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性別訴訟 最高裁を危惧    【櫻井よし子 美しき勁き国へ】

2023-10-09 12:16:36 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
                 頂門の一針 6646号 

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 性別訴訟 最高裁を危惧
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【櫻井よし子 美しき勁き国へ】 

 自分は男性として生まれたが本当は女性だと考える性同一性障害の人が戸籍上の性別変更をするのに、生殖能力をなくす手術を要件とした現行法は憲法違反か否かが争われた家事審判の弁論が9月27日、最高裁大法廷で開かれた。

 最高裁が性別変更の申し立てで弁論を開いたのも、弁論前日に家事審判で申立人の意見を直接聞く審問を非公開で開いたのも初めてだ。大法廷は年内にも憲法判断を示すとみられる。

 平成16年施行の性同一性障害特例法(以下特例法)は、戸籍上の性別を変更する前提として、元の性別での生殖機能を永続的に欠く状態であることを含む5つの条件を定めた。一般的には卵巣や精巣などの摘出手術が必要とされている。

 今回、最高裁が特例法の規定を憲法違反と判断したら、手術なしで本人の性自認で法的性別の変更が可能になる。男性の生殖機能を持ったままの「法的女性」や、女性の生殖機能を持ったままの「性的男性」が出現する。社会への影響は計り知れず、女性の安心安全は危機にひんする。男女の定義変更で親子関係も混乱しかねず、戸籍法も含め国会には法改正の義務が生じてくる。

 極めて大きな問題を扱っているにもかかわらず、大法廷の裁判には2つの重大な欠陥がある。弁護士の滝本太郎氏の指摘だ。

 「第1にこの裁判には相手方、被告がいません。さまざまな問題点を示す訴訟当事者がいない状況で果たして裁判所は全体像を把握して適正に判断できるのか。第2にこの件で先行した国々は多くの問題や犯罪に直面し、今、揺り戻しがきています。最高裁は海外の失敗事例を十分に把握しているのか、懸念されます」

 第1の点について、自民党の「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」の片山さつき共同代表らが9月8日、斎藤健法相(当時)と面会し、「手術要件が違反となれば、元の生殖能力を維持したままの性別変更が可能になり、大混乱が生じる」として、法務省が審理に参加して意見を述べるよう求めた。斎藤氏の反応は慎重で、法務省は同裁判に関わろうとしていない。この姿勢は大いなる間違いだ。

 国として申立人であるトランス女性の権利や自由を守るべきなのは当然だが、社会の圧倒的多数を占めるトランスではない男女の権利や自由も同様に守ることも重要だ。これら圧倒的多数の国民の立場や権利を代表して意見を言うのが法務省の責任である。今からでも遅くない。最高裁の審理参加を申し入れるべきだ。

 性同一性障害の人々の中に、今回の申立人とは異なる意見を持つ人は少なくない。最高裁はこれら異なる意見にも耳を傾けるべきだ。たとえば今年7月10日、最高裁による判断の帰趨(きすう)に懸念を抱き、「性同一性障害特例法を守る会」を設立し、代表となった美山みどり氏らの主張だ。美山氏は性同一性障害者で性的変換手術を受け、戸籍上も男性から女性になった。
 美山氏らは「性同一性障害」という自らのアイデンティティーと手術というエビデンスによって社会との協調を図っている立場から、特例法の廃止にも強く反対する。性別適合手術と特例法の手術要件は自分たちが望んで戦い取った権利であり、決して人権侵害や過酷な断種ではないと断言する。また、約20年間で1万人以上が特例法を使って戸籍の性別変更をした現実を指摘し、制度としてすでに定着していると主張する。

 「社会のさまざまな場面に性別による区別」が存在するからこそ、社会的に見て「性別を安定させ、社会に適合しようとする人」に法的な保護を与えているのが特例法の趣旨であり、これは差別ではないとの見解も示している。

 美山氏らは7団体、数千人とその他有志と協力して「手術要件が違憲となれば、男性器のある女性が女性スペースに入ることが可能になったり、出産する男性がでてきたりして社会が混乱する」として、違憲判断をしないよう求める約1万5000人分の署名を最高裁に提出した。

 このように申立人と反対の立場に立つ性同一性障害の人々は少なくない。しかし、美山氏らの反対意見を報じた全国紙は私が見た限り、産経新聞と読売新聞だけだった。他の全国紙はおよそ全て手術要件は違憲だとの見方しか伝えていない。偏った報道は最高裁の全体像把握を妨げかねず、メディアの責任は重大である。

 先に滝本氏が指摘した第2の点、海外では行き過ぎた対応の結果、多くの犯罪が起きたことなどで揺り戻しが起きていることもメディアは十分に報じない。そのため最高裁がそうした事情を十分把握しているのかも疑問だ。欧米諸国では生殖機能を維持した「法的女性」による性犯罪の事例に事欠かない。性自認の概念に基づいて性別で区分されたスペースを変えてきた英国は、その結果として混乱に堪えかねて昨春から明確に方針を切り替えた。まず女子トイレを復活させ、法的女性は女子刑務所には入れないと決定した。

 「手術要件があるからこそ、自分たちは一定の信頼を勝ち得ている」との美山氏らの指摘を軽視してはならないということだ。司法、とりわけ最高裁についても疑問を抱く。司法は公正中立の立場で日本社会のよき価値観を守らなければならない。幾世紀にもわたって育み受け継いできた文化、価値観を大事にするということだ。

 滝本氏は、欧州諸国は同性愛に罰を科したソドミー法への反省から同性婚のみならず性自認に傾きがち傾きがちだと指摘する。こうした考えが日本に伝わり、メディア、司法関係者、学者らの間で共感を得ているのではないか。

 しかしわが国の文化や価値観にソドミー法的な影はおよそない。欧米の潮流に過度に影響される必要はなく、日本の文化や価値観にもっと自信をもってよいのである。

 最高裁判事15人の考え方で日本社会の根幹や価値観を根底から変えよとするのは許されない。最高裁に暴走させないために、法務省は国民を代表して最高裁の審理に参加し、堂々と意見表明すべきである。


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