沖縄・台湾友の会

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【産経正論】中国の台湾統合に理はあるのか  2022/1/6 産経新聞

2022-01-06 20:30:12 | 日記
【産経正論】中国の台湾統合に理はあるのか 

2022/1/6 産経新聞

         拓殖大学顧問・渡辺利夫

中国が国共内戦を経て国家統一へと向かう過程において、唯一取り残した地域が台湾である。「祖国統一」は中国にとってなお未完のテーマであり、数ある中国の「核心的利益」の中でも最も重要なものだとされる。しかし、台湾が中国の一部だという中国政府の主張には、何か合理的に説明できる政治的あるいは法的な根拠があるのだろうか。

「幻の合意」の正体

2000年4月に台湾政治大学で開かれたセミナーにおいて、行政院大陸委員会の一委員が次のように語ったといわれる。台湾側窓口機関と中国側窓口機関との1992年の香港協議において双方が「一個中国」を守ることに合意した。中国側は「一個中国」を堅持すると主張する一方、台湾側はその解釈は双方異なる(「各自表述」)と表明したという。合意文書は存在していない。当時の総統・李登輝氏、香港協議に参加した台湾側窓口機関トップの辜振甫(こ・しんぽ)氏のいずれもが合意の存在を認めていない。「幻の合意」である。

台湾政治大学でのセミナーの直前に独立志向の民進党の陳水扁氏が当選したことに共産党は強い危機感を募らせ、強引な独自解釈によって「幻の合意」を確定的な合意であるかのようにいいくるめてしまったというのが真実なのであろう。陳水扁氏の後を襲った国民党の馬英九氏が外交休戦に転じて中台経済交流を促進、このことが合意にリアリティーを与えた可能性もある。「一個中国」に正当性はあるのか。中台関係の歴史の基本を押さえて考えるより他ない。

台湾が福建省台湾府として初めて中国の領土に組み入れられたのは1684年のことである。清国政府が台湾を領有したのは、ここが反清勢力の拠点となることを防ぐという軍事的関心のゆえであった。政治は不在であり、開発とはまるで無縁であった。台湾は天子の徳の及ぶことのない「化外の地」であり「蕃地(ばんち)」であった。領有と同時に福建・広東から海峡を越えて台湾に移住してきた人々が、マレー・ポリネシア系の先住民を山間地に追いやって平地を占有した。移住民は原籍を異にする「族群」であり、「械闘(かいとう)(族群間の武力闘争)」が恒常的であった。

米中覇権争奪の最前線

日清戦争での勝利により台湾は日本に割譲され、ようやくにしてこの島の政治統合が可能となった。しかし、第二次大戦で日本が敗北、台湾は日本から切り離され、その後は国共内戦に敗れた国民党がやってきて新しい支配者となった。50年余の日本時代に秩序と規範を身につけた台湾住民が「本省人」であり、大陸から逃亡してきた国民党の軍人・軍属などからなる人々が「外省人」である。国民党により専制的な政治体制が敷かれ、台湾は2つの社会集団の確執する「省籍矛盾」の時代に入った。暗黒時代を経て台湾が民主化を迎えたのは、李登輝氏が台湾初の民選総統となった1996年以降のことである。

しかし、改革・開放路線下で経済力と軍事力を強化した中国が台湾統一への臍(ほぞ)を固めたのもこのあたりからであった。96年3月の総統民選を阻止しようと中国軍はミサイル発射実験を含む大規模な軍事演習計画を発表した。これに対して米軍が空母2隻を主力とする機動部隊を派して事態を沈静化させたものの、この時期以降、台湾海峡は東アジアにおける米中覇権争奪のフロントラインとなってしまった。

中国には自己映す鏡ないか

チベット自治区、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区においていよいよ強力な同化政策が進められ、香港の「一国両制」はもはや風前の灯火(ともしび)である。残るは台湾のみとなった。これを統合せずして「中華民族の偉大なる復興」の夢を完成させることはできないのであろう。習近平氏は最高権力者たる国家主席の地位を永続させることに成功した。海峡での戦いに米軍が参入してもなお中国が優位を保てると習氏が判断した時点で、本格的な台湾有事が発生する可能性大である。

<中国の知識人は根深い「天下主義」と「天朝心情」を抱いている。現在「中国台頭」のスローガンに突き動かされている多くの人々は、近代以来、西側(とくにアメリカ)が世界秩序を主導していることに反感を抱き、「天下主義」「天下システム」、あるいは「新天下主義」を声高に叫んでいる>

葛兆光(かつ・ちょうこう)氏は『完本 中国再考』の中でそう指摘している。エリートと国民の中に巣食うこのような心情を背景に、またその心情を煽(あお)ってチベット、モンゴル、ウイグルなど少数民族を圧制し台湾統一を図って、共産党権力を「天下」に顕示したいという情動が共産党指導部の胸中を騒がせている。中国には巨大な自己の姿を映し出す鏡がないのか。「文明の衝突」は肥大化した自己イメージをもつ国家の衝動によって引き起こされるものにちがいない。(わたなべ としお)

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台湾の声

わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン  頂門の一針 6009号

2022-01-06 09:41:49 | 日記
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 危機の時こそ「説く力」
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    櫻井よし子 

 岸田文雄首相は「聞く力」を強調するが、その発する言葉の意味がよく 分からない。首相がもっと本音を語らなければ、意思の疎通もはかれな い。後述するように日本は危機的状況にある。国民に危機を素直に語り、 国の安全は国民民主党一人一人が共に負う責任だと説くときだ。憲法改正 や自衛隊法改正の具体的課題を理解してもらい国民の意思と力を結集して 初めて、わが国はこの危機を乗り越えられる。

 中国の挑戦は厳しい。戦後の世界秩序の基本である国連などの国際機関 を中国化して中華世界に変質させるための総力戦を彼らは仕掛けている。 その一例が世界貿易機関(WTO)だ。WT0加盟の恩恵を貪(むさぼ) り、経済大国への道を駆け上がった中国だが、基本的にWTOのルールを 守らずに今日に至る。日米欧がだまされていたと気づいたとき、彼らは世 界第2の経済力と軍事力を手にしていた。

 米国防総省が第2次岸田政権発足前に発表した「中国の軍事力」に関す る年次報告書が中国の軍事力構築の凄(すさ)まじさを暴(あば)いている。 白眉はミサイルおよび核戦力急成長の実態だ。日本のミサイル防衛論では 北朝鮮が問題視されるが、2020年の北朝鮮のミサイル発射は8発。中 国は250発以上で、その前の2年間は南シナ海で対艦弾道ミサイルの発 射実験を継続した。北朝鮮の比ではない。
 日本を射程に収めた中国の準中距離弾道ミサイル(MRBM)の発射装 置は150から20年末までに250に、ミサイル本体は150から600 へ4倍に増した。増加分の大半が極超音速兵器を搭載できる新型弾道ミサ イル「東風(DF)17」とみられ、わが国はその脅威の前で裸同然である。

 中国は台湾、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む沖縄の戦域で日米台の軍 事力を上回るが、地球規模の戦略域では米国の核戦力が中国を圧倒してお り、中国が台湾に武力侵攻できない理由の一つとなっている。しかしここ でも中国が米国に追いつきつつあり、米国はいずれ中露、2つの核大国に 向き合うことになる。

 そうした中で、安倍晋三元首相が指摘したように台湾有事は日本有事、 日米同盟有事という厳しい現実にわが国は直面する。台湾海峡の平和と安 定を重視し、台湾を守る立場を、菅義偉前首相がバイデン米大統領との会 談で公約し、岸田首相も明言した。

 状況は非常に厳しいと予想されるが、それでもわが国は活路を切り開 く、前に進む、これが日本だと呼びかけるのが国のリーダーの責務であ る。台湾の蔡英文総統は有事に備え予備役強化を図る「全民防衛動員署」 を新設し、国民全員で国を守る姿勢を世界に示そうと訴えた。安全保障を 米国に頼ってきた日本も、今、目覚めて全員で日本を守る決意を世界に示 すときだ。

 岸田首相はもう一つの重大な役割がある。断じて中国に誤解させないこ とだ。日本は中国の侵攻を許さず、必ず反撃すると、明確に伝え続けなけ ればならない。その決意を予算と国防政策の両方で特筆する形で見せてい き、日米同盟を筆頭にあらゆる国々との連携強化を「スピード感」を持っ て進めるがよい。

 岸田首相は「本格的な首脳外交」と「徹底した現実主義」で「新時代リ アリズム外交」を推し進める、と表明した。新時代リアリズム外交とは1自由、民主主義、人権などの普遍的価値観の重視2
気候変動、新型コロナ ウイルスなど地球規模課題の解決3我が国を守り抜くための備えの強化だ という。

 これら全て、焦点は中国への向き合い方だが、対中国では首相は揺らい でいないか。首相が誇る自民党宏池会(岸田派)は「自由を渇望」して誕 生した、と「核兵器のない世界へ」(日経BP)で首相は書いた。自由の 希求が宏池会の原点ならば、ウイグル人、香港人、チベット人やモンゴル 人から根こそぎ自由を奪っている中国になぜ抗議しないのか。中国の人権 侵害に対する国会の非難決議の要求を、公明党が主張したにしても、なぜ 潰したのか。

 北京冬季五輪・パラリンピックに政府使節団などを派遣しない{
外交的ボイコット}は米国、英国、豪州、カナダなどに遅れること半月以 上、中国へのいじましいばかりの遠慮は人権侵害も他民族の虐殺も、更に は他国領土の切り取りさえも許されると中国共産党に誤解させかねない。

 岸田首相はまた、わが国の平和と安全を守り抜くために敵基地攻撃能力 も排除せず、現実的に対処すると繰り返すと同時に「核なき世界を目指 す」
とも語り続けている。「現実的に」分析すればわが国周辺こそ地球上 でミサイル、核の密度が最も高い地域だ。その中で核なき世界をどう達成 するのか。岸田首相が尊敬するオバマ元米大統領は核なき世界を目指すと 演説し、ノーベル平和賞を受けた。しかし彼は「戦後、最も核弾頭を削減 しなかった大統領」だった。米紙ニューヨーク・タイムズが「概念と実績 の大きな乖離(かいり)」と批判した点だ(2016年5月28日)。

 他方オバマ氏は核なき世界を掲げる一方で、米国保有の核兵器の品質保 全と機能改善のために30年間で1兆ドルの予算を計上した。強大な核の力 を持って初めて核なき世界への交渉を主導できる。全てが力の世界である ことを、あのオバマ氏でさえ知っていた。1発の核さえないわが国の首相 が核なき世界を目指すなら、発言力を持つために核の保有が必要だという ことだ。交渉のための材料も力もない理想論は空論に近い。岸田首相も現 実を見ることが大事ではないか。

 わが国は対中外交で多くの失敗をした。国の根本的な政策を間違えた。 その多くが宏池会が政治を主導していたときに起きている。

 宏池会の源流となる吉田茂元首相は当時の日本の経済的貧しさと国民の 軍に対する忌避感の強さの前で再軍備の助言を退け続けた。池田勇人元首 相は前任の岸信介元首相による日米安全保障条約改定に対するすさまじい 反対におじけづいて経済成長推進に特化した。宮沢喜一元首相は慰安婦問 題で韓国や中国の反日世論に圧倒されて、証拠もないのに慰安婦強制連行 説を韓国政府に8回も謝罪した。

 加藤紘一元幹事長も河野洋平元衆院議長も、中韓両国の反日世論および 国内の左翼勢力の圧力の前で証拠もなしに慰安婦の強制連行を認めた。宏 池会は圧力の前に耐えきれずに国家の根幹に関して妥協し、くずおれた。

岸田首相には発想を変えてほしい。宏池会の原点である自由や民主主義を 大事にして、主張してほしい。「中国は巨大かもしれない。それでも私た ちは価値観において正しい。だから勇気を持って声を上げ続けよう。広く 世界に訴えよう」と。

産経新聞 令和4年1月3日

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松本市 久保田 康文 


SONYのEV参入は「大決断」か、愚挙か?    ダムは決壊した。次世代技術の流れは面妖な方向へ。

2022-01-06 09:41:08 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)1月6日(木曜日)
     通巻7180号 
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 SONYのEV参入は「大決断」か、愚挙か?
   ダムは決壊した。次世代技術の流れは面妖な方向へ。
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 1月3日、NY市場でアップル株の価時価総額が3兆ドルを突破した。 
じつは同日、テスラ株も14%の暴騰、時価総額が1・2兆ドルとなり元に戻った。先月、テスラのイーロン・マスクが保有する株式の10%を売却したため、テスラ株は1243ドルから886ドルに下落していた。

テスラは2020年に50万台生産した。2021年は93万台、このうち、31万台が中国国内の販売実績だったが、20万台が中国でリコールとなった。
EVの販売は2022年前半に絶頂を迎えるだろう。そして22年の後半から売れ行きは鈍るか、激減するだろう。理由は簡単で、中国政府のEVへの補助金制度が終わるからだ。

 皮肉なことに全米自動車販売で、トヨタがGMを抜いた(1月4日)。フォードを抜き、クライスラーを寄せ付けず、「黄金の時代」を築いたGMが、まさか黄色い猿と罵った国に追い抜かれたのだ。
 しかし何故に自動車がガソリンからEVに変わるのか。
ガソリン車が深化したハイブリッド車が全盛期をむかえようとしていた時に、横合いから吹き荒れた竜巻は地球温暖化だった。熱病のように世界で気象問題が人類の危機だと煽られ、流れが変わった。これが嘘だったことは明らかなのに、流れ出した激流は、もはや止めようがない。ダムが決壊したとき、防ぐ方法はないように。

インテルもSONYも、他社との提携とはいえ、EVに乗り出すという。極めつけはアップルのEV進出である。他方、事実上倒産している恒大集団は昨年、EVに進出し、まだ一台も車を作っていないのに上場し、カネを集めた。まるで詐欺師の手口である。

嘗ての禁酒法しかり、禁煙運動しかり、フェミスズムからヘイトスピーチ禁止、LGBTなど、基本の流れ方、熱病のような熱狂と興奮は客観的で科学的、合理的考察を吹き飛ばす爆発力がある。


 ▼米中経済戦争の決戦場

次世代技術の争奪戦、開発レースが熾烈に進んでいるが、米国と中国の技術覇権戦争という本質が顕現してきた。

第一に従来、ペンタゴン主導だった新技術開発が、インターネットの民間企業によるイノベーションによって、軍民汎用から民間主導に置き換わったことである。宇宙衛星までが民間企業の躍進ぶりだ。
 1997年までインターネットという言葉はなかった。GAFAMの興隆は、ネット社会実現以降であり、いまや選挙までSNSによって甚大な影響を受け、活字媒体はおおきく後退した。次はメタバースだと市場関係者は騒ぐ。

第二に従来、技術後進国だった中国が先進国から技術を盗み出すことによって、米国の追いつき、宇宙開発では、あろうことか中国が優位に立った。超音速ミサイルとて、もし真実だとすれば、米国を追い越したこと意味する。
暗号通貨、スパコンから量子コンピュータ。中国の猛追は凄まじい。
すなわち中国は国家中枢が立案した戦略的長期計画に基づき、集中して目的を達成できるという専制政治の強みがあり、自由主義社会とは体質が異なる。
民主主義社会は中央集権的な整合性を摂れないという脆弱性、意思決定の遅行性というアキレス腱がある。

第三に「貿易」「投資」「研究」のデカップリング現象だろう。米国は貿易が恒常的な赤字体質であるのは物作りを放棄し、工場を海外へ移動した。したがってハイテク兵器の部品も国内で調達できなくなった。
補給を間断なく効率的に埋める世界サプライチェーンは疫病と経済制裁の欧州で機能しずらくなった。
投資はウォール街がシティから主導権を奪い、株、債券、FX、商品市場で世界を牽引し、さらには研究、イノベーションは米国が圧倒的に優位に立っている。このデカプリングのひずみが各所に現れている。

第四に通貨の変容、つまり支払いが手形、クレジットカードから、ディヴィッド・カード、電子決済、スマホ決済が主流となって後発組のほうが有利となる。
膨大なデータが集約されると、これを国民監視、統治の絶対的武器として活用する全体主義国家、対してプライバシー保護でデータを保護しようとする民主国家という二極化である。

第五は世界覇権の性格が艦船、戦闘機、火力、核兵器、軍事援助、無償支援など従来型から、シルクロードに象徴されるように当該国家指導部を巻き込んだ政略主導の形態に移行し、SNSネットワークへ戦場が移動しつつあることだ。
日本は嘗ての世界一も数えるほどになった。衰退一途なのか、巻き返せるのか。