9月6日・7日と日本太極拳友会本部合宿に参加した(もう10年ぶり以上かも?!)。傅清泉老師の楊式太極拳の合宿であった。
太極拳の練習を始めて今年で40年(!)、何度も中国に行って陳正雷老師の指導を受け、老師が来日した折りには大阪や千葉での講習会に参加し、普段は横浜で三代一美先生の下で、ひたすら陳式太極拳だけ。。。(一美先生が亡くなって、今年は3周忌を迎える)
でもここ数年、陳式以外の伝統拳も学んでみたい、視点を変えて太極拳を深めていきたい、という気持ちが出てきて、今年は伝統楊式か呉式太極拳をやってみようかなぁ〜と思っていた。
所属する日本太極拳友会はここ何年もずっと楊式太極拳の名家・傅清泉老師を招聘していて、合宿や講習会を行ってきている。 せっかく身近なところに伝統楊式太極拳の老師がいるのだし、この際、一度は合宿に参加してみよう!と思ったのが夏の初め頃。血小板血症の方も、乳ガンの方も、幸いクスリの副作用はなく体力は戻っている。2泊3日はムリでも1泊2日くらいなら大丈夫だろう。。。エイヤッ!と決断して、横浜から延々千葉県茂原市まで。
伝統様式85式の套路は全然覚えてないけど、右見たり左見たり(時々人の間から見える傅先生の動きを横目で見たり)しながら練習。楊式は動きがゆっくりだし、見ながらなんとかついて行ける。
傅清泉老師は、練習するときは何に気をつけていればいいのか?ということをお話しする(思えば陳正雷老師も王西安老師もそうだった)。その言葉をしっかり聞いて、まずはアタマで理解し、それを身体に入れて覚えていくことが太極拳を練習する、ということなのだと思う。順番や形を教わることよりも(ま、必要最低限ではありますが)、太極拳の理念を身体で理解することが重要だ(これが難しい!)。
で、傅先生が今回の合宿で言われたのは、まずは、
★精・気・神が大事。ということ。
精=腰から下の部分。下盤を安定させる。
気=胸、上体の部分。
神=アタマ。脳、意識、であるね。
これを聞いて、すっごく納得したのが、その昔、中国に行く度に正雷先生が「存念すること」として書いてくれたいくつかのことだった。
毎回「勤学苦練」や「継続練習」の4文字で始まる言葉の下の句(?)は、「高い峰が見えてくるよ」だったり「精研太極。。。(?)」とかだったりしたが、ある時の言葉に「神」という字があったのだった(!)その時は、ニュアンスは感じ取ったがそれが具体的にどういうことか分からないままだった。今回の合宿で傅老師のお話しの中に「精・気・神」が出てきたことで、ワタシの中で何か繋がった感覚があった!
★開胯合胯(胯の開合)ということも何度も言われた。
陳式は纏糸勁がある。楊式も纏糸勁がある。外側の纏糸、内側からの纏糸ーーその違いだけだと。
楊式の動きの中には、”腰を絞る、眼を使う”箇所が随所にある。腰が廻るー胸が開くー肩が開くー手が開く。眼が開くように腰がもうひと絞り!って感じだ。この場合、腰から下は動かないから、絞った腰がゆるっと開く時に胯の開合があり、それで次の動作が始まる。。。
傅老師の腰はすごく柔軟に動く。でも、下半身は根が生えたように動かない。その”精”があって、腰が纏糸を導き出す。基本は陳式太極拳とまったく同じだ!
”胯の開合”については、その昔、丁 傑老師に陳式剣を習った時に、丁 傑老師から言われたことがあった。
”斜飛式”という動きで、腰〜胯〜手と順番に左から右上方に開いていった最後は「合胯」で顔が正面を向いて定型。一動全動で合う、である。
正雷老師の剣では、同じ動作でも合胯はそのまま次の動作に繋がっていて、形で見せることはない。合で形ができたら次の動作に連綿と繋がっていく。
目に見える形は違っても、身体の中で開合をやってることは同じ。をれを知るのが講習会に参加する意味だ。
講習会では、基本練習として搂膝拗步と倒撵猴(陳式では倒卷肱にあたる)の足運びを何度も練習したのだが、手を使わないようにするために両手は左右に開いておいたまま行う。これで退歩が難しいのよ!
腰を回して(中心線は斜めに向いている)その向きで後足を出して(開胯になる)、腰が回って中心線が前を向いたら後足が着地する。後足はすぐに着地しない!すぐに足を着きたくなっちゃうからそのたびに「違うっ!腰が先!」。
眼は後の手を見たまま(つまりは上体を使わない練習だ)。腰が廻って進行方向に腰が収まると眼は前を向いているし両手は身体の左右にある。軸と方向がずれているとバランスが取れなくて足を持ち上げることができない。。。ン?アレレレレ?
そういえば、これ、前に陸瑶先生の呉式太極拳の体験をさせてもらったのと同じだ!退歩のバランスが上手く取れず(爪先が開いちゃう!)、ある人にチラッと聞いたら「真後ろに下がるんじゃないのよ。腰を回してその斜め後ろ方向に足を出して腰を回して(体重を)移す(これで進行方向に向いて座れる)」。言われた通りやってみたら、あら!できた!先ず腰、それからまた腰。。。自分だけの経験則だけでいくらやってても分からない。こんな発見があるのも、専門の講習会に出て、直接中国の老師の動きを見て、聞いて、感じて、繰り返し復習して、それでやっと世界が広がる、自分の身になる!
一美先生もよく言っていたが、太極拳はいってみれば膨らんだゴムまりのような身体を作ること。弾力(=張力)があり、押すと一瞬縮むがすぐに反発して膨らんでくる。練習当初に覚えたいくつもの四文字熟語をあらためて考えてみる。何度でも基本に戻るーが必要だなぁ〜と実感。
というわけで、套路は覚えてないけど(?!)、身体感覚において得るものが多い合宿でありました。