猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

困難な「インターネット統治」問題

2005-10-02 05:52:48 | 情報化社会
 言うまでもなく、インターネットは国境を越えてもっとも自由な活動を享受できる空間である。これを誰がいかに管理すべきかというのが、インターネット統治問題である。具体的には、ドメイン名、技術標準、ネットワークセキュリティ、知的財産、プライバシー、電子商取引、言論の自由、課税、そして「文化と言語の多様性」などの管理である。この11月に、国連の「世界情報化社会サミット」なるものが開かれるのだが、その重要な議題の一つである。しかし、「世界情報化社会サミット」準備会合での取りまとめは難航している。
 米国や日本は現状維持を主張しているが、EUや中国は政府や国際機関の関与を求めている。中国の意図は、ネットを通じて民主的な思想や自国のさまざまな問題点が広まるのを恐れて、引き続き「ネット検閲」をしたいだけである。ここで、国際社会からの「お墨付き」をもらってしまえば安心してネット検閲ができるというわけである。EUは、おそらく商業的な理由である。上にあげた中では、ドメイン名や技術水準に関することであろう。これまでは米国の基準に従って構築されてきたが、国連などを関与させることで、自らの商業的立場を向上させる意図があると思われる。
 インターネットを統治することは、各国政府や国際機関の力をもってしても、相当に困難なことである。無理に統治しようとしても、徒労に終わるであろう。しかも、統治などしてしまってはインターネットの最大の長所が失われてしまうというものである。しかも、国連が関与するとなれば、非効率性は免れない。それよりは、各国がイシューを絞り込んだ上で協力すべきであろう。例えば、インターネットがテロや国際犯罪の温床にならぬよう、安全保障の観点から国際的に協力していくべきだと思う。あるいはサイバーセキュリティの問題もそうである。さらに、電子商取引に関する国際的な課税の問題についても各国の共通の基準が必要である。知的財産については、WTOなどの枠組みで十分である。



[ネット統治問題、決着せず 情報社会サミット準備会合]
 【ジュネーブ1日共同】11月にチュニジアのチュニスで開かれる国連の「世界情報社会サミット」第3回準備会合は9月30日、インターネットを誰がどのように管理すべきかという「インターネット統治」問題をめぐる各国の対立を残したまま閉幕した。
 出席者によると、準備会合では基本的に現状維持を主張する日本や米国などと、ネット管理に政府や国際機関の関与を求める欧州連合(EU)や中国、イランなどとの溝が埋まらず、サミット本番でも合意できない可能性が出てきた。
 インターネットは米国で生まれ、民間主導で発展してきた。基幹インフラやアドレスの割り当てなどに関しては米政府の影響力が強い。
(共同通信) - 10月1日9時57分更新


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