izumishのBody & Soul

~アータマばっかりでも、カーラダばっかりでも、ダ・メ・ヨ ね!~

ギャラリーナユタで、不思議なフォトグラムと出会った!〜西村陽一郎展「光る玉」

2020-02-07 15:46:18 | アート・文化

先月末に続いて、銀座奥野ビルの「ギャラリーナユタ」。

佐藤香織さんから「是非みてくださいね」と言われたこともあり(佐藤香織さんのオススメは全幅の信頼を寄せているのだ!)、暖かな陽気となった2月の水曜日、この日は京橋「ギャラリー檜」でさとう陽子さんの個展も開催中でもあり、ギャラリー2件のハシゴ。

 

ギャラリーナユタでは、西村陽一郎展「光る玉」に驚きと感嘆!印画紙に直接ものを置き、光をあてて画像を得る”フォトグラム”という技法を観るのは初めて。不思議な感覚だ。

今回展示されているのは印画紙の上にシャボン玉をのせて撮影したモノクロの作品。

印画紙の上のシャボン玉が細長く引き延ばされ、光を受けて輪郭が白く中に黒い芯があるような不思議な写真。まるでロウソクの炎か細長いランプが並んでいるよう。。。幻想的だ。

2016年に発売された西村さんの写真集『青い花』という”スキャングラム"という技法で創られた作品集を見せてもらったが、これがまた素晴らしい!のひと言!!

”スキャングラム"とは、スキャナーに置いた花や葉をネガデータにした言わば『”フォトグラム”のデジタル版』。ネガは色が反転するから、例えばめしべやおしべが白くなり、花弁は白くなり、花びらの重なりは透明に細部まで鮮明に写し出されている。さらに補色による色の変換が生じるので、黒いバックに浮かぶのは青と白の幻想的で宇宙的な世界。。。

ハイビスカスやツツジなどの赤い花が青く浮かび、めしべが白く輝き、おしべの先は白く長くゆらゆらヒョロヒョロと伸びているように動いて見える。。。ページを繰っていくうちに、どこまでも広がる空間に音楽が響いているような雰囲気だ。。凄い(!!)作品集であった!この写真集は、国立印刷局理事長賞、部門賞金賞をダブル受賞したとのことだが、どこか妖しくも美しい青い花の世界に引き込まれるような気分だ。

たまたま作者である写真家の西村陽一郎さんがギャラリーに来られていろいろお話しを伺ったのだが、とても穏やかで優しい眼差しの方。印画紙やスキャナーの上にいろいろなものを置いて撮影して作品を創り出していくその作業は、まるで自ら遊びながら面白がっている少年のような素敵な方でありました。

西村さんの素晴らしい世界を垣間見ることができるオフィシャルHP https://www.yoichironishimura.com 

西村陽一郎展「光る玉」〜フォトグラム作品

 

 

銀座奥野ビルの「ギャラリーナユタ」と京橋の「ギャラリー檜」までは、歩いて10分程度の距離。

2月3日から15日までの、まったく同じ期間に開催中の「さとう陽子展ーすきをすくー」。

時期が同じって嬉しい。散歩気分で両方観られる。

さとう陽子さんは結構長いこと見つづけてきている作家さんで、最初の頃から段々と色が増え、明るさが出て来て、写真作品も加わり、独自の世界を広げ深めてきているように思う。

画や写真、それにときおり添えられる短い詩がまたとてもクールだけど叙情的でもあり、全部が相まってひとつの世界を創り出している。

今回添えられた言葉は、「美しさを見つづける」というシンプルかつ真っ直ぐな眼を感じるもの。

佐藤さんの言葉には、例えば「とてもな」というものがあったが、解釈の仕方は多様。今回の「すくをすく」って、好きを好く(?)、鋤を鋤く(?)、隙を透く。。。いろいろな意味が広がる。

作品のいくつかの画面には、鋤きで鋤いたような規則的な線が隠れていたり、好きだな〜この色、といった感想が浮かぶものがあったり、多面的で包容力のある表現がどんどん広がってきているように思える。

ひたすらに美しさを求めて、ただし「逃げでもない。責めでもない。ひとつの覚悟として」見つづけること。その面白さと孤高を引き受けて表現し続ける。発表し続ける。さとう陽子さんの強さと深い優しさを感じる個展でもあった。

「さとう陽子展ーすきをすくー」

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする