猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

安倍氏が外交理念発表へ―自由・民主をアジアに拡大

2006-07-13 00:01:24 | 外交・国際問題全般
 安倍晋三官房長官が、政権構想としてまとめた外交に関する論文を、米国の外交雑誌などに発表する。その概要は以下の通りである。

・外交哲学:自由、民主主義、人権、法の支配という四つの普遍的価値観をアジアや世界に広める
・同盟関係:自由や民主主義などの普遍的価値観を共有できる米豪印3か国などと連携、日米同盟を強化
・国際貢献:自衛隊派遣を含む国際平和活動に積極的に参加
・中国:人権状況について「宗教の自由や言論の自由が圧迫されている」と懸念
・北朝鮮:自由と民主主義の恩恵を望みながら、それを得られていない多くの人がいる」と批判、ミサイル発射や日本人拉致事件を強く非難
・日本の歴史と文化:その良さを海外に発信していく
・靖国参拝:「戦没者に哀悼の意を表すことは各国共通の慣習だ」
・憲法改正:日本人の国家観や歴史観を踏まえ、終戦直後に制定された憲法改正の必要性を訴える
・経済:規制緩和や自由貿易協定(FTA)などを促進、。「技術革新」で日本経済の活力を高め環境やエネルギー分野で技術協力も推進

以上、一瞥して明らかな通り、日頃ここで私が発信している意見とよく一致する。自由主義・民主主義の拡大は乱暴に進めるのではなくて細心の配慮を要するなどといった細かい注文はあるものの、日・米・豪・印による安全保障関係の緊密化は持論であるし、また、FTAを中心とした経済連携も重要なことと認識している。よって、そういう外交政策の方向性を真っ先に明確に打ち出した安倍官房長官が総裁選挙に正式に出馬したならば、是非とも支持したい。頼りなさそうだといった声も聞かれないでもないが、地位は人を作るというのは真実だと思う。「安倍氏はぶれないところが評価できる」という意見もあり、そこに期待する。



(参考記事)
[安倍氏が外交理念発表へ、自由・民主をアジアに拡大]
 自民党総裁選の有力候補である安倍晋三官房長官が政権構想としてまとめた外交に関する論文を近く米国の外交雑誌などに発表することが10日、明らかになった。
 「安倍外交」の哲学として自由、民主主義、人権、法の支配という四つの普遍的価値観をアジアや世界に広める姿勢を打ち出すのが主眼。
 中国と北朝鮮の人権状況について国名を挙げて懸念を表明するほか、北朝鮮のミサイル発射を糾弾することにしている。
 関係者によると、安倍氏は、国内外に政権獲得後のアジア外交を不安視する声があるため、総裁選前に外交理念を整理し、提示する必要があると判断した。
 安倍氏は論文で、自由や民主主義などの普遍的価値観を共有できる米豪印3か国などと連携し、アジアを中心にその拡大に積極的に取り組む方針を打ち出す。
 多様な政治・社会体制の国々が混在するアジアや中東との外交でも、相手国の民主化や人権状況を重視する立場を明確にし、国際社会に「安倍外交」の一貫性を印象づける狙いがある。
 また、近隣諸国との相互理解の重要性を指摘したうえで、中国の人権状況について「宗教の自由や言論の自由が圧迫されている」と懸念を表明。北朝鮮については「自由と民主主義の恩恵を望みながら、それを得られていない多くの人がいる」と名指しで批判する。
 安全保障では、北朝鮮によるミサイル発射や日本人拉致事件を強く非難し、日本国民の生命や財産の保護は「国家の責務」と明記する。日米同盟を強化する一方、自衛隊派遣を含む国際平和活動に積極的に参加する考えも盛り込む。
 日本の伝統・文化や歴史の良さを海外に発信していく意向を示し、日本人の国家観や歴史観を踏まえ、終戦直後に制定された憲法改正の必要性を訴える。靖国神社参拝については「戦没者に哀悼の意を表すことは各国共通の慣習だ」と理解を求める方向で調整中だ。
 経済では、日本を「開かれた国」にするため、規制緩和や自由貿易協定(FTA)などを促進。「技術革新」で日本経済の活力を高め、環境やエネルギー分野で技術協力も推進する。
(2006年7月11日3時1分 読売新聞)


☆ぜひとも、Blog●Rankingをクリックして、ランキングに投票して応援してくださいm(__)m


最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本外交 (asean)
2006-07-13 09:54:16
理念ですから、こういう内容で良いのかな、っとは思いますが。

いわゆる戦略ODAでもその戦略の使用方法であっても「日本が関与した国がどう具体的に変わったか」を示さないとならないでしょうね、今後の日本外交の課題として。



ASEAN諸国でも実際は「日本に対する期待」はかなりなモノがあるんですが

正直な所日本のこれ迄の態度が余りにも中立過ぎて現地の与党にも野党にも日本の支援ってのが一体何だったのか?がハッキリ理解出来ていないんですよ。



日本のお陰で今迄こうだたモノがこうなったので非常に良かった!・・・ってな具体的な実例を作れるか?でしょうね。



中立的なインフラだけの支援ではないそれこそ戦略的に統合運用されたODAであれば無償、有償に関係なく

現地では歓迎されるでしょうし評価もされると思うのですが。



因みに、日本の指導者としての雰囲気と言う意味では安部さんですかね・・・見劣りしないっと言うことで。
返信する
取り合えず (PJ)
2006-07-13 11:08:35
こんなもんなんだろうなぁ~と思いました。

というか、外国にも見せる論文って、どこまで書いていいものなのか、よくわからないんですけど、あまり表面的なことばかりでも評価されないような気がします。

でも、安部さんは年齢的なポジションもあるので大人しくはしていますけど、いったん腹を括ったらやる人だと思うので頑張って欲しいです。



>aseanさん

>正直な所日本のこれ迄の態度が余りにも中立過ぎて

>それこそ戦略的に統合運用されたODA

これって中国やアメリカみたいな形で自国の意向に沿う党をバックアップするってこととは別ですか?

何でもいいからアセアンとの絆は深めて欲しいです。
返信する
PJさんはじめまして (asean)
2006-07-13 17:08:57
PJさん、こんにちは



>これって中国やアメリカみたいな形で自国の意向に沿う党をバックアップするってこととは別ですか?



この方法は第三世界では非常に拙い方法なので、やっては駄目ですね。

(ですので、僕のは違います、はい)



第三世界では、社会体制や政治体制、政治家ってのが最も不安定要素なので(中東のイスラム教国は又違いますけど)

政党を支援すると後の保障が全くない。

(ベネズエラなんかはその典型だと思います)



これ迄の日本のODAは「相手国の要請(書)優先」ですからこの基本方針はそのままでいいと思います。



中立過ぎて公共財にばかり焦点が当たり過ぎていたので、そうした公共財から自由・民主という理念を広めるってのは非常に難しいと思います。



ただ、戦略的となるとどうしてもこれ迄と違って”偏る”(ったように見える)のでかなりしっかりしたパラダイムシフトを必要とするのではないか?っと思います。
返信する
コメントありがとうございます (猫研究員。=高峰康修)
2006-07-14 03:29:23
>aseanさんへ

今までの援助のあり方は、リクエストベースってやつですよね。悪く言えば受動的に援助してきた感があります。

これからは「良い統治」に資するように使われているか否か、よくよくチェックしながら援助を進めていくべきなのでしょう。援助しっぱなしではなく、法の支配や自由主義の価値に適っているかどうか注視するという姿勢は重要です。対外援助の根本にはそれを据えるべきかと思います。



>PJさんへ

現物を見てみなければ詳細なことは言えないでしょうけど、外国の雑誌の論文となれば、かなりハッキリ物を言うのでなければダメだろうと思いますよ。強力なブレーン(思い当たる人はいないでもない)がサポートしたのか、かなり期待できる方向性です。

ASEANとの関係ですが、これは海洋国家同士連携を深めるべきですよ。そのためにもODAだけではなくFTAなども積極活用せねばなりません。「政権への肩入れ」は、aseanさんが指摘されているように、差し控えるべきだろうと思います。
返信する
なるほど (PJ)
2006-07-14 10:30:11
法の支配や自由主義の価値に適っているかどうかを評価基準に出来るようなものに資金を提供すればいいんですね。

それなら納得ですw
返信する
猫研究員さん (asean)
2006-07-14 11:09:26
おはようございます。



>受動的・・・リクエストベース

う~~ん、これはこれで必要だと思うんです、責任の所在を明確にする上でも、はい。

それと(審査の方法にも関係しますが)要請(リクエスト)の書式としての完成度ではなくAction-Planとしての精度を持っているか?も判断出来ますから。



>法の支配や自由主義の価値に適っているかどうか~



(話をネガティヴな方向に持って行く気はないんですが)自由と民主を拡大と言うことは「拡大する”先(相手国)”」の自由と民主(主義)と法治制度etc

は「不十分又は未達成(独裁型)だ」ってことです(実際そうなんですが)。



っとなると、不十分、未達成な国が仰る「法の支配や自由主義の価値」に適っていると判断する基準は日本の法と自由主義の価値・・ということになりますか?



とかくNGO系の話に出てくる「相手の価値観を認めて」は僕は必ずしも正論だとは思っていないんです

なぜなら、支援先は法の支配も自由主義の価値も不十分、未発達なので(全く違う価値観なので)その違う価値観を認めた上で法の支配とか自由主義の価値とかを実現することは水と油をませ合わせることに等しいとことでして・・

(理解する必要はありますがそれが即、認めることに直結するのは短絡ですから)



これ迄とは全く違った価値観を相手に受け入れさせることが自由・民主の拡大の根本になると思うんですが

その辺りは論文の中でどう扱われているのでしょか?



僕自身は戦略的なモノを実施する為には「日本方式」を丸々現地へ持ち込むしか方法がない・・っとは思っているんですが
返信する
コメントありがとうございます (猫研究員。=高峰康修)
2006-07-15 07:28:43
>PJさんへ

今まで何度か言及したことがあると思うのですが、法の支配や自由主義の価値に適っているかどうか精査するというのは、先日寄稿を紹介したブレア首相の英国をはじめとして、大きな流れなのです。



>aseanさんへ

「法の支配や自由主義の価値に適っているかどうか」の基準は、受入国の基準ではありません。あえて言えば、先進国でおおまかに共通の了解が得られている程度まで目指すべきでしょう。特に法の支配の概念は重要です。人間の恣意をできるだけ排して、法に則って行政など様々な事項が行われると言う普遍的な意味の「法の支配」を私は念頭においています。安倍さんの論文自体はまだちゃんとした全文を読んだわけではないので、そこら辺への言及があるのかないのか不明です。早く読みたいところです。

「これ迄とは全く違った価値観を相手に受け入れさせることが自由・民主の拡大の根本」というご指摘と私の考えは同じ方向性だと思うのですが、いかがでしょうか。
返信する
猫研究員さん (asean)
2006-07-15 13:23:19
おはようございます。



>~同じ方向性だと思うのですが、いかがでしょうか。



同じ方向です、はい。



安倍さんの論文は、理念としてのものだと思いますので基本的な方向性を示す内容に留まっていても問題はないですし

方向性であっても、そうであってほしい!っと思います。



ただ、日本外交はこれ迄の所、いわゆる統合運用が下手だった、っと言いますか(9条の関係もあるでしょうし)

何気に贖罪意識が強過ぎるのか(?)踏み込んだ支援と言うのがなかなか出来なかったと思うんです。



それが「自由主義の価値観を」っとなるとハードだけの部分からソフト部門へも踏み込んだ外交を展開する

・・・ことを意味すると思う訳です。



相手に対して「自助努力を要求する”だけ”」の外交(支援の是非も含めてですが)では

アメリカとの違いを明確にはアッピール出来ないと思うのですが・・・

日本の独自性(独自な日本外交ではなく)を優位に相手に示して”日本の言うことだから聞いてみよう、試してみよう”っと

相手国が真摯に受け取れる外交を期待したい訳です。



ASEAN諸国にしても本音では「頼れるのは日本しかない」訳ですから・・・



僕のブログはMSNなもんですから外部からのトラクバックが効きませんので、固定リンクで猫さんの記事を

借用させて頂きました、ご連絡が遅れて申し訳ありません。
返信する