中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

複文の特徴(3): 偏正複文

2010年11月08日 | 中国語
 前回の連合複文に続き、今回は偏正複文の説明です。

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 偏正複文(“偏正複句”)は二つの部分に分けられる。一つは“偏句”(修飾文)、もう一つは“正句”(被修飾文)である。偏句と正句を区分する文法表示は語順と関連語句である。

 偏正複文の構造形式は二種類あり、よく見られるのは偏句が前、正句が後ろに置かれた文である。例えば:
   (1) 因為地形高低懸殊,気候変化顕著,所以植物種類繁多。
・懸殊 差が大きい。かけ離れている

   (2) 母親雖然自己不富裕,周済和照顧比自己更窮的親戚。
・周済 救済する。(貧しい人に)物質的な援助をする

 もう一つの構造形式は、正句が前、偏句が後ろに置かれる。この種類の文では、偏句には補充説明の意味がある。例えば:
   (3) 科学的東西,随便什麼時候都是不怕人家批評的,因為科学有真理,決不怕人家駁。
   (4) 他的形象在我的心目中是高大的,雖然他的姓名我并不知道。

 この二種類の異なる語順の偏正複文は、関連語句の使用でもそれぞれ特徴を持っている:偏句が前、正句が後ろの複文は、対で用いることも、どちらか一方だけ使うこともできる。関連語句を用いない場合もある;正句が前、偏句が後ろの複文は、関連語句は偏句の方に用い、対で用いることができない。しかし必ず用いなければならず、関連語句無しのケースは無い。こうした特徴は、偏句と正句を区分する手助けになる。

 偏正複文の偏句と正句の間には様々な異なった関係がある。通常見られるのは、以下の四種類である。

(一) 因果関係

 因果関係には二種類ある。一つは既定の事実からその中の因果関係を説明するもので、「因果を説明する」と呼ぶことができる;もう一つは一定の根拠から因果関係を推論するもので、「因果を推論する」と呼ぶことができる。

  「因果を説明する」のは、通常“因為……所以”、“因此”、“由于”、“因而”、“以致”などを用いて表す。例えば:
   (5) 因為今天進城要辧的事情多,以天剛亮就出門了。
   (6) 由于老師耐心教導,他很快地掌握了這一門技術。
   (7) 精英分子在任何時候在人民中都是少数,因此精英分子在任何時候都有義務同群衆合作。
   (8) 他事先没有充分調査研究,以致做出了錯誤的結論。

 “因為”と“由于”は原因を表すが、用法に多少違いがある:
 “因為”は常に別の接続詞(“所以”など)と対となって現れるが、“由于”は通常単独で現れる。時にはいくつかの“由于”で始まる文を連用し、原因や理由を強調しているものが見られるが、“因為”が連用されることはめったにない。
  “因此”の機能は“因為”と“所以”に相当し、およそ“因為……所以”を使っているところは、たいてい“因此”に変えることができる。同様に、“因此”を使っているところも“因為……所以”に変えることができる。
 “以致”は、後ろの文が上述の原因により形成された結果であることを表し、“因此而造成”の意味を含み、多くの場合良くない結果を指す。

  「因果を推論する」複文は、偏句が前に置かれ、前提を表す。正句は後ろに置かれ、推論を加える。通常“既然……就”、“可見”を用いて表す。例えば:
   (9) 你既然知道做錯了,応当糾正。
   (10) 敵人把最后的兵力也抛出来了,可見他們的力量基本上已被我們消滅了。

(二) 転換関係(“転折関係”)

 前の分句が先ず説明したことに対し、後ろの分句が前の分句の意味に沿って説明をするのではなく、前の分句と相対したり、相反したり、部分的に相反する意味に転じて話をすることが、転換関係(“転折関係”)である。
 転換関係では、話者の心理には一つの前提がある: もし甲という事実が現れたら、乙という事実が現れるかもしれない。しかし文の説明する事実は、甲という事が現れたら、乙という事は成立しないということである。したがって、偏句の中で陳述する事実は認めるとしても、表現する意味の重点は常に正句の方に置かれるのである。

 転換関係は、語意の上の違いから、「重転換」と「軽転換」の二つに分けることができる。重転換の文の前後二つの分句は意味の上では明確な対立があり、対を成す関連語句を使わなければならない。偏句には“雖然”、“尽管”を用い、正句には“但是”、“可是”、“然而”、“却”などを用いる。例えば:
   (11) “五四”運動雖然早已過去了,但是它所高挙的科学、民主的旗幟,至今還在我們心中飄揚。
   (12) 雖然二諸葛説是千合適万合適,小二黒不認帳。
・認帳 負債を承認する→自分が言ったこと、またはしたことを認める(否定文に用いることが多い)

   (13) 尽管這里是地処偏僻的東海之濱的一座小城,然而,我們的節日仍然過得那麼熱閙、隆重。

 軽転換文の前後の二つの分句の意味は、一致していなくても対立はしていない、或いはその不一致を重点的には強調していない。通常は正句に関連語句の“但是”、“但”、“不過”、“只是”、“可是”、“然而”、“却”などを用いて表す。
   (14) 我們当然不応該硬要做那些実際上不可能作到的事,但是対于実際可能作到、而且応該作到的事,我們一定要積極地去做。
   (15) 近几年来,有些朋友們要我談談写作的経験,可是我一次也没有談。
   (16) 矛盾是普遍存在的,不過由于事物的性質不同,矛盾的性質也就不同。
   (17) 李成娘跟這口箱子的関係很深,只是金桂不知道罷了。

 細かく分析してみると、“但是”、“可是”を用いた文は、“不過”、“只是”、を用いた文よりも転換の語気がやや強い。

(三) 条件関係

 条件関係は三種類に分けられる。一つは仮設の条件、一つは特定の条件、もう一つは“無条件”で、条件が無いのも一つの条件である。

1.仮設の条件
 前の分句が仮説の条件を提出し、後ろの分句がその条件下で生み出される結果を説明する。通常“如果”、“假如”、“如”、“倘若”、“若是”、“要是”と“那麼”、“就”、“便”などの関連語句を用いて表す。例えば:
   (18) 如果没有群衆的支持,那麼我們就什麼都做不成。
   (19) 假如你同意,我們明天一清早出発。
   (20) 倘若説,作品愈高,知音愈少,那麼推論起来,誰也不懂的東西,就是世界上的絶作了。
・知音 自分の才能を認める人

 次の二つの文は、構造形式はよく似ているが、表現している意味は異なる。
   (21) 如果明天下雨,我們去参観工業展覧会。
   (22) 如果昨天不下雨,我們早去参観工業展覧会了。

 例(21)は実現する可能性のある仮設条件であり、例(22)は実現の可能性のない仮設条件である。後者の表現は、元々工業展覧会の見学に行くつもりであった、ということを強調しつつ、ただ雨が降ったので行かなかった、と言っている。
 ここから、仮設の条件関係には二つの用途があることが分かる: 一つは推断した事物の発展を利用し、仮設の状況を取り上げ、この条件下ではこのような結果が出るであろうと推論する。もう一つは事物の分析を利用し、既に知った結果から事情が仮説のようにはならないことを証明する、或いはそこから仮設の部分が述べている事情がたいへん重大な意味を持っていることを強調する。

 もう一つの新たに起こった用法は、前後の二つの分句で述べるものが互いに関連する二つの事情である、というものである。例えば:
   (23) 如果説,歴史博物館里珍蔵的青銅器体現了我国古代的文化,但我們今天并不提倡使用那様笨重的器皿;那麼,我們研究漢字中的繁体和古体,并不是反対文字的簡化。

 この文の偏句と正句が述べているのは既に実現した事実であり、二つの事物を取り上げて対照し、偏句で述べていることが事実であると認めるなら、正句で述べていることも事実であると認めなければならないという意味である。

2.特定の条件
 偏句で一つ或いは一つ以上の条件を提出し、正句でこの或いはこれらの条件を備えることで必然的に生まれる結果を説明する。通常“只有……才”、“只要……就”、“除非……才”を用いて表す。“只有”、“除非”はもし説明した条件が無ければ、説明した結果が生まれないことを説明する。“只有”は条件を指定し、“除非”は条件を推断する。例えば:
   (24) 経済工作者只有充分利用我国資源和人力,才能尽快縮短我国生産技術水平与世界先進水平的差距,才能迅速地提高整個社会的労働生産率,加速建設現代化国家的進程。
   (25) 除非拓寛這条狭窄的道路,才能使交通運輸暢通。

 “只要”は一定の条件を提出し、説明した条件があれば、説明した結果が生まれることを説明しているが、別の条件を排除するものではない。例えば:
   (26) 只要我們積極鑽研,一定能够gou4進一歩認識和掌握語言結構的規律。

3.“無条件”の条件
 上で述べてきたのは、条件と結果が一致した条件関係である。もう一つの条件関係はこれと反対で、結果が条件によって転移したものではない時で、如何なる条件でも同様の結果である、と言うこともできる。このような条件は“無条件”の条件と言うことができ、通常は“不管”、“無論”、“任凭”と“也”、“都”、“還”を用いて表す。例えば:
   (27) 魯迅在艱難複雑的環境中,不管敵人打什麼旗号,玩什麼花様,不受騙,不怕圧,愈戦愈勇,愈戦愈強。
   (28) 缺乏藝術性的藝術品,無論政治上怎様進歩,是没有力量的。

(四)譲歩関係

 偏正複文には、分句と分句の間に“即使”、“就算”、“就是”、“縦然”、“哪怕”と“也”、“還”などを用いて表すものがある。例えば:
   (29) 即使我們的工作得到了極其偉大的成績,没有任何値得驕傲自大的理由。
   (30) 就算他現在工作不太熟練,不久他的技術会上你們的。
   (31) 水渠修成了,縦然老天不下雨,我們有水来灌田。

 上の例文では、偏句と正句の関係は意味の転換(“転折”)であり、同時に分句が叙述しているのは、尚実現していない、或いは尚証明されていない事実であり、なお且つ仮定の意味も含んでいる。もし前者の特徴を重視するなら、これらは“雖然……但是”の文に近いと感じられるし、後者の特徴を重視するなら、これらは“如果……就”の文に近いと感じられる。しかし、転換関係の複文では、分句と分句の間で表わされるのは既に実現した、或いは既に実証された事実であり、条件関係の複文では、分句と分句の間の関係は、前文から受け継がれた内容であり、ここではそれらは互いに区別される。これらの文には一歩退いて考えるという意味が含まれるので、分句と分句の間の関係は譲歩関係である。

 注意すべきは、“尽管”は転換関係を表すことができるだけでなく、譲歩関係を表すこともできるということである。例えば:
   (32) 錯誤和失敗,尽管在表現形式和厳重程度上各有不同,是任何時期都不能完全避免的。
   (33) 尽管天気冷,我們要把這条路舗好。

 上で述べた四つの関係は、それぞれの間に区別があるが、一定の関連もある。このような区別と関連は、以下のように説明できる。

             A、Bは継承関係(BがAを受け継ぐ)
因為A,所以B ――――――――――――――――――――― 如果A,就B
  |                                            |   
  | A、Bは既に実現、             A、Bは尚実現していない、  |    
  | 或いは既に実証              或いは尚実証されていない |
  | された事実                 事象                               |
  |                                           |
  |          A、Bは転換関係(BはAの相対する内容)                 |
雖然A,但是B ―――――――――――――――――――――  即使A,也B


【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社 1995年


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