若かりし頃の話

前回からだいぶ経っているので、おさらいを・・・

朝、会社につくと当時の課長が頭を抱えている。
前日の新入社員面接に集めた「履歴書」を入れたカバンを電車に置き忘れたらしい。
イライラと大きなため息をつく課長

そして・・・

「課長、自分で電話したほうがいいですよ」
普段はこびへつらっている部下からそんな事を言われた課長。
「うるさい！そんな事はわかっているんだ。この状況わかるだろ？助けてくれよ」
「社長が戻ってくるのは1時過ぎ・・・多分報告をしなければならないのは引き伸ばしても3時ってところですね」
「はぁ～あ、どうしよう」
「忘れ物相談所にもう一度電話してみます」
上三人はドタバタしています。

自分は内心
『ざまぁみろ、見つかるなよぉ』とあざ笑いつつ、自分の仕事をしていました。
「編集人くん、君は本当に冷たい男だねぇ」
「いや、自分はどうしようもないですから」
「本来君が率先して忘れ物相談所に電話かけるとかするべきだろう」

・・・違うだろう？・・・

「課長、見つかったそうです」
あー、みつかったかぁ！
「茗荷谷の忘れ物相談所にそれらしきものがあるそうです」
「よかったぁ」
ヘナヘナと崩れ落ちる課長。いい気味だ。

すると・・・
「編集人くん、受け取りに行ってくれ」
「ダメですよ。ああいうのは本人以外渡してくれませんよ」
「いいから、取りにいけといっているんだ」
「ですから、本人以外無理なんです。自分も経験ありますから」
「誠意をもって説明すれば大丈夫だから。いいから行きなさい」

なんか途端に元に戻りやがったなぁ。

「だったら委任状書いてもらえませんか？多分必要だと思いますよ」
「そんなもの書いてる余裕ないだろ？時間がないんだよ」

この段階でそろそろお昼・・・
行って帰って往復2時間・・ってところか・・・

あれ？俺の昼休憩は？？

「まっすぐ帰ってくるんだよ。こっちは急いでいるんだから」
「寄り道すんなよ」

なんかまたこいつら結束固めてんなぁ。
とりあえず、名詞をもらって駅の忘れ物相談所へ。
本来自分が行く話じゃないんだけどねぇ。

駅について事情を話すと
「委任状は？」
ほら来たぞ。
「委任状がないと渡せませんねぇ」
「自分もそれは言ったんですけど・・・」
「委任状もらってきていただけますか」
「ちょっ、ちょっと待ってください」

これでそのまま帰ったら何言われるかたまんないもんなぁ。

電話を借りて直接話してもらいましょう。
こっからは駅員さんの怒気あふれる言葉をお楽しみください
「はい、ええおたくの社員さんが来てカバンをくれといってますけど、委任状がないと渡せませんよ。そこを何とかといっても無理ですねぇ」

「ですから、これはルールなんですよ。わかりますか？ルールです」

「大体あなたが忘れ物をした訳ですよね。大切なものなんですよね。それを委任状も持たせずに部下に取りにいかせるってどういう神経しているんですか？」

「ええ、委任状がないと渡せません。これはルールですから」

「でしたらあなたが取りに来てください」

電話を切ると駅の担当者さんが・・・
「君も大変だねぇ」
とねぎらいの言葉。
「はぁ、どうもです」

すると事務所の電話が鳴る。
会社から電話でした。
「あ、そうですか。委任状、ファクスで送って後日ちゃんと・・・ええ、そうですか。わかりました。その時はかならずあなたが持参してください。いいですか？」

特別な措置らしい。
結局委任状を書いてファクスで送り、後日正式なものを課長が持参する事でまとまったらしい。
「変わってって」
電話に出ると課長から・・・
「ガキの使いじゃないんだから、うまく丸め込んでカバンを持ってくることくらいしろよ。本当に使えないなぁ、お前は・・・」

そういうことなのか？
さすがにキレたので
「課長、昼飯食べて帰ってもいいですか？」

「ば、バカ言うな。すぐ戻って来い」
「でも、自分昼休憩ないんですけど、おなかすきました」
「いいか、そんな事してみろ、ただじゃ済まさないぞ」
「じゃあ休憩なしで働かした事を組合にいいますけど、いいですか？」
「何だと？」
「しかも理由聞かれたら、どう答えましょうかねぇ」
「わ、わかった、今日の昼飯代は俺が出すから、頼む。お願いだからすぐに帰ってきてくれ」

こんなことが組合にバレたら、それこそ大変な事になりますからねぇ。

仕方ないので、すきっ腹抱えて会社に戻りました（笑）

課長からお駄賃（口封じ料）として1000円いただきました。
ごっちゃんです（笑）

こっからしばらくイジメはなかつたんですけど・・・・

そして、運命の日がやってきます・・・

次回に続く