写真日記

運命をキャンセルして
洗濯物を片付ける

不安に押しつぶされそうなので
赤ワインを買ってきて飲んだ
大人は便利な気もするけど
不便な気もする
都合はいい感じだけど

夢の中まで
なにかに迫られた夢をみたけど
朝起きたら狭い部屋の
ベットに眠っていて
もうすぐに忘れた

シーツは歪んだまま
２週間前に出た時と
同じように散らかった部屋
思い出すと
徹夜で時間に追われていた
朝は雨が降っていて
辛うじて始発の地下鉄に飛び乗った
そこから時空を繋なげるのは
この散らかった部屋だ

とりあえず
朝起きて
いったんキャンセルしてから
スケジュール表を睨みつけて
TVを徐ろにつけて
いつもの日本の朝の番組がやっていて
いろいろの悲惨なニュースが流れていて
語弊を恐れずに言うと
それはなんとも面白いので
無意識にそれを観てしまうのだから
やばいやばいと改めて
リモコンのボタンを押して
勝手に撮り溜まったらしい
HDD録画されたお笑い番組を
つけることにする

それを2週間分観てしまうと
いよいよお腹も減ってくるので
とりあえずワインを買いに出かけて
スーパーマーケットのカゴにいろいろ詰め込んで
いざレジに並んでいると
財布を忘れたことに気がついて
とりあえず
集めた商品を棚に戻してから
いったん部屋に戻る

迷ったけど財布を取って
また戻ってしかたなく買い物をして
それからまた赤ワインを飲む

気がつくと眠っていて
夕陽が落ちる頃に目が冷めて
それから窓を開けて
さてこれからどうなるかしらと
イヤフォンでシルエットロマンスを聴いてみても
全然響きが違う違和感しかなくて
あれ？と思って
スピーカーに切り替えてみても
全然音の響きが違って
違和感しかなくて
ギターを弾いてみても
音がバラバラで詰まっていく
空気が違うせいかなと
すべてを消して
車が走っていく音を聴いて
夕陽が沈むのを確認する

それでしかたなく
荷物をホドイテ
洗濯物を片付ける

部屋の窓から
東京に沈む夕陽を眺めながら
ロケの荷解きをして
麻痺した体と頭を休ませて
運命をキャンセルして
日常に戻していく作業

ちょっと休んだら
またどこかに行けるかな

シルエットロマンスを聴いてみたけど
全然響かないのが不思議で
空気に重さがある気がする

あのときもそうだった
地震の後
2011年の4月

まあ
すぐになれるけど

だいたいそんな感じで

どこにいたっていつだって孤独だから