猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

通常国会閉幕、自民党総裁選事実上火ぶたを切る

2006-06-18 21:01:45 | 自由民主党
 通常国会が16日に閉会して、9月の自民党総裁選挙に向けて事実上選挙戦が始まった。私の個人的な印象では、政局関連は毎日新聞が強いというイメージがある(この認識は間違っているのかもしれないが…)。そういうわけで、毎日の長い記事を紹介しておきたいと思う。といっても、長文にも関わらず「よく分からない」というのが結論の報道記事である。誰が出るのかすら確定していないのだから、そうならざるを得ないところではある。
 誰が当選するか以外で注目したいのは、全国11ブロックで総裁選の候補者による演説会や討論会を念頭にした「ブロック大会」を実施することを決定した点である。次期総裁も選出されれば即ち内閣総理大臣に就任する人物なのだから、国民の前にオープンにするのは大変結構なことである。万が一下野している場合であっても、二大政党の一翼を担う自民党の総裁は次に行われる衆議院選挙で首相候補として戦うわけだから同様の理屈が成り立つ。オープンな議論が行われることにより、国民の関心を引いたり支持を増やしたりする可能性が高まることも、党にとっては重要なことである。
 候補者として取りざたされている人物の中では、私が特に関心を持っている外交・安保の分野での方向性に賛成できるのが、安倍官房長官と麻生外務大臣である。例えば、日米同盟強化や対中姿勢である。安倍官房長官は、昔一度だけ挨拶させていただく機会があったが、誠実そうな人柄がよく伝わってきた。官房長官という調整役にあっても、就任前と変わらず一貫して北朝鮮による拉致事件に取り組み続けている意志の強さは素晴らしいと思う。麻生大臣は、発言のウィットが極めて魅力的だし、対中姿勢がとりわけ支持できる。経営感覚があって経済通だという評判もある。国家経営を任せるに足る玄人好みの候補だと思う。谷垣財務大臣は、外交・安保政策に関してはともかく、消費税増税をごまかさずに主張している点には誠実さを感じる。敢えて名指しは避けるが「憲法改正は近隣諸国の理解を得て行うべき」と主張する人物が候補になったら、その主張は支持できない。 
 投票まで90日を超える期間がある。じっくり論戦を拝見したいと思う。


(参考記事)
[自民総裁選 93日間の火ぶた切る ポイントは安、福]
 国会閉幕を受け火ぶたを切った06年の自民党総裁選は、5年続いた小泉政権の下で自民党がどう変化したかが問われる意味で大きな節目となる。安倍晋三官房長官と福田康夫元官房長官による「安福対決」が実現するかで構図は大きく動くが、派閥の求心力低下やさきの衆院選での新人議員の大量当選に伴う「脱派閥」「世代」がキーワードとなる。【中川佳昭、田中成之、西田進一郎】
◆「安・福対決」の場合
 「僕の行動は僕にもわからん」
 福田氏は16日、森派の会合を前に記者団にこう語り、煙に巻いた。
 国会閉幕前夜の15日夜、東京都内のホテルの一室で小泉純一郎首相と森派会長の森喜朗前首相は生ビールとウイスキーの水割りを飲みながら1時間語り合った。「よくここまで来たもんだ」と森派の伸張を振り返る首相に、森氏は「純ちゃん、『おれは安倍だ』なんて、あんた言うべきでないよ」と静観を促した。首相が安倍氏支持で突き進めば、それだけ「反小泉」勢力が硬化し、「安福対立」をあおりかねない、との懸念からだ。
 首相が事実上後押しする安倍氏は、森派以上に派閥横断の中堅・若手議員に足場を置く戦略だ。今月2日には中堅・若手議員94人が「再チャレンジ支援議員連盟」を結成するなど浸透。党所属国会議員の27%(111人)を占める40代以下の議員は大きな票田だ。
 一方、福田氏は山崎拓前副総裁、加藤紘一、古賀誠両元幹事長らベテランがこれも超派閥的に出馬に期待を寄せており、「安福対決」が実現すれば最大派閥の森派が分裂状態となり、派閥再編を視野に脱派閥と世代対立の構図が鮮明になる。
 仮に安倍、福田氏が対決した場合は、出馬を予定する麻生太郎外相、谷垣禎一財務相は埋没の危機感が強まる。一方で、「草刈り場」となることを警戒した他派閥の候補が乱立する可能性もある。いずれにせよ激戦模様となるだけに、1回目の投票で安倍氏が過半数を制するかが焦点。決選投票となれば、2、3位以下の候補の連携もあり得ることから情勢は複雑化しそうだ。
◆福田氏不出馬の場合
 「派閥はなくならない。総裁選で他の派閥は強固になっている」。森氏は15日の首相との会談で、総裁選を経ても派閥政治は維持されるとの見方を強調した。
 福田氏が出馬を見送った場合、森派は安倍氏支持で事実上の一本化。中堅・若手の派閥横断の支持に最大派閥の支援も固める安倍氏の優位が強まりそうだ。
 「反小泉」陣営は「受け皿」をめぐり戦略の練り直しを余儀なくされ、不出馬を見越して与謝野馨経済財政担当相らの擁立を探る動きもある。ただ、安倍氏優位とみて候補擁立を見送り支持しようとする動きが他派に広がることも予想される。
 福田氏は今年7度目の外遊となるインドネシア訪問を22日から予定している。活発な議員外交や小泉首相の靖国神社参拝への批判などから、出馬意欲を指摘する声は多い。しかし、一方で森派の大勢が安倍氏支持に傾いていることや、20日の旧宮沢派系の会合での講演をキャンセルするなど、出馬を疑問視する見方も強い。このため、加藤、山崎氏らは福田氏に早期の態度表明を迫るなど、いらだちを隠さない。
 首相は15日の会談で退陣後の派閥会長への復帰について「おれは帰らない」と否定した。森氏は総裁選後の役割分担として「首相・総裁=安倍氏、派閥会長=福田氏」という落としどころで森派一本化を探っているとの見方もある。
◆異例のロングラン総選挙に
 今回の総裁選は、9月8日告示、20日投開票の日程が有力視されている。今国会は会期延長はなく18日に閉会する。このため、閉会してから総裁選の投開票日までは、過去15年で最長だった54日間を大幅に上回る93日間もあり、同党の所属議員や党員にとっては異例のロングランの総裁選となる。過去15年の総裁選のうち、任期満了に伴い9、10月に行われた総裁選は、91、95、99、03年の4回ある。このうち99、03年は、通常国会が延長され、閉会から総裁選の投開票日までの間隔は39~54日間だ。一方、91年と参院選があった95年は通常国会の会期延長はしていないが、いずれも8月以降で総裁選までに臨時国会を開いており、閉会してから投開票までは23~43日間にとどまっている。総裁選を盛り上げて来年夏の参院選につなげたい党執行部は、ロングランの総裁選が中だるみしないよう、全国11ブロックで総裁選の候補者による演説会や討論会を念頭にした「ブロック大会」を実施することを決定。7月末から「開かれた総裁選」による政策論争の様相を強める。
 【総裁選制度】 有権者は党所属の衆参両院議員404人と2年以上党費を納めた一般党員。議員は1人1票を持ち、一般党員には地方票300票分が割り当てられ、計704票で争われる。地方票は各都道府県連にまず3票ずつ(計141票)与えられ、残り159票を各県ごとに党員数に応じて割り振る。現規定では議員票と地方票は同時開票。過半数を得た候補がいなければ、議員だけで決選投票をする。総裁選出馬には国会議員20人の推薦が必要。
(毎日新聞) - 6月17日10時15分更新


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
麻生さん (PJ)
2006-06-19 12:18:10
靖国問題について、『国のために戦った人たちの慰霊を一介の宗派に任せているのは国としてどうか?』との発言には魂消ました。

最近、変な雰囲気を醸し出していると思ってたんですけど、麻生さんを推す人も多いので、私の気のせいだろうと思うように努力してました。

・・・が、気のせいじゃなかったorz
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福田さんは「真夏のお化け」か? (tsubamerailstar)
2006-06-20 01:01:58
何か結局でないような気も何となくするんですが、私的には安倍氏も何でそんなに人気なのかイマイチ理解しがたい。

彼国会答弁で突っ込まれるとどもると言うか早口になると言うか、何かプライマリーバランスについても頓珍漢な答弁してたしいざとなると立ち往生する可能性が高い気がしますけどねぇ。

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コメントありがとうございます (猫研究員。=高峰康修)
2006-06-20 01:09:24
>PJさん

『国のために戦った人たちの慰霊を一介の宗派に任せているのは国としてどうか?』というのは「国家神道の復活」とも受けとめる事ができないでもないですが、さすがにそれはないか…。



>tsubamerailstarさん

毎日の記事の「安倍総裁、福田派閥会長」というのが落ち着くところかもしれません。安倍さんは口下手ですが「ブレない」という印象がある点が人気の原因でしょう。経済政策が心許ないという評価は少なくないですが、しっかりしたブレーンに任せる事ができるかどうかにかかっていると思います。
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