中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

考碗族、中国も安定志向で公務員の人気が急上昇

2009年11月05日 | 中国語でどう言うか?

 一昔前、日本の親方日の丸に対して“鉄飯椀” tie3fan4wan3、親方五星紅旗、という言い方があった。仕事をしなくても安定した収入や福利を得ることのできた国営企業のことを揶揄した表現であったが、中国もその後の経済の自由化、何より国営企業が解体、民営化され、死語となっていたが、世界経済不況による失業、収入減、はたまた極端な成果主義への反発か、安定した収入の期待できる公務員の人気が高まっている。人気の高まりにより、公務員試験の競争倍率が上がり、公務員試験を目指す人のことを指す、“考碗族”kao3wan3zu2 ということばが生まれた。共通のものを目指したり、同じ性格の仲間を「~族」というのは、日本と同じ。「碗」は、安定した収入の職業や身分であり、試験でそういう身分になることを目指すグループのことであり、何か昔の科挙の試験が復活したような感じである。

公務員考試催生“考碗族” 逢“碗”必考最“悲情”
2009年11月04日 来源:中国新聞網

催生 cui1sheng1 は、催産 cui1chan3 ともいい、産気づく、出産を促す、という意味。ここでは、公務員試験が“考碗族”を生み出す、という意味。「安定した生活」にめぐりあうには、最も「非情」な試験を経なければならない、という表題である。

 中央国家機関公務員被称為“金飯碗”,直轄市省級公務員是“銀飯碗”,地市級是“銅飯碗”,鎮街道一級是“鉄飯碗”……随着公務員考試“等級”被画劃分為四個“碗”,“考碗族”一詞新鮮出炉。而由于考試競争激烈,許多“考碗族”几乎逢考必上,但最后還是名落孫山,被網友認定“最悲情”。

 昔は“鉄飯椀”は一種類しかなかったが、今はランク分けされているようである。中央の政府機関の公務員は“金飯椀”、直轄市や省クラスでは“銀飯椀”、地方都市は“銅飯椀”、その下の鎮や街道クラスは“鉄飯碗”。これはちょうど公務員試験の等級に沿って分けられている。このことばはできたての新語なので、“新鮮出炉”xin1xian1chu1lu2(焼き立てのほかほか)である。しかし、入学試験と同様、試験による選抜なので、落ちる人もある。昔、中国には科挙の試験があったが、孫山という人が最下位で合格したので、孫山より成績が下だったから試験に落第した、という表現、“名落孫山”ming2luo4sun1shan1ということばがある。

[訳]中央国家機関の公務員は“金飯碗”と呼ばれ、直轄市、省クラスは“銀飯碗”、地方都市クラスは“銅飯碗”、鎮街道クラスは“鉄飯碗”……。公務員試験の「ランク」によって四つの「茶碗」に分けられ、「考碗族」という新語が今焼きあがった。試験の競争は熾烈で、たくさんの「考碗族」は試験に合格せねばならず、最後にやはり試験に落第する者も出、ネット仲間から最も「非情」な試験と言われるのである。

 2010年度の中央政府機関の公務員試験の願書受け付けが締め切られたが、今年は135万人が受付機関の審査を経て、受験資格を獲得した。これは過去最多の応募人数だそうである。

 緊接着“国考”,“省考”也将登場,対着接二連三的考試,“考碗族”早已“摩拳擦掌”。

 接二連三 jie1er4lian2san1 は次々に、という意味の成語。
摩拳擦掌 mo2quan2ca1zhang3 も成語で、腕を鳴らし手ぐすねを引く、の意味。

 [訳]「国家公務員試験」に続いて、「省公務員試験」も登場し、次々に行われる試験に対し、「考碗族」は早くも手ぐすねを引いている。

 外資系企業だけでなく、中国企業でも、IT産業、その他、新興産業企業の報酬は、普通の公務員よりはるかに高い。“考碗族”は皆、大卒クラスのインテリ層であるから、容易にそうした職に就くことはできる。

“考碗族”也并非没有其他就業机会,但他們還是放棄了一些几乎唾手可得的職位,義無反顧地投身于報考公務員的茫茫人海。

 唾手可得 tuo4shou3ke3de2 も成語。手に唾するだけで手に入れられる、つまり、非常にたやすく手に入れられる、という意味である。義無反顧 yi4wu2fan3gu4 は、正義のため、後ろを振り向かず、ひたすら前進する、という意味。茫茫人海 mang2mang2ren2hai3 の「茫茫」は果てしなく広い、という意味。「茫茫大海」で果てしない大海原の意味だが、「茫茫人海」は、公務員試験を受験する、何百万人という果てしない人の海の中に飛び込む、という意味である。

[訳]“考碗族”も他の職業に就く機会が無いわけではないが、彼らは手に唾するだけで手に入れられる職位を放棄し、後ろを振り向かずひたすら公務員試験に応募する果てしない人の海の中に飛び込むのである。

 なぜそこまで公務員にこだわるのか。それは職業の安全、安定性が保証されているからで、大きな間違いをしでかさない限り、失業することがない。

 工資財政按時撥款、按時加薪絶対有保障,養老金、医療保険等一切都能按時到帳。

 撥款 bo1kuan3 は支給する、分配する、という意味。「工資財政按時撥款」で、給料は時間通り支給される。加薪 jia1xin1 は昇給である。時間通りの昇給も絶対保障。「養老金」は年金。「到帳」は口座に振り込まれる。年金、医療保険等、一切が時間通り、給与口座に振り込まれるのである。だから、公務員になれさえすれば、一生、昇級せず、ただの職員で終わってもかまわない、と公務員志望の浙江工業大学の周暁利は言う。彼は、資深“考碗族”、資深 zi1shen1 は老資格 lao3zi1ge2 の意味で、古参、先輩、上位、という意味だが、ここで「古参の“考碗族”」というのは、彼は試験に通るまで、大学を卒業せず留年しているのだろうか。ちなみに、「資深経理」というと、上級マネージャー、つまり課長か部長に相当する役職となる。

 随着報名人数屡創新高,公務員考試競争也日趨白熱化。

「屡創新高」は何度も新記録を作り出す。「日趨」は日に日に。志願者の人数が何度も新記録を作り出すにつれ、公務員試験の競争も、日に日に白熱化している。

 今年の国家公務員試験の最も人気のある職位の志願倍率は4080倍に達したそうである。

“削尖了脳袋”往公務員隊伍里鑽的“考碗族”以“不考到不罷休”的口号往前冲,但是最終能“鯉魚躍龍門”也并非易事。
[訳]「頭をすり減らして」公務員の隊列に切り込もうとする“考碗族”は、「試験に受かるまでやめない」というスローガンで前に向って突き進んでいるが、最終的に「鯉が龍門に跳ね上がる」ことは決して容易なことではない。

 実際、公務員浪人も出てきていて、記者が取材した浙江大学城市学院では、卒業してから5つ以上の公務員や公的機関の試験を受けたが、未だに公務員以外の職につこうとせず、次の試験を目指して家で「待業」している友人がいる、との話が出ている。

 身辺類似的同学不在少数,但是由于考試競争激烈,絶大部分的“考碗族”通常最后只能充当“炮灰”。

 炮灰 pao4hui1 は大砲の餌食になること。身近に同様の同級生はたくさんいるが、試験の競争は激烈で、大部分の“考碗族”は通常、最後には大砲の餌食になってしまう。夢破れて散り散りに意に沿わぬ職に就くのだろう。好運を手に入れられるのは、「寥寥无几」liao2liao2wu2ji3 いくらもいないのだから。