連日お伝えしているODA改革の最新情報をご報告する。19日に明らかになった政府原案によれば、ODAを管轄する官庁を設置するのではなく、内閣官房のもとに「対外経済協力会議(仮称)」を設置するとのことである。安全保障会議と同様の形態が想定されている。首相が議長、官房長官が副議長、外務、財務、経済産業の3閣僚が議員を務め、ODAについての一貫性と整合性のある戦略を練ることを目指す。
この案は、19日に麻生外相が記者会見で述べたものほぼそのままであり、外務省の意向が強く反映されたものである。麻生外相の主張では、企画立案機能は外務省に残し、首相の下に関係閣僚が集まって方針を検討するという形であるが、それでは「対外経済協力会議(仮称)」が形骸化してしまう危惧も残る。自民党内には企画立案機能も内閣官房に移管すべしという意見があり、「ODA庁」設置構想には及ばないものの、こちらの方が改革のあり方としてははるかに望ましいと思う。もう少し紆余曲折があることが予想される。
やはり、英国で国際開発省(DFID)を設置したことによる効果を見習うべきであろう。「ODA庁」を設置することにより、調整機能も高まり、関連する政策の整合性と一貫性を高め、対外援助の戦略を明確にできる。これは英国の実績である。もちろん何でも外国の真似をすればよいなどとは思わないが、これは、やる価値のある改革である。
(関連エントリー)
『ODA改革続報―企画立案・実施ともに内閣府・首相直轄案』
『ODA企画・実施それぞれ一元化―ODA改革で政府案の方向性明らかに』
『ODA改革は「二正面作戦」―外務省・財務省が抵抗』
『「国際開発庁」を設置すべきだ』
(参考記事1)
<ODA>「対外経済協力会議」原案 首相、4閣僚で構成
政府開発援助(ODA)を政府一体として戦略的に運用するために、政府が設置を検討している「対外経済協力会議」(仮称)の原案が19日、明らかになった。首相が議長、官房長官が副議長、外務、財務、経済産業の3閣僚が議員を務める。事務局は内閣官房に置き、官房副長官補の下に6人程度の事務局員を置く方向だ。
(毎日新聞) - 1月20日3時8分更新
(参考記事2)
[麻生外相、ODA戦略会議を提唱=首相議長に対外援助を統括]
麻生太郎外相は19日、日本記者クラブで会見し、政府開発援助(ODA)改革に関連し、ODA戦略を審議する新会議を内閣官房に創設すべきだと提唱した。その上で「基本的には安全保障会議と同じ形が良い」と指摘。首相が議長を務めて援助政策を統括する形が望ましいとの考えを示した。
(時事通信) - 1月19日21時1分更新
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この案は、19日に麻生外相が記者会見で述べたものほぼそのままであり、外務省の意向が強く反映されたものである。麻生外相の主張では、企画立案機能は外務省に残し、首相の下に関係閣僚が集まって方針を検討するという形であるが、それでは「対外経済協力会議(仮称)」が形骸化してしまう危惧も残る。自民党内には企画立案機能も内閣官房に移管すべしという意見があり、「ODA庁」設置構想には及ばないものの、こちらの方が改革のあり方としてははるかに望ましいと思う。もう少し紆余曲折があることが予想される。
やはり、英国で国際開発省(DFID)を設置したことによる効果を見習うべきであろう。「ODA庁」を設置することにより、調整機能も高まり、関連する政策の整合性と一貫性を高め、対外援助の戦略を明確にできる。これは英国の実績である。もちろん何でも外国の真似をすればよいなどとは思わないが、これは、やる価値のある改革である。
(関連エントリー)
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『ODA改革は「二正面作戦」―外務省・財務省が抵抗』
『「国際開発庁」を設置すべきだ』
(参考記事1)
<ODA>「対外経済協力会議」原案 首相、4閣僚で構成
政府開発援助(ODA)を政府一体として戦略的に運用するために、政府が設置を検討している「対外経済協力会議」(仮称)の原案が19日、明らかになった。首相が議長、官房長官が副議長、外務、財務、経済産業の3閣僚が議員を務める。事務局は内閣官房に置き、官房副長官補の下に6人程度の事務局員を置く方向だ。
(毎日新聞) - 1月20日3時8分更新
(参考記事2)
[麻生外相、ODA戦略会議を提唱=首相議長に対外援助を統括]
麻生太郎外相は19日、日本記者クラブで会見し、政府開発援助(ODA)改革に関連し、ODA戦略を審議する新会議を内閣官房に創設すべきだと提唱した。その上で「基本的には安全保障会議と同じ形が良い」と指摘。首相が議長を務めて援助政策を統括する形が望ましいとの考えを示した。
(時事通信) - 1月19日21時1分更新
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各省庁がODA予算をばらばらに持っている限り、結局は今と変わらないと思うのですが。首相が議長といっても、日常業務の部分までは一々見ていられないわけですから。それとも、例えば財務省から世銀に出ている予算なども外務省のもとの企画立案部門が口出しできるようにするんでしょうか。それだったら、まだ「戦略性」が少しは確保できる可能性が出てくるでしょうけど。この辺は、外務省の実績(あるいは未来志向であれば可能性?)をどの程度評価するかによるでしょうか。
やはり、理想は援助庁ですよね。残念な方向に行っているというのが感想です。首相の英断を望みたいところです。
ほとんど毎日のように動向がめまぐるしく変わっているので、確定的なことはいえないのですが、今回の政府原案では実態は改革からは程遠いのでは、と危惧します。企画立案部門を外務省におきつつ「対外経済協力会議」で議論・調整という形ならば「対外経済協力会議」の存在意義に疑問符がつきかねません。
おっしゃるように、むしろ、外務省のもとに一元化するというのであれば、それはそれで戦略性や整合性が保てるとは思いますが、やはり、なんとか内閣府に「対外援助庁」を設置できないものか…。