政府系金融機関の統廃合に伴う、ODA関連の動きの最新情報。17日に発表された政府の方針では、国際協力銀行(JBIC)を解体し、円借款部門を国際協力機構(JICA)に、また国際金融部門を、新設される政府系金融機関に統合するということである。この国際金融部門は、新機関においても独立性がある程度担保される可能性が高い。それゆえ、実際に統合のメリットの有無や効果の大小は不明である。実際、検討会が示した論点整理メモには「国際金融部門は一定の組織的独立性を保持し、その責任者は現在のJBIC総裁と同様の認識を外国から得られるよう十分な配慮が必要ではないか」と明記されている。さらには「JBICブランドの維持・活用が重要」とすら書かれている。統合された後でもJBICの名称を用いたい意向を示唆しているということである。
一方、海外経済協力の実施体制については、現在、外務省経済協力局が担当する無償資金協力をJICAに統合する。実施機能が新JICAに一元化されるのは、効率性の観点からも評価できる。これをどこが所管するかについては、外務省が所管するというのが有力であるが、外務、財務、経済産業各省の縄張り争いが激しく、最終決着というわけではない。一部でで出てきている「共同管理構想」には大反対である。そんなことをしたら、せっかく実施部門を一元化した意義が全く没却されてしまうからだ。政府内から「外交の一元化の観点からも船頭が多いのは問題だ」「援助の調整が複雑化し、意思決定が遅くなる」との批判が噴出しているのは当然のことである。
私は、何度も書いてきたとおり官邸直属の「対外援助庁」を設立するのが望ましいと考えている。そうすることが、今まで方向性の無さや効率の悪さを指摘され続けてきたODAを抜本的に改革することに繋がる。次善の策は外務省への一元化であろう。いずれにしても、ODAによって、国際社会において、そして何よりも国益のために何をなしたいのかを明らかにしなければ改革する意味がない。例えば、貧困の撲滅や教育の向上を目指し、国際機関を通じた援助を増やすことは、国際機関における日本の発言力を強めることになる。貧困の撲滅や教育の向上という目標は、テロの温床を断つという意味でも、内戦や地域紛争を予防するという意味でも、国際の平和と秩序の維持に貢献できる。そして、そういう目標を掲げ実行していくことは日本が国際社会において品格ある国家として一目置かれることに繋がる。これは当然我が国が存在感を増すことに他ならない。今までのような開発一辺倒という手法は早くやめるべきである。
今回の改革は、政府系金融機関の統廃合という切り口から入っていったので、ヴィジョンに関する議論が極めておろそかであったのが残念である。逆に、大改革を望むほうがどだい無理な相談というべきなのかもしれない。今回の改革が、報告されている程度の内容に終わったとしても、第二段階としてODAに関する戦略的ヴィジョンの明確化とそれにふさわしい組織改革は追求され続けなければならないと思う。
(参考過去ログ)
『「ODA庁」ではなくて「対外経済協力会議」設置の方向―政府原案明らかになる
『ODA改革続報―企画立案・実施ともに内閣府・首相直轄案』
『ODA企画・実施それぞれ一元化―ODA改革で政府案の方向性明らかに』
『ODA改革は「二正面作戦」―外務省・財務省が抵抗』
『「国際開発庁」を設置すべきだ』
(参考記事1)
[「新JICAは外務所管」 ODA一元化で、外相]
麻生太郎外相は21日午前の会見で、政府開発援助(ODA)一元化の新実施機関となることが固まった国際協力機構(JICA)の所管について「外交一元化で、外務省ということになる」とし、財務省などと共管する案については「ありません」と明確に否定した。
ODAの円借款については現在、外務省主導で財務、経済産業省と共同で所管・運営する体制となっており、外務省内では共管に柔軟姿勢もあった。だが、外相が単独所管を明言したことで、今後財務省などの反発が強まりそうだ。
(共同通信) - 2月21日11時4分更新
(参考記事2)
[援助機関、JICAに一元化=国際協力銀は解体-政府がODA改革案]
政府は17日、国際協力銀行(JBIC)から円借款業務を分離し、技術協力を行っている国際協力機構(JICA)に統合することを柱とする政府開発援助(ODA)の改革案を固めた。外務省が所管する無償資金協力の実施部門も併せてJICAに統合、援助機関の一元化を実現する。ODA改革では、内閣官房に戦略立案を狙いとした新会議を設置することも決まっている。
政府は、政府系金融機関の統合や公務員純減を柱とした行政改革推進法案に、JBICの解体を盛り込んだ上で、3月に国会提出する予定。
(時事通信) - 2月17日21時1分更新
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一方、海外経済協力の実施体制については、現在、外務省経済協力局が担当する無償資金協力をJICAに統合する。実施機能が新JICAに一元化されるのは、効率性の観点からも評価できる。これをどこが所管するかについては、外務省が所管するというのが有力であるが、外務、財務、経済産業各省の縄張り争いが激しく、最終決着というわけではない。一部でで出てきている「共同管理構想」には大反対である。そんなことをしたら、せっかく実施部門を一元化した意義が全く没却されてしまうからだ。政府内から「外交の一元化の観点からも船頭が多いのは問題だ」「援助の調整が複雑化し、意思決定が遅くなる」との批判が噴出しているのは当然のことである。
私は、何度も書いてきたとおり官邸直属の「対外援助庁」を設立するのが望ましいと考えている。そうすることが、今まで方向性の無さや効率の悪さを指摘され続けてきたODAを抜本的に改革することに繋がる。次善の策は外務省への一元化であろう。いずれにしても、ODAによって、国際社会において、そして何よりも国益のために何をなしたいのかを明らかにしなければ改革する意味がない。例えば、貧困の撲滅や教育の向上を目指し、国際機関を通じた援助を増やすことは、国際機関における日本の発言力を強めることになる。貧困の撲滅や教育の向上という目標は、テロの温床を断つという意味でも、内戦や地域紛争を予防するという意味でも、国際の平和と秩序の維持に貢献できる。そして、そういう目標を掲げ実行していくことは日本が国際社会において品格ある国家として一目置かれることに繋がる。これは当然我が国が存在感を増すことに他ならない。今までのような開発一辺倒という手法は早くやめるべきである。
今回の改革は、政府系金融機関の統廃合という切り口から入っていったので、ヴィジョンに関する議論が極めておろそかであったのが残念である。逆に、大改革を望むほうがどだい無理な相談というべきなのかもしれない。今回の改革が、報告されている程度の内容に終わったとしても、第二段階としてODAに関する戦略的ヴィジョンの明確化とそれにふさわしい組織改革は追求され続けなければならないと思う。
(参考過去ログ)
『「ODA庁」ではなくて「対外経済協力会議」設置の方向―政府原案明らかになる
『ODA改革続報―企画立案・実施ともに内閣府・首相直轄案』
『ODA企画・実施それぞれ一元化―ODA改革で政府案の方向性明らかに』
『ODA改革は「二正面作戦」―外務省・財務省が抵抗』
『「国際開発庁」を設置すべきだ』
(参考記事1)
[「新JICAは外務所管」 ODA一元化で、外相]
麻生太郎外相は21日午前の会見で、政府開発援助(ODA)一元化の新実施機関となることが固まった国際協力機構(JICA)の所管について「外交一元化で、外務省ということになる」とし、財務省などと共管する案については「ありません」と明確に否定した。
ODAの円借款については現在、外務省主導で財務、経済産業省と共同で所管・運営する体制となっており、外務省内では共管に柔軟姿勢もあった。だが、外相が単独所管を明言したことで、今後財務省などの反発が強まりそうだ。
(共同通信) - 2月21日11時4分更新
(参考記事2)
[援助機関、JICAに一元化=国際協力銀は解体-政府がODA改革案]
政府は17日、国際協力銀行(JBIC)から円借款業務を分離し、技術協力を行っている国際協力機構(JICA)に統合することを柱とする政府開発援助(ODA)の改革案を固めた。外務省が所管する無償資金協力の実施部門も併せてJICAに統合、援助機関の一元化を実現する。ODA改革では、内閣官房に戦略立案を狙いとした新会議を設置することも決まっている。
政府は、政府系金融機関の統合や公務員純減を柱とした行政改革推進法案に、JBICの解体を盛り込んだ上で、3月に国会提出する予定。
(時事通信) - 2月17日21時1分更新
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やっぱり一度、内閣府に全部権限持って行って、人材も出向形式じゃなくて、ODA庁永久就職って感じにしないと。
でも裏合意に安倍さんも噛んでたっていうじゃないですか、自民党ではダメなんでしょうか。官僚ってそないに手強いのかな。。
国民の関心が全然向いてないからって、めちゃくちゃやっとんな~。ほんま腹立つ!結局何も変わらないだなって思います。悲しいですね。
民主党はそんな思いの受け皿にもなってくれないし。怒
とにかく腹立って。。グチってすみません。。笑
>官僚ってそないに手強いのかな。。
それもありますが、入り方が悪かったんでしょうね。やっぱり、戦略目標を掲げてそれに適合する組織を作るという流れじゃないと、効果的に説得できないような気がします。