気がつくと俺は巨大な水槽の前にいた。
目の前を熱帯魚が行き来している。
どうやら俺は水族館にいるようだ。
しばらくぼんやりと水槽を眺めていると後ろから声をかけてくる奴がいた。
「おじさん」
その聞き覚えのある声のほうに振り向くと、そこにはあの少女が立っていた。
「ああ、君か」
「おじさん、こんなところにも来るんだねぇ」
そう言うと彼女はコロコロと笑った。
「いやぁ、どうなんだろうかね」
「結構ロマンチストなんだ」
「いやぁ・・・」
「でも珍しい時間にいるね。いつもはこの時間誰もいないんだけどな」
「うん、ちょっとね。今日は会社休みだから」
「 ふーん、じゃあ今日ヒマなんだ」
「まあね」
「じゃあさ、一緒にここ見学しようよ」
「えっ」
「一人で観ててもつまんないしさ。一緒に観ようよ」
「うん、そうだね」
少女はこの水族館に何度か来ているようで、迷うことなく館内を案内してくれた。
この水族館はかなり広いようで、しばらくすると喉が乾いてきた。
「ちょっ・・・ちょっと休憩しようよ。おじさん喉乾いたよ」
「あ、じゃあそこに休憩コーナーあるから休憩しようか」
本当に都合のいい場所に喫茶店があるもんだ・・・そう思いながら、俺達は喫茶店に入っていった。
緑色のソーダ水ごしに見る彼女の笑顔はますます愛らしい。
改めて見るとかなりの美少女だ。
「あのさ、冷静に考えたら、おじさん君の名前聞いてなかったよね」
「あ、そうだったっけ?」
「うん」
「陽子」
「陽子ちゃんね」
「ちゃんづけはやめて欲しいな。私、こう見えても来年成人式なんだから」
「あ、19なんだ」
「そう」
その後とりとめのない会話が続いた。
家族のこと
会社のこと
彼女の質問攻めに俺は一つ一つ答えていった。
「ふーん、じゃあおじさんには子供2人もいるんだね」
「ああ」
「大変でしょう。あの年の女の子って難しいから」
「そうらしいね」
「私もそうだったからなぁ」
「こういう時どういう気持ちなんだろかねぇ」
「何かねぇ・・・汚い感じすんだよね。ほらむこうがこっちを女性として見てないから、結構デリカシーのない事やってくるじゃないですか。そっからまずイヤになって、で、そんな状態でうざい事言うからますますイヤになって・・・それがドンドン積み重なるって感じかなぁ」
確かに女性として意識はしてなかったな。俺は彼女の言葉に思い当たる節があり、素直に反省した。
とはいえ、彼女と過ごすこの空間は俺にとって癒しの時になっていたのは間違いなかった。フッと力が抜けた時、彼女の顔が歪んだように見えた。
次の瞬間、体が大きく揺れるような感覚を覚えた。
地震か?
そう思った瞬間、突然映画が終わったように空間がバサッと切られた感じがした。
「あなた、会社から電話よ」
女房に体を揺すられて俺は起きた。
「何?」
「会社でトラブルがあったらしいの。電話くれって」
「うーん・・・なんだろうなぁ」
「じゃあ、アタシ出かけるからね」
時計を見ると・・・寝はじめてからまだ2時間くらいしか経っていなかった。
体を起こすと・・・さっきよりはやはり体の重さが軽減している。
「夢のせいか??」
そんなことはないだろうと言う思いと、ひょっとするとという思いが交錯する。
「あ、会社に電話しなきゃな」
と言う独り言をいいつつ、俺は下のリビングに降りていった。
つづく・・・
目の前を熱帯魚が行き来している。
どうやら俺は水族館にいるようだ。
しばらくぼんやりと水槽を眺めていると後ろから声をかけてくる奴がいた。
「おじさん」
その聞き覚えのある声のほうに振り向くと、そこにはあの少女が立っていた。
「ああ、君か」
「おじさん、こんなところにも来るんだねぇ」
そう言うと彼女はコロコロと笑った。
「いやぁ、どうなんだろうかね」
「結構ロマンチストなんだ」
「いやぁ・・・」
「でも珍しい時間にいるね。いつもはこの時間誰もいないんだけどな」
「うん、ちょっとね。今日は会社休みだから」
「 ふーん、じゃあ今日ヒマなんだ」
「まあね」
「じゃあさ、一緒にここ見学しようよ」
「えっ」
「一人で観ててもつまんないしさ。一緒に観ようよ」
「うん、そうだね」
少女はこの水族館に何度か来ているようで、迷うことなく館内を案内してくれた。
この水族館はかなり広いようで、しばらくすると喉が乾いてきた。
「ちょっ・・・ちょっと休憩しようよ。おじさん喉乾いたよ」
「あ、じゃあそこに休憩コーナーあるから休憩しようか」
本当に都合のいい場所に喫茶店があるもんだ・・・そう思いながら、俺達は喫茶店に入っていった。
緑色のソーダ水ごしに見る彼女の笑顔はますます愛らしい。
改めて見るとかなりの美少女だ。
「あのさ、冷静に考えたら、おじさん君の名前聞いてなかったよね」
「あ、そうだったっけ?」
「うん」
「陽子」
「陽子ちゃんね」
「ちゃんづけはやめて欲しいな。私、こう見えても来年成人式なんだから」
「あ、19なんだ」
「そう」
その後とりとめのない会話が続いた。
家族のこと
会社のこと
彼女の質問攻めに俺は一つ一つ答えていった。
「ふーん、じゃあおじさんには子供2人もいるんだね」
「ああ」
「大変でしょう。あの年の女の子って難しいから」
「そうらしいね」
「私もそうだったからなぁ」
「こういう時どういう気持ちなんだろかねぇ」
「何かねぇ・・・汚い感じすんだよね。ほらむこうがこっちを女性として見てないから、結構デリカシーのない事やってくるじゃないですか。そっからまずイヤになって、で、そんな状態でうざい事言うからますますイヤになって・・・それがドンドン積み重なるって感じかなぁ」
確かに女性として意識はしてなかったな。俺は彼女の言葉に思い当たる節があり、素直に反省した。
とはいえ、彼女と過ごすこの空間は俺にとって癒しの時になっていたのは間違いなかった。フッと力が抜けた時、彼女の顔が歪んだように見えた。
次の瞬間、体が大きく揺れるような感覚を覚えた。
地震か?
そう思った瞬間、突然映画が終わったように空間がバサッと切られた感じがした。
「あなた、会社から電話よ」
女房に体を揺すられて俺は起きた。
「何?」
「会社でトラブルがあったらしいの。電話くれって」
「うーん・・・なんだろうなぁ」
「じゃあ、アタシ出かけるからね」
時計を見ると・・・寝はじめてからまだ2時間くらいしか経っていなかった。
体を起こすと・・・さっきよりはやはり体の重さが軽減している。
「夢のせいか??」
そんなことはないだろうと言う思いと、ひょっとするとという思いが交錯する。
「あ、会社に電話しなきゃな」
と言う独り言をいいつつ、俺は下のリビングに降りていった。
つづく・・・