写真日記

さいたまスーパーアリーナに
違和感を感じながら
人の波になって運命を受け入れる

何日か前に
原発からの集団避難民の人たちを
追い払ったという場所で
ライブが行われていて
10000人くらいの若者たちが
踊り歌っているのだった

僕はシラフじゃやってられないので
とりあえずお酒を一気にたくさん飲んでから
踊り狂うことにした
知ってる歌を一生懸命歌った

それでも世界はこうやって回っていくのだという
どんな批難も受け入れようと思う
生きていくということは
とても痛いことだという

それにしても痛みがあった

すぐに酔いは醒めてしまう
たぶんウォッカでも飲んだほうがいい

それでも歌っていうのはとても力がある
歌手やアーティストっていうのは
その人自体はまったくちっぽけだけど
それでも歌とか絵とか写真とか
その人から生まれたものごとには
なんとも力があるということがたまにある

歌を、歌うだけの人、ただ、無力だ
でも、歌は無力なんかじゃない
無限力だ、どうだろう？
僕は知っている歌を歌った
知らない歌は踊った
言葉だけは無力だった

僕らは無力だと実感するけど
もしかしたら写真には少しだけ力があるような気もする
まだよくわからないし
僕にはどうすることもできないけど

そんなことを考えながら踊っていた

それでも
被災地に懸命に向きあう23歳の若者がいて
同じ瞬間に
アリーナで歌い踊る23歳の若者がいて
どっちがいいのだろうか

いやはや僕にわかるだろうか