まだ39歳、世界の億万長者に仲間入り(個人資産は115億ドル)。テレグラムのユーザーが世界は9億5000万人。
2021年にUAEの国籍を取得し、先月にはフランスの市民権を得た。三重国籍である。
したがってロシア政府は自国民の安全のためにもフランスに抗議するのは当然だろうが、クレムリン関係者は「この逮捕劇の背後にアメリカがいる」と非難している。
デュロスはクレムリンを批判し、2014年にロシアを離れてドバイに移住した。テレグラム本社登記もドバイだ。
▼情報戦争の主力舞台はネットに移行している
とはいうもののロシア国内ではインターネットで閲覧できるサイトは制限されており、旧ツイッター(現在のX)やフェイスブック、インスタグラム、一部のユーチューブなど多くのSNSや外国メディアなどのサイトへは通常繋がらない。中国も同様だが、そこは政府の規制をかいくぐる腕が冴えるのがロシア人、中国人共通である。テレグラムもロシアでは一時期禁止されていた。
ロシア政府はフランスに逮捕理由の説明を求めている。
またロシア安全保障会議のドミトリー・メドベージェフ副議長(元ロシア大統領)は、「ドゥロフ氏がロシア人であるために標的にされた。彼はロシア人であり、それゆえ予測不可能で危険だ」とするメッセージをだした。
ロシアネチズンは「言論の自由に対する取り締まり」「パベル・ドュロフ氏は政治犯、西側諸国による魔女狩りの犠牲者だ」「フランスでも言論の自由は死んだ」と書き込んでいるが、さて欧米の論調ときたら歯切れが悪いのだ。
「言論の自由をめぐる議論となるだろう」(ニューヨ-クタイムズ)
「欧米と露西亜の緊張を高める」(ウォールストリートジャーナル)。
ネット空間における検閲は米国でトランプの口座を永久追放したりやりたい放題である。映画、ラジオ、新聞、テレビの時代から情報操作の空間は、いまやネットが主舞台となっている。そして左翼が保守の意見を封じ込めている。
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