「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)2月7日(水曜日)
通巻第8120号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『サイバー真珠湾』、『デジタル911』って何?
大がかりなサイバー攻撃でインフラが麻痺する懸念拡がる
****************************************
「サイバー真珠湾」を最初に造語したのはレオン・バネッタ元国防長官とされ、重要なインフラを機能不全に陥れ、国家の安全保障、経済、社会に重大な損害を与える、仮想的なサイバー攻撃が大規模の行われる事態を意味する。
バネッタはオバマ政権下でCIA長官から国防長官に横滑りした。中国への強硬発言で知られ、令和元年には日本政府が勲章を授与している。
こうしたサイバー攻撃の能力を持つのはロシア、中国、イラン、北朝鮮といった国家単位だけではなくテロリスト集団、裁判犯罪集団などである。送電網、発電所、緊急医療機関、港湾、鉄道、電話局、交通機関、金融機関、通信ネットワークなどのインフラ・システムを標的に国家の安定、経済、安全を混乱させ、弱体化させる。
たとえば2020年にイランの核施設を標的とした、米国とイスラエルによって実行されたと推定されるサイバー攻撃で、イランのコンピュータ・システムがウイルスに感染し、遠心分離プロセスを制御不能にした。
何者かのウクライナの送電網への攻撃 (2015 年12月)では、ウクライナの送電網が破壊された。23 万人以上の住民が停電による影響を受けた。使用されたマルウェア「BlackEnergy」とよばれ、ロシアによるものとの疑惑が残った。
ランサムウェアの大規模な攻撃は2017 年 5 月で『ワナクライ』と呼ばれるランサムウェアの攻撃により、150ケか国以上、20万台のコンピューターが感染した。犯行グループはファイルを暗号化しており、被害に遭った国家や機関、組織に巨額の身代金を要求した。とくに英国の医療機関が攻撃され、国民への保健サービスに深刻な影響がでた。
『サイバー真珠湾』を『デジタル真珠湾』と呼び変えたのはカーネギー財団の報告書だった。たしかに日本人から見れば後者の銘々のほうが適切だろう。また『サイバー911』と呼ぶ学者やシンクタンクもある。
すでに日本でも工場や病院が攻撃され、あるいは最近では名古屋港のコンピュータ・システムが攻撃され、輸出港のコンテナターミナルが機能不全となって大型トラックの長い劣ができた。
身代金の金額や、方法(ビットコインだったか?)などは公表されていない。
半導体がさらに発展し細密化しAIが高度化したとき、某国が仕掛ける大規模なサイバー攻撃が深刻に懸念されている。げんに筆者は1997年に『中国台湾電脳大戦』(講談社)を世に問うている。中国語版もでて、台湾で大きな反響があった。
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%83%BB%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E9%9B%BB%E8%84%B3%E5%A4%A7%E6%88%A6-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B9-%E5%AE%AE%E5%B4%8E-%E6%AD%A3%E5%BC%98/dp/406181950X
令和六年(2024)2月7日(水曜日)
通巻第8120号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『サイバー真珠湾』、『デジタル911』って何?
大がかりなサイバー攻撃でインフラが麻痺する懸念拡がる
****************************************
「サイバー真珠湾」を最初に造語したのはレオン・バネッタ元国防長官とされ、重要なインフラを機能不全に陥れ、国家の安全保障、経済、社会に重大な損害を与える、仮想的なサイバー攻撃が大規模の行われる事態を意味する。
バネッタはオバマ政権下でCIA長官から国防長官に横滑りした。中国への強硬発言で知られ、令和元年には日本政府が勲章を授与している。
こうしたサイバー攻撃の能力を持つのはロシア、中国、イラン、北朝鮮といった国家単位だけではなくテロリスト集団、裁判犯罪集団などである。送電網、発電所、緊急医療機関、港湾、鉄道、電話局、交通機関、金融機関、通信ネットワークなどのインフラ・システムを標的に国家の安定、経済、安全を混乱させ、弱体化させる。
たとえば2020年にイランの核施設を標的とした、米国とイスラエルによって実行されたと推定されるサイバー攻撃で、イランのコンピュータ・システムがウイルスに感染し、遠心分離プロセスを制御不能にした。
何者かのウクライナの送電網への攻撃 (2015 年12月)では、ウクライナの送電網が破壊された。23 万人以上の住民が停電による影響を受けた。使用されたマルウェア「BlackEnergy」とよばれ、ロシアによるものとの疑惑が残った。
ランサムウェアの大規模な攻撃は2017 年 5 月で『ワナクライ』と呼ばれるランサムウェアの攻撃により、150ケか国以上、20万台のコンピューターが感染した。犯行グループはファイルを暗号化しており、被害に遭った国家や機関、組織に巨額の身代金を要求した。とくに英国の医療機関が攻撃され、国民への保健サービスに深刻な影響がでた。
『サイバー真珠湾』を『デジタル真珠湾』と呼び変えたのはカーネギー財団の報告書だった。たしかに日本人から見れば後者の銘々のほうが適切だろう。また『サイバー911』と呼ぶ学者やシンクタンクもある。
すでに日本でも工場や病院が攻撃され、あるいは最近では名古屋港のコンピュータ・システムが攻撃され、輸出港のコンテナターミナルが機能不全となって大型トラックの長い劣ができた。
身代金の金額や、方法(ビットコインだったか?)などは公表されていない。
半導体がさらに発展し細密化しAIが高度化したとき、某国が仕掛ける大規模なサイバー攻撃が深刻に懸念されている。げんに筆者は1997年に『中国台湾電脳大戦』(講談社)を世に問うている。中国語版もでて、台湾で大きな反響があった。
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%83%BB%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E9%9B%BB%E8%84%B3%E5%A4%A7%E6%88%A6-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B9-%E5%AE%AE%E5%B4%8E-%E6%AD%A3%E5%BC%98/dp/406181950X
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます