猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

ASEAN憲章目指す―クアラルンプール宣言

2005-12-14 23:25:06 | 外交・国際問題全般
 東アジア共同体の帰趨はどうなるか分からないが、ASEANがその重要なプレイヤーであることは間違いない。東アジア共同体の方向性について議論する「東アジアサミット」に先駆けて行われたASEAN首脳会議において、2020年をめどにASEAN憲章を起草して、政治・安全保障、経済、社会・文化の3分野での地域統合を目指すことを謳った「クアラルンプール宣言」を発表した。
 ASEANは通商上はもちろんのこと、地政学的にも我が国のシーレーンに位置し同じ海洋国家群であるなど、安全保障上も我が国にとって重要である。結局のところ、ASEAN地域を日米が制するか中国が制するかによって、アジア太平洋地域の力関係が決まってくるものである。「そんなゼロ・サム的な思考ではいけない、中国との共存共栄を図るべきだ」という反論もあろうが、そう理想的にことが進むわけではない。中国が積極的に海軍を増強し、海洋への進出を強力に進め、日米同盟に楔を打ち込もうと、ことあるごとに画策しているなどの諸事情を勘案すると、膨張主義的・覇権主義的態度をとっているのは中国のほうなのだから、嫌でもそれに対抗せざるを得ないということである。
 さて、こうした状況下で「価値観の共有」や「民主主義、人権の促進」を重要な柱として含んだ「クアラルンプール宣言」が出されたことは、大いに歓迎すべきことである。東南アジア地域で、我が国が国是としているこれらの価値観が幅広く定着することは、独裁国家である中国との対立軸が明確になることに他ならない。ASEANを統合するといっても、やはりこれらの価値観をどの程度重視するかによって、必ずしもまとまらない可能性も低くない。そういう時こそ、民主主義や人権といった価値観を共有できる国々と日米豪が連携を強めていく、集団防衛機構の構想が意味を持ってくる。通商上は、互いにFTAを結んでいけばよい。この際に、日米でFTAを結ぶことも、もっと研究されてよい話である。これは、民主党の前原代表の持論でもあるようだ。与党だろうが野党だろうが、国益にかなう議論には積極的に耳を傾けるべきである。


(参考記事)
<ASEAN>首脳会議、憲章の起草を宣言
 【クアラルンプール藤田悟】東南アジア諸国連合(ASEAN)は12日、クアラルンプールで加盟10カ国による首脳会議を開き、将来のASEAN共同体の憲法的な枠組みとなる「ASEAN憲章」の起草をうたった「クアラルンプール宣言」を発表した。
 宣言は、憲章の原則に「価値観の共有」や「民主主義、人権の促進」などを盛り込むとしている。起草はラモス元フィリピン大統領やアラタス元インドネシア外相らで構成する「賢人グループ」に委ね、06年中をめどに草案を作成する。
 ASEANは2020年を目標とする完全統合に向け▽政治・安全保障▽経済▽社会・文化――の3分野で共同体構築の準備作業を進めている。
(毎日新聞) - 12月12日18時43分更新


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