連載小説「Q」35がヌケていました。
まぬけです。
かなり重要な回です。
よろしくお願いいたします。
連載小説「Q」35
枕草子を今の言葉に変えるのは、プログラムを書くのとよく似ている。
何が似ているのかと青年が聞けば、順平は答えられなかっただろう。
だが、青年は、納得したように頷いた。
「ほら、『あけぼの』にマウスを当ててみて」
光一が言われたとおりにすると、『夜明け』と吹き出しが出た。
「次は、『やうやう』」
「『次第に』って出ます」
「誰にでも読める『枕草子』や。千年超えて清少納言に会える」
「すごいですねえ。僕でも意味が分かる」
「一個一個訳を入れていったんや。あほみたいに」
「そんなことはないです。尊敬します」
「ありがとう。そんなこと言うてくれたんはあんただけや」
順平は胸が一杯になった。
涙を隠すためにコロの頭を撫でた。
コロは盛んに尻尾を振った。
「よかったらもっていったらええ」
熱心に画面を追っている光一に順平は言った。
「百冊も作ったよって、ようけあまってんねん」
「喜んでいただきます」
「ほな、五冊もろて貰おか。わしはこの犬を飼うよって」
順平は、デモ用の『愛慕』にこだわった。
光一は、契約書の商品名にAIBO3279670―01と書き込んだ。
契約が終われば、コロになる。
連載小説「Q」#1-#30をまとめました。
まぬけです。
かなり重要な回です。
よろしくお願いいたします。
連載小説「Q」35
枕草子を今の言葉に変えるのは、プログラムを書くのとよく似ている。
何が似ているのかと青年が聞けば、順平は答えられなかっただろう。
だが、青年は、納得したように頷いた。
「ほら、『あけぼの』にマウスを当ててみて」
光一が言われたとおりにすると、『夜明け』と吹き出しが出た。
「次は、『やうやう』」
「『次第に』って出ます」
「誰にでも読める『枕草子』や。千年超えて清少納言に会える」
「すごいですねえ。僕でも意味が分かる」
「一個一個訳を入れていったんや。あほみたいに」
「そんなことはないです。尊敬します」
「ありがとう。そんなこと言うてくれたんはあんただけや」
順平は胸が一杯になった。
涙を隠すためにコロの頭を撫でた。
コロは盛んに尻尾を振った。
「よかったらもっていったらええ」
熱心に画面を追っている光一に順平は言った。
「百冊も作ったよって、ようけあまってんねん」
「喜んでいただきます」
「ほな、五冊もろて貰おか。わしはこの犬を飼うよって」
順平は、デモ用の『愛慕』にこだわった。
光一は、契約書の商品名にAIBO3279670―01と書き込んだ。
契約が終われば、コロになる。
連載小説「Q」#1-#30をまとめました。