猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

納得行かない中曽根氏の小泉外交批判

2005-11-21 23:58:14 | 外交・国際問題全般
 TBSの報道番組で、中曽根元首相が司会者との対論の中で「小泉・ブッシュ関係は自分のロン・ヤス関係に比べれば底が浅い」「ブッシュ大統領が主張した『アジアにおける自由と民主主義の拡大』に対しては小泉総理は『アジアの価値観の多様性』を説くべきであった」などと言って、小泉外交の批判を展開していた。「アジアの価値観の多様性を説くべし」というのは、実に的外れな議論であると思う。米国の戦略は、自由と民主主義という旗印をもって、台頭してくる中国の軍事的脅威に対抗しようというものである。これに日本が乗るべきか否かといえば、当然答えはYESのはずである。これに対して、アジアにおける価値の多様性を説くというのは一体何の意味があるというのだろうか。価値の多様性といえば、冷戦のときだって当然価値の多様性はあったが、例えば、米国のソ連封じ込め政策に西欧諸国が価値の多様性を持ち出したことなどないのではないだろうか。中曽根氏にして、アジアという言葉に郷愁があるのだろうと推測する。
 「ロン・ヤス関係の方が底が深かった」という発言に関しては、主観的なのでなんとも論評しがたいが、大勲位という地位にある立派な方があまりそういう次元の低いことを言うのは、中曽根先生のために惜しいと思う。もちろん、中曽根氏が冷戦末期に日米同盟を当時の制約下で最大限に強化して冷戦を西側の主要国の一員として乗り切ったことは高く評価できるし、立派な政治家であったと尊敬申し上げている。
 明日は、小泉自民党の体制そのものについて批判するようだ。傾聴に値する立派な意見を聞けることを期待しながら、一方で、比例名簿終身一位を剥奪されたことへの恨み節ととられかねない批判に陥らないか心配でもある。


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4 コメント

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tsubamerailstar様へ (猫研究員。(高峰康修))
2005-11-25 00:28:27
中曽根先生の若い頃から現在までの言動の積み重ねから、確かに「大アジア主義」が見て取れますね。「英米かぶれ」の吉田茂を強烈に批判したのも感性が合わなかったからでしょう。最近の発言は、どこまでが本当の信念で、どこまでが遺恨からくる反対なのか区別がつきにくい部分がなきにしもあらずというか、そんな気もします。

おっしゃるように、中曽根内閣は外交も行革も歴史的に評価が高いものになるのは間違いないので、あんまり変なことを言って晩節を汚すのは惜しいことだと思うのです。国鉄の民営化は、負債の返済という意味では、清算事業団の赤字が増えてるぐらいなのであまり成功してないのですが、あれをやらないと国労の力が強くてもっと酷いことになったでしょうね。中曽根内閣では、外交・安保政策に関しては全く意見が異なりますが、後藤田官房長官も立派だったと思っています。
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晩節を汚さないように! (tsubamerailstar)
2005-11-24 12:24:36
中曽根内閣って戦後最強の筆頭だと思います。土光さんを前面に押し立て、三公社五現業(この言葉知っているのも私くらいが最後?)の大改革に大鉈を振るい、年金改革、通商、外交・・・・今年はプラザ合意から20年ですね・・・・と戦後日本のターニングポイントの舵取りをしたのが中曽根内閣であることは間違いないですよ。

レーガン大統領何かも「ヤスはしたたかな奴だ」と側近に苦笑してたと言いますし、まぁ、彼が賢明だったのは、<大アジア主義>でありながら対米強調基調というのを絶対に忘れなかった点でしょう。等距離外交模索して失敗した田中角栄の教訓を叩き込んでいたのかも知れませんが。

自身のリストラとか弘文氏の件、また最近は憲法絡みもあって、彼のプライドが痛く傷ついていることは想像に難くないし、同情する部分もあるんですが、まぁ、ちょっと「生臭いな、大勲位」と思われないようにしといたがよいでしょう。野中何てのに比べると百倍マシですけどね。



そういう年ごろと申しますか、本来の<大アジア主義>的性向が本音でポロっと出たかなといったところでしょうか。ただまぁ、あの当時の中国はコヨウホウ親日路線でしたからね。対中関係を同じ視点で論じるのは無理ですし、小泉氏の「日米関係強化が日中関係云々」の真意は、日米関係を強化しておけば、中国も対日関係を重視せざるをえなくなるといういわば蝶番のような発想で、これ自体は目新しい発想でも何でもないんですよね。中国の覇権的傾向が高まっている現在としては、この手が正解だと私は思います。



大勲位が今総理だったら東アジア共同体に熱上げてるんだろうな。(汗)
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keiko様へ (猫研究員(高峰康修))
2005-11-22 23:59:52
そうです、そうです!NEWS23です。

前任者の鈴木善幸が日米同盟にダメージを与えまくってくれたので、中曽根氏が擦り寄ってでもそれを回復せねばならなかったという事情はあったのでしょうが…。でも、ブッシュ・小泉の方が自然体ですよね。サミットでの写真撮影で真ん中に写りたがったのは、本人の言い分では「端っこにいたら納税者に申し訳ないので、意識して真ん中に行った」そうですよ。靖国公式参拝をやめたのは「胡ヨウホウさんが、政争に巻き込まれて困るから」だそうな。判断はkeikoさまにお任せします(笑)

今日は、大勲位は単なる評論家といった感じでしたね。ポピュリズムに陥っちゃいけないとか、保守の精神を忘れちゃいけないとか、民に任せるのは結構だが任せられないこととの線引きが必要だとか、一般論としてはまあその通りでしょう。予想よりは「恨み節」じゃなかったです。でも、主張したいことがイマイチ不明でした。そういうわけで、「今日の大勲位」はわざわざエントリーするほどのものでもないかな…。
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ニュース23ですね。 (keiko)
2005-11-22 02:52:50
見てましたけど。ロンヤスなんて私には風見鶏大勲位が擦り寄ってるようにしか見えなかったですけどねぇ。国際会議の時も、無理矢理写真の真ん中に入ろうとしてたの見苦しかったし。。

小泉さんは自然に輪の中心にいるし、どう見てもブッシュさんのが懐いてるし。。外交に関しては、小泉さん以上の人を見たことがないなり。
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