ただの偶然なのですか

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小説「カラフル」森絵都著の感想

2008年01月04日 | 読書
あやまちを犯して死んだ「ぼく」の魂は、「抽選に当たりました!」と天使に言われて、再挑戦のチャンスを与えられる。
危篤状態の他人の体を借りて、他人の人生とその家庭に「ホームステイ」しながら、下界でもういちど修行を積むことになる。
生前の記憶をとりもどし犯したあやまちを自覚した時点でホームステイは終了。

と、まあ、奇想天外なプロローグなのですが…。
私の娘が買った本なのですが、読んでみたらとても面白かったです。
児童文化賞を受賞しているので児童向けかと思ったら、大人が読んでも共感できる作品でした。

突然、見知らぬ少年にさせられてしまった主人公。
そしてその少年は自殺をはかっていた…。
少年の自殺の原因は何なのか。
主人公が犯したあやまちとは何なのか。
謎解きみたいなドキドキ感に読み出したらとまらなくなり、文章力の上手さもあって、ぐいぐい引き込まれました。
そして、その少年と家族の真の姿が見えてくるにつれて、いろいろなことが解ってくるのです…。

他人の人生だと客観的に見ることができても、自分のこととなると見えなくなってしまうんですよね…。
視点を変えて見れば解るかもしれないことも、凡人には難しいです。
それはまさに神の視点かしら…。
奇想天外な物語かと思ったら、物語にすることによって本質的なことが見えてくることもあるのですね。
自分の人生も物語だと思えれば、平坦なストーリーよりも、いろんなことが起こったほうが面白い…。
そして、そんな物語を読みたがっているのは神様なのかもと思ってしまいます。




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