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理想を追い求める完璧主義と、妥協する完成主義「創造性が高い」のはどちらの人?  202206

2022-06-16 21:55:00 | なるほど  ふぅ〜ん

理想を追い求める完璧主義と、妥協する完成主義「創造性が高い」のはどちらの人?
 川勝康弘  Credit:Canva . ナゾロジー編集部 より 220616 


⚫︎完璧になる前のスンドメが重要なようです。
 カナダのオタワ大学(University of Ottawa)で行われた研究によって、完璧主義に囚われている人は、その手から創造性がこぼれ落ちていってしまうことが示されました。

 完璧主義は創作においてクオリティーを高めるために有用であると考えられていましたが、研究では「完璧」よりも「完成」を目指す人のほうが、創造性が高い傾向にある様子が示されています。

しかし、いったいどうして完璧を目指すことが創造性の喪失につながるのでしょうか?
 研究内容の詳細は『British Journal of Psychology』にて公開されています。

◆目次
ー完璧主義より完成主義のほうが創造性が高いと判明!
ー何も完成できてないけど創造性だけは高い?

⚫︎完璧主義より完成主義のほうが創造性が高いと判明!
「完璧主義は創造性を損なう」という意見は古くからあります。
 クリエーターにとって命とも言える創造性には、高い「柔軟性」や「好奇心」が重要な要素となっています。
 しかし、思いつきで新しいアイデアを取り入れる姿勢は、完璧主義を目指す人にとっては、受け入れがたいものでしょう。
 そのため頭の芯から完璧主義である人は創造的な仕事には向かないと考えられていたのです。

 しかし、妥協を繰り返した末に完成した作品は、本当に創造的な作品と言えるのでしょうか?
 独創的なアイデアをイメージ通り形にするためには、完璧主義に含まれる要素は必要不可欠なように思われます。
 確かに、完璧を目指す忍耐力や持続力が壊滅的に不足している場合、いくらアイディアがあっても創作物は永遠に完成することはありません。

 そのため完璧主義が創作の邪魔になるという意見は理解できますが、だからといって完璧主義が創造性を損なうとまで言って良いのでしょうか?

 これまでの研究では、こうした完璧主義と創造性の直接的な関係性まではほとんど調べられておらず、完璧主義が本当に創造性を「損なう」のか? あるいは「促進する」のか? といった問題は謎のままでした。

 そこで今回、オタワ大学の研究者たちが完璧主義が創造性に与える影響を、創造性を測定する複数のテストで調べることにしました。

 調査に当たってまず参加者たちに心理テストを行い、参加者個人の仕事に対する態度が調べられると共に2つの異なる創造性を測るテストを行いました。

 1つめのテストは、280人の大学生を対象に「2つの生活用品を組み合わせて思いもよらない使い方」を可能な限りたくさん考え出してもらうというものです。
 たとえばトイレットペーパーの芯とまな板で小さなテーブルを作るなどです。

 2つめのテストでは、可能な限りたくさん「無関係な単語を並べる逆連想ゲーム」を行ってもらいました。
 こちらでは、たとえば「エビと半導体」「スプーンと浣腸」などの無関係な単語をつないでいきます。

 いずれも回答数の豊富さから創造性を測ります。
結果、最も創造性が高いと判断されたのは「仕事の完璧さ好む完璧主義者」ではなく「仕事の完成を好む完成主義者(excellencism)」と呼ばれる人々であることが判明します。

(※「excellencism」の元となる「excel:エクセル」には卓越・優秀・長所・美徳といった意味が含まれていますが、excellencismが最も好む性質が「仕事の完成」であるため完成主義者と表現しています)

 この結果は、適度な完璧さで妥協しつつ高品質な仕事を完成させられる人(ある意味でプロフェッショナルな人)が、最も創造性が高いことを示しています。


⚫︎何も完成できてないけど創造性だけは高い?
 今回の研究で、創造性が最も高いのは「完璧を目指す人(完璧主義者)」ではなく「完成を目指す人(完成主義者)」であることが示されました。

 研究では完璧主義を「理想化された過度に高い基準を求める傾向」と定義する一方で、完成主義を「高品質で達成可能な基準を求める傾向」と定義しています。

 そのため研究者たちは完璧主義は完成主義よりも過酷である一方で、不均衡・極端・不合理・不必要などネガディブな要素が存在していると述べています。

 また仕事の完成よりも理想を求める完璧主義においては、創造性を犠牲に完璧さを求める傾向も見られるようです。

 完璧主義は理想通りのものを実現させる原動力となるでしょうが、完璧を目指す過程で創造の余地や遊びを奪ってしまうようです。

 一方で完成主義には完璧主義ほどの理想実現を追求する徹底さはありませんが、目的達成を第一とした柔軟さがあり、それがかえって創造性を開花させることにつながっていると考えられます。

 もし漫画やイラスト、小説や作曲で悩んでいるなら、自分の理想を精密に実現しようという完璧主義からは離れて、完成のために柔軟に意見を変える完成主義に心を入れ替えてみるといいかもしれません。


◆参考文献
Study suggests that striving for excellence — but not perfection — boosts creative performance https://www.psypost.org/2022/06/study-suggests-that-striving-for-excellence-but-not-perfection-boosts-creative-performance-63325
⚫︎元論文
Is perfectionism a killer of creative thinking? A test of the model of excellencism and perfectionism https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34472100/#:~:text=Excellencism%20was%20positively%20associated%20with,to%20creative%20indicators%20are%20discussed.
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⚠️ 安全保障の最大課題「日中関係」にまた暗雲 ウクライナ侵攻による「交通と経済」への影響は 202206

2022-06-16 21:38:00 | 気になる モノ・コト

安全保障の最大課題「日中関係」にまた暗雲 ウクライナ侵攻による「交通と経済」への影響は
  Melkmal より 220616   和田大樹(外交・安全保障研究者)

対中国・対ロシア 難しいかじ取り

 ロシアによるウクライナ侵攻から3か月以上が経過するが、日本は対ロ関係の悪化に屈するなく厳しい態度を貫き、対ロ制裁など欧米と足並みをそろえている。

 2022年5月下旬にはバイデン米大統領が訪日し、日米首脳会談で台湾有事や中国による現状変更などをめぐって懸念が示された。

 またその翌日に官邸で開催された日英豪印によるクアッド首脳会合では、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、今後5年間で同地域のインフラ整備に日本円で約6兆3800億円の支援や投資を目指す方針が打ち出された。

 クアッドでは中国を名指しこそしなかったものの、これは中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗するものとなり、政治的な米中競争は今後も激しく続くことになろう。

 しかし、こういった大国間関係の複雑で流動的な変化を、モビリティ企業の海外戦略という視点から考えた場合、ひとつのリスクが考えられる。

 台頭する中国にどう向き合うか。これは日本の外交・安全保障政策上、最も大きな問題だ。

 以前はそのためにロシアとの関係を重視し、それによって中国に向かい合うという、ロシアを戦略的パートナーに位置づける手段も議論されたが、ウクライナ侵攻を受け、それは完全になくなった。

ロシアでの工場停止、輸出ストップ

ウクライナの空撮(画像:写真AC)
 そして、ロシアによるウクライナ侵攻により、欧米と足並みをそろえる形で日本は先制的にロシアに対する経済制裁を発動、強化し、ロシアはそれに対して対抗的に日本へ制裁を実施している。

 これによってロシアに進出する日本企業の間では、撤退や規模縮小といった「脱ロシア」の動きが加速し、今後の明るい見通しは見えていない。

 モビリティ業界では、日本と欧州各地を結ぶ航空会社はロシア上空を回避し、南回りなどの迂回路(うかいろ)を余儀なくされ、時間やコストが増大している。

 また、ロシアにある日本の自動車企業は、現地工場などでの操業停止を選ばざるを得なくなるなど、大きな影響が出た。

 日本の自動車販売関連企業では、日本政府が高級車のロシア輸出をストップさせたことで経営上大きなマイナスになっている。ロシアによるウクライナ侵攻で、航空や車などモビリティ業界へ大きな影響が出ている。

 そして、今後影響が日中経済に及ぶ可能性がある。

 日本や欧米とロシアの関係が冷え込む中、中国は静観的な姿勢を崩さず、ロシアとの経済関係はむしろ結び付きが強くなっている。

中国による過去の制裁事例

ウクライナ侵攻のイメージ(画像:写真AC)
 そして、これまでの米中経済摩擦もある中、日本は対中国でも米国との結束を固めているが、今後はこういった大国間を取り巻く緊張が、日中経済関係にまで影響を及ぼすことが懸念される。

 前述のクアッドの共同声明では、中国の台頭を念頭にあらゆる威圧的行動に強く反対することが確認された。

 しかしその後、北京では中国外務省が日本公使を呼び出し、「日本の誤った言行に強い不満と深刻な懸念を表明した」と厳重に抗議した。

 日本経済にとって、中国が重要な国であることに変わりはなく、米中関係が悪化する中、中国としても日中経済関係の悪化は避けたいのが本音だろう。

 しかし、それは絶対的なものではなく、その時の国内情勢や対外関係なども影響し、場合によっては、中国側から先制的な制裁措置が日本に対して発動される可能性も否定できない。

 実際、過去に関係が悪化した際、中国が日本に先制的制裁を取ったことはある。

 2010(平成22)年9月には、沖縄県・尖閣諸島で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突して中国人船長が逮捕された。その際、中国は対抗措置として日本向けのレアアースの輸出停止・制限を実施した。

日中関係、楽観視できぬ現状
 また2005(平成17)年には、当時の小泉純一郎首相が靖国神社を参拝したことで、中国国内では反日感情が高まり、各地で日本製品の不買運動が発生した。

 2012年には日本政府が尖閣諸島国有化を宣言したことで、中国各地では反日デモが拡大し、トヨタやパナソニックの工場や販売店などが放火され、日本の百貨店などが破壊や略奪の被害に遭ったことがある。

 いずれも中国側からすれば、船長の逮捕や国有化など“日本が先に行動に出たから”自分たちも対抗した、という考えだろう。

 また、これらは2国間関係の中で原因と結果が生じたケースだが、大国間競争、大国間対立という問題が、日中関係に悪影響を与える可能性は排除できない。

 中国が台湾に侵攻しない限り、日中経済の中でウクライナ情勢のような大きな摩擦が生じる可能性は低いが、中国に比重が多いモビリティ企業などは、今後の動向を注視していくべきだろう。

 少なくとも楽観視できる状況では全くない。


💋既に過去から隣国や各国が支那と揉めて貿易停止、今更だが信用ない国なのに
  未だに工場作り、稼働し、全て、彼の国の法律で簡単に接収されるのは自明の理
   なのに…政治も経済も…
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⚠️ 我々は「現代版バベルの塔」崩壊を目の当たりにしている─注目の社会心理学者の意見を“要約” | 賢者は沈黙し、過激派が武器を持つ時代に…202206

2022-06-16 21:26:00 | なるほど  ふぅ〜ん

我々は「現代版バベルの塔」崩壊を目の当たりにしている── 注目の社会心理学者の意見を“要約” | 賢者は沈黙し、過激派が武器を持つ時代に…
  クーリエジャポン より 220616


 元米国大統領バラク・オバマや米アマゾン創業者ジェフ・ベゾスは、社会心理学者ジョナサン・ハイトの論考を読み終えた後、人々に一読を促しました。

⚫︎ジョナサン・ハイトが指摘する「いいね」の弊害
 ハイトは「バベルの塔」を例に、現代の米国で愚民化が進む理由を説きます。いま米国で、そして世界で、なぜ分断が進んでいるのでしょうか? クーリエ・ジャポンでも反響の大きかった長文記事を要約してお届けします。

 SNSが人々に発信する力をもたらしたことで、民主主義は前進すると思われました。しかし「いいね」やシェア機能が導入されたことで、SNSは過激な意見を拡大させる武器になり、これが分断(バベルの塔の崩壊)を招いたと、ハイトは指摘します。

「バベルの塔」のストーリーは有名です。かつて単一の言語で通じ合っていた人類は、威厳を示すために天まで届く塔を建設したが、神は激怒して人類の言葉を乱し、互いに意思疎通を不可能にした──。ハイトはSNSが興隆した2010年代を振り返ると、この「バベルの塔」が現代の我々にも、そのまま当てはまると書きます。

 ハイトは、現代版バベルの塔がもっとも天に近づいたのが2011年だといいます。同年には「アラブの春」と「オキュパイ・ムーブメント」が起き、民主化や格差の是正のためにSNSが活用されたときだったのです。

 SNSで誰もが意見を唱えられるようになり、情報は国境を越え、世界は一つになるのではないか──2010年代当初はこのような楽観的な期待がありました。しかし、SNSに拡充された「いいね」ボタンとシェア(リツイート)、この2つの新機能が民主主義の屋台骨に亀裂を生じさせたと、ハイトは指摘します。

「いいね」によって、人々の関心が数値化されると、SNSユーザーは他人がどう反応するかを見越して、バイラル化する投稿(広く拡散される投稿)を作るようになります。
 人々を感情的にさせる過激な意見は(真偽はわからずとも)多くの人にシェアされました。アルゴリズムは「もっとも反応する層」の人々へと、一方的に情報を届けるようになりました。
 この仕組みをうまく利用した最初の政治家として、ハイトはドナルド・トランプ前米国大統領を挙げます。SNSはいわば、一部の人々の過激な意見を伝播させるための武器になっているのです。
 同時に、SNSで活動的でないとされるのが穏健派の人々や専門家です。
 SNSでは自分の一挙一動が炎上の種になるリスクがあるため、彼らは失職や社会的な批判を避けるために沈黙を守るようになりました。

 つまり、民主主義でもっとも大切な「批判を恐れぬ識者」がSNSでは不在なのです。相対する人の意見を聞く場もSNSでは失われ、自分に同調する意見だけが目の前に流れるようになりました。

 ハイトは民主主義で大切な要素として、激情的にならずに物事の進行スピードを緩め、妥協点を見出すことを挙げています。公的な選挙や法の執行機関への信頼も不可欠です。米国では、そのどれもがいま危ぶまれているのです。

SNSで反対の立場にいる人たちをフォローしたことはありますか?
 

▼【もっとくわしく】今回要約した記事はこちら
  今回のメディア:アトランティック
米国の月刊誌。43万部発行。1857年創刊。政治や文化に関する評論や短編小説などさまざまな読み物を掲載する。読者の手紙に編集部が回答するコーナーも人気。
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🧬Y染色体上の遺伝子が減っていずれ男性はいなくなるのは本当か 202206

2022-06-16 21:15:00 | 気になる モノ・コト

Y染色体上の遺伝子が減っていずれ男性はいなくなるのは本当か【健康の「素朴な疑問」】
 日刊ゲンダイヘルスケア より 220616  


遺伝子、DNA【健康の「素朴な疑問」】#5

 患者さんから時々同じような質問を受けますが、それは杞憂だと思います。

 確かに、Y染色体上の遺伝子の数は現在78で、X染色体の1098に比べて少ないのは事実です。また、100万年に5個のペースで減っているというのも事実なのだと思います。
 だからといって、Y染色体上の遺伝子が消滅するというのは違うのではないでしょうか。

 消えたり、機能しなくなった遺伝子というのは、人類を取り巻く環境が変わり、必要なくなったからに過ぎないのではないか、と思います。
 しかし、人類が生き続けるために必要な生殖に関わる遺伝子が失われることはないと考えます。仮にY染色体上の遺伝子の数がさらに少なくなったとしても、精子を作るための遺伝子は残るのではないでしょうか。

 そもそもなぜ地球上の生物にオスとメス、男と女があるかといえば、地球という激しく変化する環境の下で生き抜くには多様な遺伝子の組み合わせを持つ必要があったからだと思います。単に子孫を残すだけなら、自分の体の一部を独立させて新たな個体を作る無性生殖の方がずっと良いのではないでしょうか。

 しかし、人間というどんな環境でも生き抜いていける生物には、遺伝子の多様性が必要だったのだと考えます。

 地球は寒くなったり、暑くなったり、火山が爆発して灰が空を覆ったりとさまざまな表情を見せます。人類は男と女がいるからこそ、そうした環境でも生き延びているのだと思うのです。

(弘邦医院・林雅之院長)
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⚠️ 外資の農地取得が進む過疎地でトラブル発生! 地下水や代金回収めぐり地元と衝突 202206

2022-06-16 21:04:00 | 気になる モノ・コト

外資の農地取得が進む過疎地でトラブル発生! 地下水や代金回収めぐり地元と衝突
  現代ビジネス より 220516  山口 亮子

SDGsは「大衆のアヘン」。資本主義に緊急ブレーキを!

 外国資本の農地取得について、日本には特段の規制がない。政府は今年中に農地取得の一層の規制緩和を計画しており、農業現場では既に、外資の参入による変化が起きつつある。
 たとえば、中国(香港)法人の出資が49%を占めるある法人は、150ヘクタールを目標に農地の買収を進めているが、地元住民と地下水をめぐるトラブルが発生。法人設立に協力した地元農協とは関係が決裂した。

    :トイレと化す農地 畜産の規模拡大で大量発生したウンコの行方

⚫︎農地取得の制限はさらなる緩和へ
「農地を取得する際、外国人や外国法人の別はありません」

だが、「外国人や外国法人が農地を取得することは基本的に困難」

 外国資本の農地取得について、農林水産省の基本的なスタンスは、この金子原二郎農水相の発言の通りだ(3月2日の国会農林水産委員会より)。農地法において、農地取得に日本人と外国人、国内資本と外国資本の区別はない。

 ただ、法人が農地を所有するための要件の一つに「農業関係者が総議決権の過半を占めること」があり、これが実質的に外資への規制として機能している。現実的には、外国資本の出資比率が50%を下回らないと、農地の取得は難しい。

 ところが目下、この規制を緩める方向で議論がなされている。
農水省では、2017年から「外国法人等による農地取得に関する調査」を行っており、調査によると、17~20年に5社が計65.9ヘクタールを取得しているが、
21年6月18日に閣議決定された「規制改革実施計画」では、22年に出資要件を緩和するとされた。

「基本的に困難」なはずの農地の取得が、中国(香港)法人から49%の出資を受ける企業「イーキウイ」によって立て続けになされているのが、愛媛県西条市だ。農水省の調査によると18~20年に同社は16.4ヘクタールを取得。実際にはすでに30ヘクタールほどで園地の造成を行っているようで、将来的には150ヘクタールにすると目標を掲げる。ここで生産しようとしているのは、ニュージーランドのキウイフルーツの生産・販売会社であるゼスプリ・インターナショナル(以下、ゼスプリ)向けの「ゼスプリキウイ」だ。

 愛媛県は、キウイの生産量日本一を誇る。なかでも西条市に本部を置く東予園芸農協は、ゼスプリキウイを産地化したことで知られ、その出荷量は全国2位だ。イーキウイが農地取得を進めるのは、まさにこの農協の管内。しかも、設立には農協が深くかかわっていた。

⚫︎出資したが「組合にメリットない」
「出資は、組合に何のメリットもない。組合員に説明ができない。あれだけの企業になったら資材は安いところから買うから、地元の経済になんか貢献しないよ」

 農協組合員は怒りをあらわにしながら、一言一言をしぼり出した。憤る理由は、東予園芸農協がイーキウイの設立を強力に後押ししたものの、結果的にそれに見合うメリットが得られなかったどころか、むしろトラブルに見舞わているからだ。

「企業が来たことで、今ある井戸から水が出なくなるんじゃないかと心配している人が何人もいる。選果の代金も2年間支払いが滞った挙げ句、農協が損をした」(組合員)

 別の農協関係者も言う。
「現在、周辺住民と井戸の掘削でトラブルになっていることを把握している。正直なところ、組合としてイーキウイとは付き合いたくない」

 同農協管内では14年にキウイフルーツかいよう病が発生し、出荷量は一時、半分以下に落ち込んでいた。生産を再び拡大する必要に迫られるなか、ゼスプリの株主で、ニュージーランドでゼスプリキウイを生産する大規模法人ジェイスのヤン・べネス取締役の出資を受け、農業法人を立ち上げる話が浮上したのだ。ヤン取締役は宮崎県でやはりゼスプリキウイを生産する「マイキウイ」を14年に設立していた。

 ゼスプリキウイは消費が好調だ。ニュージーランドと日本は季節が逆のため、秋冬のキウイを国産でまかなうべく生産拡大が進んでいる
 農協管内ではキウイの生産が低調になっただけでなく、柿栽培が消費の低迷を受けて縮小傾向にあった。それだけに、荒廃した果樹園地を再生し、需要の高いゼスプリキウイを生産する話は魅力的だった。
 設立するイーキウイには香港の会社が農地法の規制ギリギリに近い49%を出資し,東予園芸農協を含む三つの農協もそれぞれ1%強を出資する――。そんな計画で話が進んでいった。

⚫︎組合長の子息と幹部職員が外資系法人に
 法人設立に最も乗り気だったとされるのが、東予園芸農協の当時の組合長と、管内のキウイ生産を率いる立場にあった幹部職員だ。組合長は一時期、自身の机の後ろにイーキウイの園地の建設予定地の地図を貼り出し、買収が決まった農地を赤く塗っていたという。
「うまいこと話を持ち掛けられたんじゃないの。自分の子どもと幹部職員を会社に送り込むことで、農協の子会社として運営できると」

 組合員がこう話す通り、18年の会社設立時には組合長の子息が取締役に、幹部職員が執行役員に就いた。会社の本店として登記されたのは、この組合長の自宅。農協としてはかなりの肩の入れようだったが、イーキウイとの蜜月は長くは続かなかった。

 関係に亀裂が入るきっかけは、農協がマイキウイの2018年産キウイの選果を引き受け、その代金をめぐって双方が対立したことだった。

「選果代金4600万円を請求したら、2000万円しか払われなかった。交渉を続けて、21年の夏に2000万円が支払われた」(農協関係者)

 農協からすると、選果についてはイーキウイで働いている元幹部職員が農協に在職中に請け負うと決めており、支払いに異論が出るとは思っていなかったという。イーキウイとマイキウイの側からすると、選果代金がそんなに高くなるとは想定していなかった、農協からの見積もりの事前提示がなかったということのようだ。

「価格が上がったのは、選果のためのラインを増設するなどしたためで、このことは元職員が農協にいたときに決まっていた。請求の仕方も、この職員が在籍していた頃からのやり方を変えていない」

 先の農協関係者は、代金をめぐる交渉をマイキウイの立場で担った元幹部職員をこう非難する。農協は代金回収を優先し、600万円を減額する形に請求を見直し。支払いが遅れると通常なら利息が生じるが、利息はとらず、2000万円が追加で払われたことで問題は解決したとした。
 なお、マイキウイはコロナ禍で主要なメンバーが不在として取材に応じておらず、イーキウイも取材に応じていない。

⚫︎経営不振の立て直しのはずが、かえってライバル育成か
 農協側の怒りに火を注いだのは、支払いを求めて交渉中、農協の選果施設を買ってもいいとマイキウイ、イーキウイ側が持ち掛けてきたことだった。

「農協が選果場を売ると言ったんならまだしも、買ってやるとは何ごとか。選果の代金の支払いも残っているのに。足元を見られたんだろう」

 この組合員が「足元を見られた」と言うのは、東予園芸農協が長く経営不振に苦しんできたからだ。同農協は、愛媛県内に唯一残った専門農協で、営農指導や資材の販売といった営農・経済事業のみを行う。

 対して、全国の農協はほとんどが総合農協で、農業とは関係の薄い金融・共済事業まで手掛ける。多くの農協は営農・経済事業では収益を出せず、金融・共済の収益に頼って経営をしている。東予園芸農協は、債務超過に苦しんだ時期もあった。

 灰色がかったネットで囲われているのがイーキウイの園地。手前は既存のキウイの園地
「イーキウイの設立の話が持ち上がったのは、経営が厳しいときだった。組合長と幹部職員が農協の経営に見切りをつけたんじゃないか。組合員の間ではそう言われていますよ」

 別の組合員はこう話す。こんな憶測が広まるのも、もはや法人の設立によって農協が得られる恩恵がなさそうだからだ。農協関係者は言う。

「イーキウイは組合員の果樹園地も買っているので、組合への出荷量が減ったのは間違いない。設立の話を進めた当時は選果業務を引き受けられると思ったのかもしれないが、そもそもイーキウイの生産規模だと、組合の選果場ではキャパオーバーになってしまう。将来、農協の競合相手にもなり得るので、会社設立への協力は本来すべきではなかった」

 実は、イーキウイに出資予定だった三つの農協のうち一つは、設立直前に出資計画を撤回している。イーキウイができることで管内の農家にゼスプリキウイの生産を委託したり、農家が作業を受託したりできると期待していたが、現実にはほぼ不可能と気付いたからだ。
 この農協の当時の執行部は「最初の話と違う」「組合員の利益にならない」と、ヤン社長に対し怒り心頭に発していたという。

⚫︎空き家目立つ地域に、ネットで囲われた園地が出現
 イーキウイの園地が広がる地域を訪れた。すでに整地や支柱の設置など一定の整備が終わった園地は、数メートルの高さの風や霜を防ぐためのネットで囲まれていて、遠くからでも一目で分かる。周囲では重機を使って園地の造成が進んでいた。

  イーキウイの園地の一部(中央奥)は高いネットで囲まれ、よく目立つ
 同社の本店所在地は、法人設立から2ヵ月余りで元組合長宅から別の住所に移され、組合長の子息は取締役を退任した。現本店所在地はもともと民家だった瓦屋根の日本家屋で、軽トラ、軽バンのほかに高級外車アウディとベントレーが止められていた。

 農地の買収は17年頃に始まったという。地元の宅建業者が地権者を訪ねて買収の話を進めた。一部の市議会議員が熱心に支援し、革新系の市長も買収を円滑に進めるのに一役買ったようだ。愛媛県は「キウイフルーツ生産量全国一位を堅持する」としており、大面積をこなす法人設立を好意的に受け止めていた。

 法人設立への期待感が勝っていた時期が終わり、地元で目下心配されているのが、キウイが大面積で栽培されることによる既存の井戸の水枯れだ。元の地権者が井戸の掘削に同意せず、もめている一角もある。

「井戸を掘る権利は地権者、つまりイーキウイにあるけれども、どうしても田舎で農業をしていくうえでは、近隣住民との意志疎通を図るのが重要なところではある」(農協関係者)

 建設予定地であることを示す看板。その左手にヤン社長からの英文メッセージが貼り出されているが「住民は誰も読めない」との声も

 ある住民は複雑な胸中を語る。
「この辺りは、空き家だらけ。農地を荒らすよりは外国人でも作ってもらった方がいい、いや外国人に作らせるなら荒らすに任せた方がいいと、人によって考え方はいろいろ。本当なら、地域の農業を盛り立てるための絵を描いて、実行しないといけないけれど、それをやる若い人がいない」

 コロナ禍でニュージーランドとの行き来ができない時期が続いたため、イーキウイの開発計画は大幅に遅れている。それでも数ヘクタールの予定地に防風ネットが張られ、地域の景観は大きく変わった。先の住民は、住宅地の間近に迫る、民家の軒よりも高いネットを見上げて言った。

「イーキウイが来て、キウイが生産されるようになって、それでこの集落が将来どうなるんだろうとは思う」

 5月に西条市長らが連名で国に提出した要望書は、用水施設の長寿命化・耐震化を求める根拠として「『地域農業の成長産業化』に向けた取り組み」としてイーキウイによる園地の集約化・団地化を挙げている。
 本格的に生産を始めれば、それは確かに農業の成長産業化に資するのだろう。同社は年間2億円の農業所得を目標に掲げており、地域農業の担い手とされる「認定農業者」でもある。

 しかし、農協関係者が繰り返し指摘するように、少数の雇用を別にすれば、今のところ地域が経済的な恩恵に浴するとは考えにくい。外資による“農業の成長産業化”が進んだ先に、地域の姿はない。



💋これらの事柄は簡単に類推出来きただけに…政治や行政機関の劣化が著しい…
 身近の目先の利益優先で…自分に被害無ければ思想
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