戦後のわが国の為替相場は、360円と308円の固定相場を経て、1973年はじめに、変動相場制に移行した。その後も、今日にいたるまで円高に次ぐ円高の歴史を歩んだ。特に1985年のいわゆるプラザ合意後の円高はすさまじかった。1usドル240~250円だった円は、2年後には150~140円になってしまった。そして現在はついに90円台に達した。
この間食料自給率は80%台から現在の40%になった。まさに食料自給率低下の推移は、為替の円高の歴史を反映している。食料自給率は、この円高が維持される限り、どんなに頑張ったところで自給率を高めることは不可能です。
世界的金融危機発生後の為替レート、1usドルが90円台の前半では、大部分の輸出企業でさえも黒字を維持することは難しいだろう。このままでは輸出依存体質の日本経済は立ち直るのはむつかしい。
極端な言い方ですが、日本国民を殺すには刃物はいらないのです。市場原理主義(特に金融資本主義とグローバリゼーション)と為替によって、日本経済は封じ込められているのです。これらによって日本国民を虐殺しているようなものです。
日本の自殺者はここ10年毎年3万人を越えています、経済的理由による自殺がふえています。
また、日本人の出生率をみてください、昨年(08年)の出生率はやや増えたとは言え、1.37人です。人口問題研究所によれば、2055年には日本の人口は現在より約3800万減少して8993万人という推計をしています。少子化問題は根本的に経済問題です。経済的理由で、結婚したくても出来ない若者、子供を生みたくても生めない夫婦が多いのです。
為替に話を戻します。
前回最後のところで、『1990年代の前半から昨年まで、1ドル100~120円で推移している』と述べましたが、このレートは自動車や精密機械や電子商品などの輸出企業向け用のレートです。これでさらに円高が進めば、円高による低価格部品購入のメリットは若干あるものの、輸出企業は大きな打撃であることに変わりありません。そしてその行き着く先は、さらなる派遣切りや賃金削減による人件費削減です。これでは日本経済がよくなるわけがないじゃないですか。そして食料はますます輸入に依存していきます、農業はある意味で円高の犠牲者なのです。
そもそも、為替レートは変動相場制だから、為替市場によって決まると言われています。それが極めて疑わしいのです。
変動相場制は、1973年はじめに移行しました。1973年以降1985年のプラザ合意までは、為替は1ドル200円から300円、おおまかには250円付近が平均です。表向き変動相場制という形をとりながら、プラザ合意は円高誘導への事実上の市場介入です。
さらに言えば、その後の規制緩和とグローバリゼーションにより、金融資本主義の跳梁跋扈です。金融資本主義といえば格好よく聞こえますが、中身は博打じゃないですか。その結果、貿易などによる実体経済のドル取引は、全体の5%程度でしかない。これでは、いくら円高是正のための市場介入したところで、市場が動くわけがありません。
事実、2003年ブッシュのイラク攻撃開始した年の年初より翌年の3月末までの1年余りの間に、日本政府は史上最大の約35兆円の怪しげな円高介入をしていますが、全然効果なしです(もっとも、この介入は以前にも述べましたがブッシュのイラク戦争ための資金提供の疑いが濃厚)。
ついでに言わしてもらうなら、『規制緩和とグローバリゼーションが金融資本主義(カジノ経済)の跳梁跋扈』を許し、日銀の疑惑に満ちた「超低金利政策と量的緩和策」が、その背後でグローバルな「カジノ経済」を支えた、それがまた円高の要因にもなっている。
日本経済、勿論食料自給率もアメリカの掌の中で踊らされているようなものです。
次回はもう少し為替の問題点を追及します。
蛇足:私は日本経済がよくなるためには、日本はアメリカからの自立が必要であると主張し続けています。アメリカにどっぷり浸かっている今の自民党政権では、アメリカから自立することは不可能です。では民主党ならどうかはわかりません、民主党の中にも親米派がいるようですから、難しいかも。しかし何はともあれ、今は政権交代が必要だと思う。