日本が、竹島近海の海洋測量調査を行うと発表して、それをあっさりと引っ込めてしまったのは何とも拙劣な策であった。日本外務省の発表では「韓国が竹島周辺の海底地形の韓国名への変更を国際機関に提案しないことを条件に測量を中止する」ということだが、韓国側は「そんな約束はしていない。韓国名を提案することは可能だ」と主張している。このやりとりは、日韓のみの問題にとどまらず、日本との間で領土問題を抱えている国が、日本は領土問題に関してどういう態度をとるのか注視しているに決まっている。だから、どんなことがあっても測量を中止してはならなかったのだ。
以上の観点は、この問題を取り上げた前回の『海保、竹島周辺で戦後初の測量調査へ―あえて朝鮮日報の記事を読んでみる』で書いたつもりが、どうも書き忘れていたらしい。そうこうしているうちに、早速、中国の海洋局長が東シナ海における経済水域問題に関して「竹島問題に関する韓国の一切の代償と犠牲を惜しまない強硬姿勢は中国が手本とするに値する」「やむを得ない場合には、海上で日本を封じ込める能力と決意がある」と露骨に述べた。弱腰の対応が、ここまで効果てきめんだとは、正直言って予想以上であった。「寸土を失うことを黙過するものは全土をも失う」という言葉をかみしめるべきである。
挙句の果てに、日本の当初の発表とは正反対に、韓国が竹島周辺の日本の排他的経済水域を含む海域で海洋調査の実施を計画している始末である。こういうことならば、そもそも海洋調査を実施するなどと言わないほうがマシだったぐらいである。まさに、藪をつついて蛇を出すとはこういうことだとしか言いようがない。相手は日本の測量船が測量に行っても拿捕できないことは百も承知だった。すなわち、韓国が持っているカードは「はったり」だけだったのだが、それと測量の撤回を引き換えにするなど、どういう「深謀遠慮」があったのか知らないが、結果として、世界中に「日本は口先だけで丸め込むことができる」と改めて示してしまったことに他ならない。恥を忍んで、測量の中止を撤回すべきである。そうでもしない限り、日本は領土を守る意思があるのか、国際社会に疑念を持たれるというものである。とりわけ、竹島の領有権を主張していないに等しいと見られかねない。それは、もし国際司法裁判所への付託がかなった場合に、日本が竹島領有に関して持つ歴史的正当性を相殺するとまでは言わないにせよ、大いに減殺するおそれがある。
(参考記事1)
[東シナ海で「日本封じる決意」=韓国の強硬姿勢を手本に-中国海洋局長]
【北京29日時事】中国国家海洋局の孫志輝局長は28日、中国科学院で海洋戦略報告を行い、日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)問題に関する韓国の「一切の代償と犠牲を惜しまない強硬姿勢は中国が手本とするに値する」と評価した。その上で、東シナ海をめぐる日中摩擦に言及し、「やむを得ない場合には、海上で日本を封じ込める能力と決意がある」と強調した。29日の中国系香港紙・文匯報(電子版)が報じた。
(時事通信) - 4月29日15時1分更新
(参考記事2)
[韓国、竹島周辺で7月海洋調査…政府、説明求める方針]
韓国政府が7月に、竹島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)を含む日本海海域で、海洋調査の実施を計画していることが29日、分かった。
関係者によると、調査は韓国海洋調査院が実施するもので、7月3日から17日にかけて、竹島付近の海域で海流観測を計画している。潮流、塩分、流速などを観測する予定で、対象海域の一部には日本のEEZも含まれている。4月21、22の両日、ソウルで行われた谷内正太郎外務次官と韓国外交通商省の柳明桓(ユ・ミョンファン)第1次官との協議でも、この調査について取り上げられたという。
塩崎恭久外務副大臣が5月1、2の両日に訪韓し、潘基文(パン・ギムン)外交通商相らと会談する際や、5月中にも再開される日韓のEEZ境界画定交渉でも、日本側は調査について説明を求める方針だ。
(読売新聞) - 4月30日4時27分更新
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以上の観点は、この問題を取り上げた前回の『海保、竹島周辺で戦後初の測量調査へ―あえて朝鮮日報の記事を読んでみる』で書いたつもりが、どうも書き忘れていたらしい。そうこうしているうちに、早速、中国の海洋局長が東シナ海における経済水域問題に関して「竹島問題に関する韓国の一切の代償と犠牲を惜しまない強硬姿勢は中国が手本とするに値する」「やむを得ない場合には、海上で日本を封じ込める能力と決意がある」と露骨に述べた。弱腰の対応が、ここまで効果てきめんだとは、正直言って予想以上であった。「寸土を失うことを黙過するものは全土をも失う」という言葉をかみしめるべきである。
挙句の果てに、日本の当初の発表とは正反対に、韓国が竹島周辺の日本の排他的経済水域を含む海域で海洋調査の実施を計画している始末である。こういうことならば、そもそも海洋調査を実施するなどと言わないほうがマシだったぐらいである。まさに、藪をつついて蛇を出すとはこういうことだとしか言いようがない。相手は日本の測量船が測量に行っても拿捕できないことは百も承知だった。すなわち、韓国が持っているカードは「はったり」だけだったのだが、それと測量の撤回を引き換えにするなど、どういう「深謀遠慮」があったのか知らないが、結果として、世界中に「日本は口先だけで丸め込むことができる」と改めて示してしまったことに他ならない。恥を忍んで、測量の中止を撤回すべきである。そうでもしない限り、日本は領土を守る意思があるのか、国際社会に疑念を持たれるというものである。とりわけ、竹島の領有権を主張していないに等しいと見られかねない。それは、もし国際司法裁判所への付託がかなった場合に、日本が竹島領有に関して持つ歴史的正当性を相殺するとまでは言わないにせよ、大いに減殺するおそれがある。
(参考記事1)
[東シナ海で「日本封じる決意」=韓国の強硬姿勢を手本に-中国海洋局長]
【北京29日時事】中国国家海洋局の孫志輝局長は28日、中国科学院で海洋戦略報告を行い、日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)問題に関する韓国の「一切の代償と犠牲を惜しまない強硬姿勢は中国が手本とするに値する」と評価した。その上で、東シナ海をめぐる日中摩擦に言及し、「やむを得ない場合には、海上で日本を封じ込める能力と決意がある」と強調した。29日の中国系香港紙・文匯報(電子版)が報じた。
(時事通信) - 4月29日15時1分更新
(参考記事2)
[韓国、竹島周辺で7月海洋調査…政府、説明求める方針]
韓国政府が7月に、竹島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)を含む日本海海域で、海洋調査の実施を計画していることが29日、分かった。
関係者によると、調査は韓国海洋調査院が実施するもので、7月3日から17日にかけて、竹島付近の海域で海流観測を計画している。潮流、塩分、流速などを観測する予定で、対象海域の一部には日本のEEZも含まれている。4月21、22の両日、ソウルで行われた谷内正太郎外務次官と韓国外交通商省の柳明桓(ユ・ミョンファン)第1次官との協議でも、この調査について取り上げられたという。
塩崎恭久外務副大臣が5月1、2の両日に訪韓し、潘基文(パン・ギムン)外交通商相らと会談する際や、5月中にも再開される日韓のEEZ境界画定交渉でも、日本側は調査について説明を求める方針だ。
(読売新聞) - 4月30日4時27分更新
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中国国家海洋局の孫志輝局長の発言は、いかにも軍当局者らしい発言ですが、竹島の不法占拠という韓国の行為を称えたものです。それ以上の意味がある発言とは受け取れません。
中国は、これまでも中間水域を越えた国境を主張してきました。しかし、アメリカとの取り決めによって、その主張は今のところ引っ込めるという形になっているのではありませんか。
失敗ではなかったという印象操作がチラホラと見えますけど、実際は何十年も調査を放棄させられ続けています。
私は谷内さんが韓国へ行った頃、官邸に『譲歩するべきでない。韓国が約束を守るとは思えない。』とメールを書きました。
中国の出方を見れば、得たものより失ったものの方が大きかったのではないでしょうか。
外務省がうまくやったつもりで日本の国益を損なってきたのは明白だと思っています。
果たしてそうでしょうか。6月にドイツで開かれる予定の国際水路機関(IHO)で、韓国が海底の地形に韓国独自の名称を申請させないというのが当初の目的だったはず。それをみごとに達成したといえるのではないでしょうか。測量船とたった一人の外交官によって目的が達成できたのだから、首尾は上々といえると思います。
竹島における韓国の不法占拠は今に始まった事ではありません。その事実を知りながら、放置していた事は事実です。ですから、責められるとすれば、過去の弱腰外交であろうと思います。今回の結果は誉められこそすれ、非難には値しないと思いますがいかがでしょうか。