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ストレスの9割は<脳の錯覚>だった!「物事を白か黒かだけで見ていると…」ストレスを溜めない人になるための思考術 202407

2024-07-16 22:50:00 | なるほど  ふぅ〜ん

和田秀樹 ストレスの9割は<脳の錯覚>だった!「物事を白か黒かだけで見ていると…」ストレスを溜めない人になるための思考術
  婦人公論jp より 240716  和田秀樹


「『日々、ためす、楽しむ』。これこそが、若々しさの秘訣です」そう語るのは、著者累計1000万部を超えるベストセラー作家であり、長年高齢者医療の現場に携わる精神科医・和田秀樹先生。そんな和田先生の著書『60歳からはわたしらしく若返る: 一生、元気に美しく年を重ねられる365のヒント』から一部引用・再編集し、「脳・心・体に自信を持ち続けるために取り入れたいこと」を、当連載にてご提案します。

 今回のテーマは「ストレスの多くは脳の錯覚」です。
【写真】「奥さんへの依存で夫婦関係は悪化する。本当に助け合わないといけなくなるまでは別行動すべし」と語る和田先生

* * * * * * *

◆知っておきたいストレスのこと
ストレスの多くは脳の錯覚

 ストレスの度合いが高いと、心と体の健康に害と悪影響を及ぼし、将来、うつなどの心の病になる恐れがある、これは正真正銘の事実です。
 だからこそ「自分は大丈夫だろう」とたかをくくらず、自分の心身の状態や変化を細やかに感じとり、早めに対処することが大切です。
 では、どうすればストレスを減らせるのでしょう?

◆ストレスを溜めない人になる
ストレスはとても個人差があります。

 同じ状況でもストレスを溜めない人と、溜め込む人がいます。

『60歳からはわたしらしく若返る:一生、元気に美しく年を重ねられる365のヒント』(著:和田秀樹/日本文芸社)
つまり、ストレスを溜めない人になればいいのです。
 実は、ストレスは脳の情報処理ミスで起こります。
 ストレスの9割は脳の錯覚なのです。

◆「白黒思考」は意識してチェンジ
たとえば、物事を白か黒か、100点か0点かというような見方をしていると、本当は気にするほどでもない薄いグレーなのに、真っ黒に見える。

 真っ黒はダメだ! とストレスを抱えるという具合です。
健康のためにラーメンは絶対ダメ! ではなく、たまには食べてもいい。
食べたら運動すればいい。
そのように考えれば、自然とストレスは減るでしょう。

自分の思考の傾向を振り返ってみて、白黒思考が思い当たる人は、意識してチェンジしていきましょう。

※本稿は、『60歳からはわたしらしく若返る:一生、元気に美しく年を重ねられる365のヒント』(日本文芸社)の一部を再編集したものです。
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メンタリストDaiGoが『減らすだけで人生が変わる5つの超常刺激』を紹介! 身近に潜む、超危険なものとは!? 202407

2024-07-16 21:56:00 | なるほど  ふぅ〜ん

メンタリストDaiGoが『減らすだけで人生が変わる5つの超常刺激』を紹介! 身近に潜む、超危険なものとは!?
 APPBANK より 240716   fumicw


 メンタリストのDaiGoさんが14日、自身のYouTubeチャンネル『メンタリストDaiGo』を更新。今回は、減らすだけで人生が変わる5つの超常刺激を紹介していました! 現代人なら誰しもが毎日触れていて、でもハマりすぎると脳が破壊されてしまうといいます。
 すぐにでもやめないとマズイ、超常刺激とは!?

⚫︎人間の脳は原始人の頃から変わっていない
 人類全員が共通して減らしたほうが人生が良くなるもの、人生に大きな変化を与えるものは『超常刺激』なんだといいます。

 実は人の脳は原始人の頃からさほど変わっておらず、しかし急速に文化を発達させたことで人間の脳では対処できないような強い刺激がたくさん出てきてしまったんだそう。
 だから,ゼロにはできずとも少しでも減らしたほうが良いとDaiGoさんは話していました。

気になるその超常刺激とは、一体何なのでしょうか?

⚫︎身近に潜む超常刺激

▶︎1つ目は『ジャンクフード』です。 原始の頃は塩分や糖分、脂肪分などは動物から接種するのは難しく、レアな食品だったんだそう。だから、そういった成分がぎゅっと詰まったジャンクフードのような食品を接種すると、脳が壊れて強い依存性が出てしまうんだとか。

 これはロゴを見ないようにするだけでも効果があるんだそう。現代社会でジャンクフードのロゴを見ない日はないと思いますが、それでも心がけてみる価値はアリそうですね!

▶︎2つ目は『ポルノ』です。 とある研究によると、ポルノにハマっている人の脳はなんと、ドラッグ中毒者の脳とほとんど同じ状態に変化しているんだそう! 依存性も麻薬レベルに高く、中毒にならないためにも、ほどほどに楽しむことを心がけることが大切だと話していました。
スマホ、パソコン、テレビ……

▶︎3つ目は『インターネット』です。 人間は未知の刺激に対して敏感で、あらゆることを調べられるインターネットは依存性が高いといいます。またSNSもかなり危険で、他人とコミュニケーションを取っているときは睡魔すら乗り越えるほどに脳が興奮してしまうんだとか!
 インターネットやSNSなどは、ちゃんと時間を決めてやるようにすることが大切だと話していました。

▶︎4つ目は『ブルーライト』です。 スマホやパソコンの画面のような明るすぎる照明は自然界には無く、これも超常刺激に含まれるんだそう。日中に浴びるのは問題ないそうですが、夜に浴びると脳が興奮し、眠れなくなってしまうとのことでした。

▶︎そして5つ目は『テレビやゲーム』です。これらは非常にハマりやすく作られていて、依存性が高いといいます。

 やはり、スマホやパソコンはものすごく便利で面白いですが、その分依存性も高いんですね……。

⚫︎ハマりやすい刺激には要注意!
今回DaiGoさんが紹介した超常刺激は、どれも身近にあって誰でも簡単にハマってしまうもの。こうしたハマりやすい刺激には、日頃から気をつけることが大切なんだと、話していました。

いつも有益なことを面白く、分かりやすくまとめてくれるDaiGoさん。今後の動画も、要チェックですね!
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人生100年時代にこそ考える「老化のメカニズム」  202407

2024-07-12 10:09:00 | なるほど  ふぅ〜ん

人生100年時代にこそ考える「老化のメカニズム」
 現代ビジネス より 240712   飯島 裕一


⚫︎【写真】人生100年時代にこそ考える「老化のメカニズム」
 知恵を得た人類は野生動物と異なり、自らの手で寿命を延ばしてきた。そして今、私たちは「老いを生きる時代」を迎えている。

 では、歳を重ねることに伴う老化は、なぜ起きるのか。人類はその仕組みの解明にも挑んでいる。

 新刊『老化と寿命の謎』では、健康長寿を切り開く道につながるともいえる、老化のメカニズム研究の最前線に迫る。
*本記事は飯島裕一『老化と寿命の謎』から抜粋・再編集したものです。

⚫︎長寿に伴う「老化細胞」の過剰な蓄積
 私たちの体細胞の多くは、分裂をくりかえしながら増殖している。
だが、DNAの損傷、がん遺伝子の活性化などで発がんの危険性が生じると、「細胞老化」と呼ばれる安全装置によって細胞分裂を元に戻れないように停止させ、がん化を防いでいる。
 混同・誤解されがちだが、細胞老化は老若ともに起きる現象であって、加齢とは同一の流れにはない。

 細胞老化は、アポトーシス(細胞の自殺)とともに、がん抑制作用の側面が注目されてきたが近年、負の作用も指摘され、個体の老化や高齢者の疾患との関連が浮かび上がっている。

⚫︎老化細胞という「ゾンビ細胞」
 一方、細胞老化によって分裂を停止した細胞は、「老化細胞」といわれる。

 細胞死を起こすアポトーシスとは異なり、老化細胞は生存可能であり、加齢とともに体内にたまっていく。老化細胞の蓄積について『老化研究をはじめる前に読む本』(高杉征樹著・羊土社)は、「原因ははっきりしていませんが、細胞に生じるストレスの増加、細胞のストレス抵抗性の低下、および免疫細胞による老化細胞の除去機能の低下といった要因が寄与している可能性が示唆されています」と記している。

 原英二・大阪大学微生物病研究所教授は、「老化細胞はSASP(サスプ=細胞老化随伴分泌現象、メモ参照)を引き起こす」と解説した。過度のSASPは慢性炎症を誘発し、がんや白内障・動脈硬化症・肺線維症・多発性硬化症など高齢者に多いさまざまな疾患に関わっている(図1)。

図1:細胞老化の誘導機構とその生理作用
*SASP(サスプ=細胞老化随伴分泌現象):細胞老化によって分裂を停止した老化細胞が引き起こす現象。
 細胞同士のシグナルのやりとりに使われる「炎症性サイトカイン」や「ケモカイン」などのタンパク質の分泌を促進したり、細胞と細胞の間を満たす物質「細胞外マトリックス」を分解する酵素の分泌を増やしたりする。

 さらに正常な細胞の細胞老化も引き起こし、身体の老化を促進するとされる。

 このように、分裂を停止しているのに死なずに〝悪さ〟をする老化細胞は、「ゾンビ細胞」とも呼ばれている。

⚫︎負の部分が表面化
 老化細胞は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を経て肝がんを発症した患者の肝星細胞に蓄積が見られる。原教授らのグループは、高脂肪食を与えて肥満させたマウスでは、脂肪の吸収に関わる胆汁酸が腸内細菌によって悪玉物質である二次胆汁酸に変化し、腸から肝臓に運ばれて肝星細胞が細胞老化を起こすことを突き止めている。
 二次胆汁酸によって、細胞老化―SASP―炎症の系を介し、肝がんを引き起こすと考えられる。

 原教授は、「私たちの寿命は、明治中期以降の百二十数年の短期間に急激に延びた。老化細胞やSASPの副作用に対する進化が追いつかず、負の部分が表面化していると考えられる」と指摘した。
 長寿に伴う老化細胞の過剰な蓄積──。がんなどの防御機構だった細胞老化というシステムが、現代人にとってはあだになっているともいえよう。

⚫︎SASPには有益な面もある
 一方でSASPは、免疫細胞を導いて不要になった老化細胞を死滅させたり、傷の修復に関わったりするなどの有益性を併せ持っている。例えば皮膚が傷ついた時にも、皮膚線維芽細胞で細胞老化が生じ、線維化したり傷痕を残したりするのを抑制すると同時に、治癒のためにSASP因子が免疫細胞を呼び込んでいると見られる。
 また、前述したように、がん抑制のために細胞老化を誘導する側面も有する存在であり、若い時には個体の生き残りに役立っているとされる。

 こうした中で、老化細胞を除去するセノリティクスと呼ばれる薬剤の開発が国内外で進んでいる。原研究室でも取り組んでいて成果も出ている。
 だが原教授は「SASPの有益な面が失われないようにしなくてはならない。老化細胞にはいろいろなタイプがあり,根こそぎ排除することは問題がありそう。悪玉の老化細胞を選択的に除去することは,現段階では困難で,開発には時間がかかるだろう」と慎重に語った。

 原教授は「細胞老化を防ぐ生活をすることが大切」と訴える。そのために肥満に注意する、喫煙をしない、飲酒はほどほどに、紫外線を過度に浴びない、過度の精神的ストレスを避ける、適度な運動が大切だが、過度の運動はよくない、十分な睡眠を取る──ことをアドバイスした。
 また、「マウスも、1匹だけで飼育していると体調不良を起こす」として、コミュニケーションの大切さも指摘している。
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ダマされるな!「末端路線をカットすれば日本経済は豊かになる」という「世論の大ウソ」 2024/07

2024-07-05 00:00:00 | なるほど  ふぅ〜ん

ダマされるな!「末端路線をカットすれば日本経済は豊かになる」という「世論の大ウソ」
 現代ビジネス より 240704   山下 祐介(東京都立大学教授・社会学者)
 

 日本の各地で赤字路線の廃止・存続を巡る議論が噴出しているが、ローカル鉄道はむしろ、過疎・過密化が進む中で重要なインフラである。
 ここからは、議論の背後に潜む問題点について論じていく。

前編記事『「赤字のローカル線は要らない」と言う人たちが見落としている「そもそもの議論」』より続く。

⚫︎赤字どころか大黒字
 報道などでは、JR東日本が末端の路線を切りたがっているという論調になっている。もしそれが本当なら、筆者にはとうてい理解できない話である。

 これも新聞報道によると、JR東日本の2022年度のローカル線34路線の赤字総額は648億円である(2023年11月22日付、日本経済新聞)。
 そのうち、最も赤字額が大きな路線では9億4400万円にのぼるとされている(ただし、これに34をかけても648億円には達しない。どういうことだろうか)。

 9億円や648億円という金額を見ればたしかに驚く。また、そこで掲げられている「営業係数」によれば、ある路線では、運輸収入100円を得るのに1万6821円がかかっているという。これではJR東日本はやっていけないと納得してしまいそうである。

 もっとも、コロナ禍を経て各社の経営は大幅に改善しており、同じく日経新聞2024年5月16日付では、2025年3月期のJR東日本の営業見通しは売上高2兆8520億円、純利益2100億円と報道されている(ちなみに、JR東海の純利益見通しはさらに大きく、3810億円である)。
 こうしてみると全体の黒字に比べれば、赤字路線の赤字額など比較にならないほどの数字だ。要するに、前回問題にしたバランスはここではきちんと保たれており、JR東日本がその中で躍起になって廃線化を目論んでいる、というのはやはりどうにも考えにくい。

 鉄道事業者にとって一つ一つの路線こそが財産であり、すべての起点である。沿線に住む人々を含め、利用する全国民のためにも、路線を一つでも長く維持することが、その本来、目指すべきものであるはずだからだ。

 しかもいま見たように,急いで何かを切り捨てねば自分が倒れるなどという状況にもない。

 むしろ収益が黒字のうちにきちんと手を打ってネットワーク末端での利用再生をはかり、そのことでもって日本社会全体のバランスを保ち、この国全体の人口回復をはかっていくことこそが、JR東日本自体の存続を考えるためにも必要なことである。

 そして筆者にはどう見ても、報道が示しているようには、JR東日本がその責任を今放棄しはじめているとは到底思えないのである。

⚫︎欧州ではむしろ…
 国交省が設置を認める再構築会議は、実はまさにこうしたことを末端から議論し、地域の再生、鉄道の再生をはかり、それをもって日本再生をはかること、こうしたものをめざすもののはずであった。文書を見る限りそう読める。
 そして筆者には、JR東日本にもまたそうした意図があって会話を提案しているものと考える。

 だが、にもかかわらず、そうした意図が背後に隠れ、廃線か存続かという単純な論議だけがメディアの中で先行してしまう。
 そのあおりを受けてこのまま実際に廃線化が進んでしまわないかが大変危惧される。事実、津軽線がそうだったように。だが、これはいったいなぜなのだろうか。何が起こっているのだろうか。

 私たちのうちには、こうした「スリム化」が必然的な流れだと思い込んでいる人もいるようだが、今、ヨーロッパではむしろ、鉄道への公共投資が進んでいるという。

 日本の場合、そもそもの矛盾の原因として、1987年に行われた国鉄の民営化によるJR6社分離にある。筆者が勝手に言っているのではない。権威に頼るようだが、かつて自民党副総裁・麻生太郎氏がそう公言した厳然たる事実である。

 無理に会社を地域で割ったから収支バランスが崩れたのだ。一方に収益の過密と、他方にその過疎と。
 ただし、東京一極集中が新幹線という高度高速網の大幅黒字化を実現し、グループ全体で見れば鉄道は決して衰退してはいない。
 リニア新幹線の建設も進む。むしろ私鉄の苦難のほうが心配である。

 企業はそもそも国家の公共の一翼を担うアクターである。自己の利益を持続させていくためにも、社会全体のバランスに貢献しなければ生き抜けない。
 そしてJRグループは、国鉄を出自としている以上、そうした意識を持たない企業であるということもありえない。

 だから再びこう問わなくてはいけない。なぜそうであるにもかかわらず、これほどまでにJRによる末端赤字路線切りの意図といった話が、報道の中で再三現れるのだろうか。

⚫︎何らかの意図が働いている
 筆者が地方消滅論や地方創生論、さらにはその前の東日本大震災・原発事故からの復興過程をこの10数年追う中で、このことに状況に即して考える仮説は次の3つである。

 第一に、JRグループや国土交通省の真の意図を捻じ曲げて、あたかも彼らが廃線化を進めようとしているかのように報道しようとする動きがあるのではないかということである。
 すなわち、メディアの言説をそのように持っていこうとする一部の権力意思が働いているのではないかということだ。

 考えたくないことが、筆者は実際に過去にいくつものそうした実例を見てきた。
例えば、2014年5月に示された国交省「小さな拠点事業」の発表の際には、末端の過疎集落を守るためのこの事業が、末端集落を集約し廃村化させるための事業であるかのように報道された(拙著『「都市の正義」が地方を壊す』PHP新書、第4章参照)。
 担当者はあその誤解を解くために、数年歩いたとも聞く。

 あるいはまた、同様のことがスマート自治体を最初に提唱した総務省の報告書「自治体戦略2040」(2018年7月)にも見られたことに注意を促したい(〈深刻な人口減少・少子化問題に「余計な手を打つ」この国の現実〉2018.07.30参照)。
 この時は明らかに政府筋の人物の影が報告にもあらわれていた。

 これらのメディアのある種の「誤報」は,だから、ただ報道関係者が誤ったというのではなさそうである。そこにはどうも意図的な、政府・霞が関周辺の一部の人物による誘導(リーク)が働いていたと断定せざるをえない形跡がある。でなければ新聞はこんなことを書かない。
 だがこうした世論誘導も、裏でこそこそという、小細工だけで動くものではないことも事実である。

⚫︎排除の意志が入り込んでいる
 第二に、まさしく前回・前々回に触れた消滅可能性都市(持続可能性都市)レポートこそが、こうした末端切りを正当化する世論作りを狙ったものだということができよう。

 10年前の増田レポートにも、当時の現役官僚が数名関わっていたとされている。
末端切りを正当化するような議論を示すことで、予算や事業の「選択と集中」を推し進めることがこれらのレポートの目的である、と私などは考える。
 もしそうであるなら、ともかく私たちはこうした一部の人たちの世論誘導に惑わされてはいけない。だが最も心配なことは次のことなのである。

 第三に、こうしたリークや陰謀めいたレポートの提出の背後で、これらの世論誘導が進めようとする「選択と集中」こそが<人口減少・財政難>を乗り切るための日本社会の唯一の道だという信念が、今や多くの人に芽生えはじめていないかということだ。

 だが、誰かを犠牲にして自分だけを守れる「社会」などというものはない。「社会」とは、みんながみんなでその幸せを守っていくことにほかならない。

 これに対し、鉄道をめぐる末端切りを余儀なくさせる世論には、この「社会」から、一定の人を排除しようとする意志が入り込んでいることになる。
 それでは社会は成り立たない。地域再生や国家再生、いや経済再生さえおぼつかない。

⚫︎おかしな声に惑わされるな
 排除と支配がうごめく社会の中では、問題解決も創発もイノベーションも、生産性や効率性さえ働くことはない。
 中央発の一見威勢のいい掛け声のもとで、多くの国民はその様子をうかがい、自分に有利なところだけ参加しようと、その機会を探るようになるだろう。
 いや、すでにそうなってはいないか(だから繰り返すように、改正地方自治法で政府の権限を強めても感染症対策が強化されるようなことはありえない。むしろ逆効果である)。

 他方で、国も企業も自治体も、何より日本の地域社会には、なおも社会をしっかりと守ろうとする姿勢は健在である(例えばなお、限界集落が消えないように)。

 おかしな声に惑わされず、「社会とは何か」を皆でしっかり共有できることこそが、鉄道を守るということだけでなく、私たちの地域・国家を再生し、維持していくために不可欠なことなのである。
 そうした末端からの再生の議論の場にこそ、交通再構築会議はなっていく必要がある。いや、こうした末端の場こそが再生のチャンスであり、可能性なのである。
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JRが“リニア開業”より“夜行列車の復活”を優先すべき理由「廃止が相次いだ当時と状況が大きく異なる」 202406

2024-06-28 21:26:00 | なるほど  ふぅ〜ん

JRが“リニア開業”より“夜行列車の復活”を優先すべき理由「廃止が相次いだ当時と状況が大きく異なる」
  日刊SPA! より240628  
(筆者:田中謙伍)はAmazon日本法人に新卒入社し、現在はメーカー企業のEC戦略を支援する会社を経営しているが、さらに交通やまちづくりにかかわる事業も進めている。 )


 2024年は北陸新幹線の金沢〜敦賀間の開業や、リニアをめぐる静岡県前知事の発言、京葉線快速のダイヤ減便騒動、北海道新幹線の札幌新函館北斗駅間の工事延期など、鉄道開発が良い面でも悪い面でも注目を浴びている。
 上述のリニアや北陸新幹線敦賀〜新大阪間の延伸などの新たな路線は、開発が完了すれば沿線自治体や新たに整備される駅前の一等地に大きな利益を生むことは間違いないだろう。
 しかし、リニアの件を筆頭に開発は一筋縄では進まないのが実情となっている。

 そんななか、現在はインバウンド需要が絶好調で、2023年訪日客の旅行消費額は計5兆2923億円と過去最高を更新している(観光庁「訪日外国人消費動向調査」より)。
 今後も当面は高いインバウンド需要は見込まれるが、いつ完成するかわからないリニア等々を待っていては結果的に大きな機会損失を生むことになることは言うまでもない。

 こうしたインバウンド需要に応えるべく、今から取り組める「最善の策」について本稿では考えていきたい。

◆「リニア開業」より夜行列車の復活を優先させるべき?
 では、その最善の策とは何か。

 それは既存路線の利活用である。新たな路線を開発しなくても既存路線の利活用によってさらに大きな需要を生み出すことができるのだ。
 リニアなど新路線開発よりも相対的に短期間で実施可能、かつインバウンド需要に応えられる既存路線の秘策、それこそが夜行列車の復活だ。

◆夜行列車の運行本数が増えているヨーロッパ

 海外で夜行列車が復活しているのをご存じだろうか。
実は、現在ヨーロッパではベルリン、ブリュッセル、ロンドン、パリ、ウィーンなどの主要都市へ走る夜行列車を筆頭に、運行本数を増やしているのだ。
 とはいえ、ヨーロッパにおいても日本同様に2000年代に入って以降、一度は多くの夜行列車が廃止の憂き目にあった。

 では、なぜ夜行列車がここにきて復活しているのか。
 その理由は後ほど説明する。

◆国内で稼働しているのは「サンライズ瀬戸・出雲」のみ

 現在国内の夜行列車はほぼ廃止されている。
唯一稼働しているのは東京―高松・出雲市間を走る「サンライズ瀬戸・出雲」のみである。
「7両+7両編成」で316人が乗れるこの「サンライズ瀬戸・出雲」は、満席になる日が少なくないものの、現在の車両は約25年前から使われており、後継車両の予定が現状ではないため、老朽化に伴っていつ廃止になってもおかしくはないという状況。

 1964年に東海道新幹線は開通した後、1970年代が国内の夜行列車の全盛期と言われており、それから徐々に廃止が進み、2000年代に入ってからその流れは特に顕著だ大きな要因のひとつとして他の選択肢が増えたことがある。
 新幹線のほか、規制緩和によって格安高速バスやLCCというライバルが登場し、そこに車両の老朽化も重なってしまった。

◆廃止が相次いだ当時と状況が大きく異なる

 ここまでの話を聞いて「夜行列車は過去のものだろう」と思った人も少なくないだろう。
しかし、ここで注目すべきなのは寝台特急あさかぜや寝台急行銀河、快速ムーンライトながらなど夜行列車が次々と廃止になった2000年代当時と、2024年現在では国内の状況が全く異なっているということだ。
 廃止が続いた当時の夜行列車は国内需要のみを想定していたが、今は非常に強いインバウンド需要がある。

 法務省出入国管理統計の調べによると、インバウンド観光客は夜行列車全盛期の1976年からコロナ禍直前の2019年までの43年間で約30倍に膨らんでおり、約3188万人となっている。2000年の約476万人から見ても6.5倍に増えている計算だ。

 コロナ禍が明け、国内のインバウンドも戻ってきた段階だが、そんな外国人観光客と夜行列車は非常に相性がよいのだ。

 それを裏付けるように、観光庁の調べによると、訪日中に利用した交通機関は、全国的には新幹線以外の鉄道が70%と高く、ついで、バス、新幹線、タクシーで、レンタカーは12%だった。

 鉄道が通る場所は、観光客誘致に有利。この論が正しいことは確かだ。

◆マイナーな都市の需要が高まっていた

 もう一つ、興味深いデータとして、外国人旅行者の訪問先のデータがある。

「インバウンド需要」と聞くと東京や大阪といった大都市に需要が集中していると思う人もいるだろう。しかし、実際に日本を訪れた外国人の足取りをよく見てみるとマイナーな都市の需要も非常に高いことがわかるのだ。

 ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人向けに展開するアプリ「ジャパントラベル・バイ・ナビタイム」のデータ分析によると、外国人訪問数の伸び率の高い市町村別は、北海道や山形県、茨城県などの太平洋ベルトから外れたエリアなのだ。

訪日外国人数伸び率トップ100市町村(2019年と2023年の1月~5月を比較。ナビタイムジャパン調べ)

第1位:北海道当別町 
第2位:山形県高畠町 
第3位:茨城県北茨城市
第4位:秋田県能代市
第5位:新潟県見附市

 つまり、これまでは訪れなかった土地に外国人旅行者は目を向け始めているのである。

◆「日本の夜行列車」には引きがある?

 さらに追い風なのは外国人観光客の多くが夜行列車に対して好意的であるという点だ。

 例えば現在唯一運行しているサンライズ出雲利用者のYouTube動画は8700万回以上再生されており、海外からのコメントが多いのが特徴。
 外国人は「日本の夜行列車」に強い興味を持っていることが伺い知れる。

◆「アクセスがよくない」高山市がさらに伸びる可能性も

 ここで一つ“夜行列車需要”が高く見込めるエリアの例を出そう。

 リニアで注目を集めたJR東海の営業エリアの中にも大きなインバウンド需要を生んでいる地域ーー岐阜県の高山市だ。

 なんと、高山市ではコロナ禍前では人口の7倍にあたる約473万人の観光客が年間で訪れており、そのうち約61万人が外国人観光客となっている。現在はさらに多くの人が訪れている可能性も高い。
 しかし、現状ではアクセスに優れているとは言い難い。
東京駅からは新幹線から名古屋で在来線に乗り継ぎ、約4時間30分かかる。
 だが、高山を訪れたい外国人観光客は少なくない。事実、以前筆者が特急ひだに乗車して高山を訪れた際は車内は日本人より外国人乗客の方が圧倒的に多いという状態だった。
 となると、夜行列車1本で目的地に向かえるとするならば、その地域を訪れる外国人観光客は増える見込みがあるということである。

◆品川22:30発、高山6:30着の列車が通れば…

 高山市の例のように、夜行列車が運行すれば、現状ではアクセスに難のあるエリアにも外国人訪問者が足を運ぶチャンスを増やせる。そうなると、まだ見ぬ日本の名所に足を運ぶようになるのではないだろうか。  
 また、夜行列車を利用すればホテル代が節約できることはもちろん、時間を有効活用することでより多くの街を回ることができる。

 たとえば、東京を出て、名古屋で高山(岐阜)方面と同じく外国人観光客が多く訪れる京都を経由し、奈良に向かう列車と分離する多層建て夜行列車を通すとしよう。

 相応の速度で在来線を走らせた場合、東京-高山、東京-京都ー奈良も8時間となる。
東京駅は車両を長時間留置できないので、ホームに余裕のある品川始終着で設定した場合、時刻表は下記のようになる。
【下り】
品川22:30発→高山6:30着、奈良6:30着

 下りの品川駅では20:00くらいから車両を停めておき、奈良は9:00くらいまで停めておき、好きなタイミングで乗車・下車できるようにする。この理由は後述する。

【上り】
高山22:30発、奈良22:30発、京都23:30発。品川6:30着

 高山・奈良は20:00くらいから、品川は9:00くらいまで停めておき、好きなタイミングで乗車・下車できるようにする。

 ホームに長時間留置して好きなタイミングで乗車・下車できるようにする理由は、出かけるタイミングを乗客に自由に決めてもらうためだ。
 特にホテル代わりに夜行列車を利用する外国人観光客や子供連れを中心に重宝されるだろう。このようなサービスは海外の夜行列車に多く見られる。

◆ヨーロッパで夜行列車の需要が回復している理由

 さて、なぜヨーロッパで夜行列車が復活しているのか。それは環境面への配慮からだ。
環境面を理由として移動手段を選択するというのは日本ではまだあまり馴染みのない考え方だろう。
 しかし、特に欧州においてはカーボンニュートラルの観点から飛行機やバスは忌避されるようになってきている。
 フランスにおいては、2時間半以内の飛行機移動が禁止にされるなど、日本とは比べ物にならないほど環境に配慮する意識が高い。
 フランスでは飛行機に乗ること(=環境破壊に加担すること)を恥とし、鉄道など他の移動手段をすすめることを指す「flight shame」という単語すらあるほどだ。

 そんな中で鉄道はエコな乗り物として認知されている。実際に鉄道によって排出される二酸化炭素(CO2)は飛行機の5分の1以下となっている。
 日本で夜行列車の運行が増えれば、国内各地のアクセシビリティの向上だけでなく、環境面での優位性からも外国人訪問者が移動手段として選択する可能性は非常に高いのだ。

◆「走るホテル」が観光大国ニッポンの加速につながる

 ここまでの説明で、夜行列車が復活することは、増え続けるインバウンド需要に応えるだけでなく、観光大国ニッポンの大きな経済効果につながることがおわかりいただけただろう。 
 仮に夜行列車が復活すれば、インバウンド自体が今よりも好循環でまわることも考えられる。まず夜行列車が「走るホテル」となることでホテルの供給不足の解消に貢献するだろう。
 また、滞在日数を伸ばす外国人訪問者も増えるのではないだろうか。夜行列車を利用すれば、期間は伸びなくても時間を有効に活用できるため、滞在中に落としてくれるお金も増えるだろう。

 さらには滞在都市が分散化することによって、都市部のオーバーツーリズム解消にもつながり、今よりも広範なエリアがインバウンドの恩恵を受けることにもなりえる。
 つまり、夜行列車の復活は、現状のインバウンドが抱えている課題に応えるだけでなく、正の外部性をもたらすことがおわかりいただけるだろう。

 とはいえ、ヨーロッパで夜行列車が復活しているという事実をもって日本でも同様の改革を行うことはそう簡単ではない。
 フランスのように日本では飛行機利用の法規制がなく、また日本人には脱炭素への興味や意識がヨーロッパほど醸成されていないのが現状だ。こうした課題を克服することが求められるだろう。

◆JRが動かなければ、他業種が参入するのもアリ

 最後に、こんな疑問が浮かばないだろうか。
 なぜJRは夜行列車をやらないのか?
 それはJR各社の事業戦略による都合と筆者は考える。
夜行列車を復活させるよりも、エキナカや不動産開発、金融事業など利益率の高い非鉄道部門の事業に注力したほうが儲かると考えているのだろう。

 ただ、JRにとっては実行する合理性がないとしても、売上が10数億円見込めるとするならば、他業種の民間企業にとっては実行する合理性がある。
 それに、他業種が夜行列車事業に参入する場合、コスト面で見ると「上下分離システム」を導入すれば十分に可能であると筆者は考えている。
 上下分離システムとは線路の「上」を走る鉄道の運行と、運行のために必要な施設等々の管理、つまり「下」のふたつで経営会社をわけるという方式だ。

 富山地方鉄道や青い森鉄道はこの方式によって日常的に運行されており、決して非現実的な方法ではない。
 つまり、かつてJRがすべてを担うわけではなく、上下分離にすることで経営効率化を図れる「夜行列車2.0」として復活させるのだ。

 事実、ヨーロッパではこの上下分離システムを導入して走るヨーロピアンスリーパーという夜行列車がベルギー・チェコ間で運行している。
 これを参考に国内でも夜行列車ベンチャー企業が立ち上がってもおかしくない。

 先日の静岡県知事選挙ではリニア推進派の鈴木康友氏が当選したが、リニアの開通は恐らく10年以上も先のこととなるだろう。

 観光立国ニッポンを標榜するならば、今こそ夜行列車の復活が求められると筆者は考える。



<TEXT/田中謙伍>
【田中謙伍】
EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している
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