いせ九条の会

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不可能に近い自衛隊の補給の限定条件/山崎孝

2007-10-22 | ご投稿
初めに前日のブログを次のように訂正します。海上自衛隊の「ましゅう」は9月4日に米軍の強襲揚陸艦「イオウジマ」に給油します。艦載機「ハリアー」は、9月9日~21日にかけて、アフガニスタン南部へ136回出撃しました。9月22日、「ましゅう」は9月4日、「イオウジマ」に給油します。艦載機「ハリアー」は、10月初旬、イラク南部バスラ周辺の英軍部隊を支援活動しました。これらは「イオウジマ遠征打撃群」という艦隊行動でした。

【4年前に給油量の間違い把握 海自、長官に報告せず】(2007年10月21日)

イラク戦争開戦直前の2003年2月に海上自衛隊の補給艦がインド洋で米補給艦に給油した量が20万ガロンから80万ガロンに訂正された問題で、海自が約4年前から間違いを把握していながら当時の石破茂防衛庁長官(現防衛相)らに報告していなかったことが21日、分かった。防衛省首脳が明らかにした。野党側の求めに応じて政府が22日に示す報告書に詳細が盛り込まれる。

80万ガロンのうち67万ガロンは対イラク作戦に参加した米空母「キティホーク」に給油されており、対イラク作戦に転用された疑惑が国会の焦点になっている。野党側が「組織的隠ぺいであり、文民統制上、重大な問題だ」と批判するのは必至。インド洋での給油活動を継続するための新テロ対策特別措置法案の審議にも影響が出そうだ。(共同)(記事以上)

政府が国会に提出した「補給支援活動特別措置法案」は《2 補給支援活動の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない》、《二 補給支援活動 テロ対策海上阻止活動の円滑かつ効果的な実施に資するため、自衛隊がテロ対策海上阻止活動に関わる任務に従事する諸外国の軍隊等の艦船に対して実施する自衛隊の属する物品の提供(後略)》となっています。そして、新法は米軍などの補給艦に給油する行為も禁止されておらず、間接給油を受けた艦船がどのような任務をするのかという疑問も解消されていません。

「テロ対策海上阻止活動に関わる任務に従事する諸外国の軍隊等の艦船」と規定し、自衛隊が補給できる条件を設定しています。しかし、テロ対策特別措置法のもとで、海上自衛隊の給油活動は、対イラク作戦に参加した米空母「キティホーク」を間接給油しており、朝日新聞の10月18日の記事は《……計6年間に及ぶ活動の間、海自が給油拠点としてきたインド洋では、対アフガンと対イラクの複数の作戦が交錯し、戦略環境はめまぐるしく変化した》。また、派遣された自衛隊の幹部は、現地部隊は給油する艦船の任務をいちいち再確認はしていないと述べている現実があります。このような状況の中で、テロ対策海上阻止活動に関わる任務に従事する艦船のみを区別して、海自が補給活動をすることが可能なのでしょうか。

自衛隊の補給活動以外でもテロとの戦いや国際貢献は可能です。これに関連した米国人の意見を紹介します。朝日新聞10月22日の「私の視点」欄で、ロバート・オアー氏(前ボーイング・ジャパン社長)とエドワード・リンカーン氏(ニューヨーク大教授)は次のように述べています。

(前略)ブッシュ大統領の外交政策は今やイラク戦争の泥沼化でぼろぼろになり、米国内でも拒絶する人が増えている。日本は勝ち目のない政策にあまりにも近づき過ぎた。

そうした問題点は、テロ対策特別措置法の延長や新法づくりをめぐる最近の日本国内の動きを見ても明らかだ。国際社会が日本に対し、地球規模の様々な責任を担うよう期待していることは言うまでもない。しかし、具体的に何をどうするかは、日本が決めるべき問題だ。もし、インド洋上で海上自衛隊が行なってきた給油活動が最善の策ではないと日本が判断したとしても、多くの米国人は十分理解するし、日本が他の方法でテロとの戦いやアフガニスタン復興に意味ある貢献を信頼している。(後略)