POULENC
Complete Chamber Music Vol. 5
The Story of Babar, the little elephant
(French and English versions)
L'Invitation au Chateau - incidental music
Leocadia - incidental music
(NAXOS)
象のババールというのは、ご存知のように、フランスの絵本の主人公。
画家・絵本作家ジャン・ド・ブリュノフ(Jean de Brunhoff. 1899 - 1937)が、1931年 に発表した絵本『ぞうのババール』 (L'Histoire de Babar le petit elephant) が第1作です。
元々は、彼の妻セシル・ド・ブリュノフ (Cecile de Brunhoff) が2人の息子ローラン (Laurent) とマチウ (Mathieu) に物語った話で、出版後、フランス人の子どもたちの人気者となり、7冊のシリーズとなっています(Wikipedia「架空の象の一覧」の項を参考にした)。
プーランクは、姪たち11人の子どものために、1940~45年にピアノの音楽をつけました(1962年、フランセによって管弦楽に編曲された)。
今回は、その音楽物語を聴いてみようと思います。
ちなみに、NAXOS盤には英語とフランス語との2ヴァージョンが入っていますが、単に元の形だということだけではなく、ナレーションも、ちょっと舌足らずの男の子がしゃべっている、フランス語ヴァージョンの方がいいと思います(英語バージョンは、ティーンエイジの女の子のナレーション)。
小生、英語もフランス語も堪能ではないので、"Ficelle WebSite BABAR" からストーリーを引きます。
「お母さんをハンターに殺されてしまった小象のババールは、人間の世界で優しいおばあさんに出会い、 学問、マナー、車の運転等様々なことを学びました。ぞうの国に帰ったババールは、 幼なじみのセレストと結婚、ぞうの国の王様に選ばれます。 王様になったババールは、人間の世界で学んだことを活かして「ぞうの国」の街づくりをし、ぞうの仲間たちや子供たちと様々な物語を繰り広げていきます。」
プーランクのこの音楽物語は、冒頭部分―母象が殺される所から、人間世界に行き、また象の国に帰るところまでを作品にしているようです。
プーランクの音楽は、控えめなもので、ストーリーにベタに付けるのではなく、ナレーションを邪魔しないように、また、雰囲気を高めるためだけに徹底しています。
音楽自体は、いつものように小粋かつ軽快。
戦争中なのに、というか、戦争中だからというべきか、とても世界で起っている出来事とは無関係な、音楽だけの世界をつくっているように思えます(内心で何を考え、大人として何をしていたかは別にして)。
この音楽によって、子どもたちはいかに慰められたでしょうか。
一部に過去の自分の作品からの引用のようなところが聴き取れますが、それもご愛嬌。分っている人だけが、ニヤリとすればよろしい。ことさら事挙げすることもありますまい。
あまり聴かれることもない作品かもしれませんが、過剰なところはまったくない、心慰められる楽曲ですので、プーランク好みの方にはご一聴をお勧めします。
♪
きょうのJuncoさんのお勧めは、
Stravinsky: "Renard(きつね)"
「象」→「きつね」と「動物つながり」ですな。
例によって、コメント欄もぜひご覧くださいまし。
Complete Chamber Music Vol. 5
The Story of Babar, the little elephant
(French and English versions)
L'Invitation au Chateau - incidental music
Leocadia - incidental music
(NAXOS)
象のババールというのは、ご存知のように、フランスの絵本の主人公。
画家・絵本作家ジャン・ド・ブリュノフ(Jean de Brunhoff. 1899 - 1937)が、1931年 に発表した絵本『ぞうのババール』 (L'Histoire de Babar le petit elephant) が第1作です。
元々は、彼の妻セシル・ド・ブリュノフ (Cecile de Brunhoff) が2人の息子ローラン (Laurent) とマチウ (Mathieu) に物語った話で、出版後、フランス人の子どもたちの人気者となり、7冊のシリーズとなっています(Wikipedia「架空の象の一覧」の項を参考にした)。
プーランクは、姪たち11人の子どものために、1940~45年にピアノの音楽をつけました(1962年、フランセによって管弦楽に編曲された)。
今回は、その音楽物語を聴いてみようと思います。
ちなみに、NAXOS盤には英語とフランス語との2ヴァージョンが入っていますが、単に元の形だということだけではなく、ナレーションも、ちょっと舌足らずの男の子がしゃべっている、フランス語ヴァージョンの方がいいと思います(英語バージョンは、ティーンエイジの女の子のナレーション)。
小生、英語もフランス語も堪能ではないので、"Ficelle WebSite BABAR" からストーリーを引きます。
「お母さんをハンターに殺されてしまった小象のババールは、人間の世界で優しいおばあさんに出会い、 学問、マナー、車の運転等様々なことを学びました。ぞうの国に帰ったババールは、 幼なじみのセレストと結婚、ぞうの国の王様に選ばれます。 王様になったババールは、人間の世界で学んだことを活かして「ぞうの国」の街づくりをし、ぞうの仲間たちや子供たちと様々な物語を繰り広げていきます。」
プーランクのこの音楽物語は、冒頭部分―母象が殺される所から、人間世界に行き、また象の国に帰るところまでを作品にしているようです。
プーランクの音楽は、控えめなもので、ストーリーにベタに付けるのではなく、ナレーションを邪魔しないように、また、雰囲気を高めるためだけに徹底しています。
音楽自体は、いつものように小粋かつ軽快。
戦争中なのに、というか、戦争中だからというべきか、とても世界で起っている出来事とは無関係な、音楽だけの世界をつくっているように思えます(内心で何を考え、大人として何をしていたかは別にして)。
この音楽によって、子どもたちはいかに慰められたでしょうか。
一部に過去の自分の作品からの引用のようなところが聴き取れますが、それもご愛嬌。分っている人だけが、ニヤリとすればよろしい。ことさら事挙げすることもありますまい。
あまり聴かれることもない作品かもしれませんが、過剰なところはまったくない、心慰められる楽曲ですので、プーランク好みの方にはご一聴をお勧めします。
♪
きょうのJuncoさんのお勧めは、
Stravinsky: "Renard(きつね)"
「象」→「きつね」と「動物つながり」ですな。
例によって、コメント欄もぜひご覧くださいまし。