財務相の諮問機関である財政制度等審議会が、歳出・歳入一体改革の議論の前提となる一般会計の長期試算を公表した。これは、人件費改革、政府資産・債務改革、あるいは特別会計改革といったさまざまな改革の効果を反映した上で、我が国財政の中長期的な展望等にかかる試算を行ったものである。そして、その結果を踏まえて今後の検討の方向性及び歳出削減のみで財政収支の改善を図ることにした場合の仮定計算等をとりまとめている。
詳細は、財政制度等審議会が発表した資料を見ていただくとして、ごく大まかに言えば、歳出削減だけで(すなわち増税なしで)国の財政健全化を進めた場合財政再建に向け、国内総生産(GDP)に対する国債残高の比率を引き下げるには、2015年度に、国債の元利払いを除いた歳出の3割に相当する26.9兆円の削減が必要という試算が出されている。それを国民生活に与える影響として具体化すると、次のような結果になる。
○医療にかかる自己負担:2011年度に約2倍、2015年度に約2.5倍に引き上げ
(現行:平均約16%)
○介護にかかる自己負担:2011年度に約2.5倍、2015年度に約4倍に引き上げ
(現行:1割等)
○基礎年金支給開始年齢:2011年度に4歳程度、2015年度に約6歳程度引き上げ
(現行:65歳支給開始)
○児童の保育:2011年度に約20万人、2015年度に約36万人の取りやめ
(現行:2006年度予算において、民間保育所分として約111万人を措置)
○児童手当の支給対象年齢:2011年度に小学校4年生以下、2015年度に小学校3年生以下に引き下げ
(現行:2006年度より小学校6年生以下に拡充)
逆に、歳出削減をせずに増税だけで対応しようとすれば、消費税率を現在の5%から2015年度には22%まで引き上げる必要があるという計算結果が出ている。
もちろん、試算はさまざまな仮定に基づいて行われているものだから、絶対というわけではないが、大まかな目安になることは間違いない。現実的に考えれば、歳出削減も増税も共に不可欠であることが理解していただけると思う。安倍官房長官・中川政調会長による歳出削減重視路線と谷垣財務大臣・与謝野大臣による増税重視路線の違いも、せいぜいニュアンスの違いといったところになろう。ただし、歳出削減を明確に掲げる方が国民に対して「示しがつく」という側面は大きいと思う。まずは政府の無駄遣いから手を付けるというのは、政治的配慮として適切なことである。もっとも歳出削減といった場合、政府の無駄遣いを減らすのは当然のこととして、それだけではなく、上に述べたとおり社会保障の給付削減といった国民が負うべき痛みもあることを心にとめておいていただきたいと思う。社会保障の給付減と消費税率アップのどちらに重点をおいた財政再建が望ましいのか、国民的議論が必要である。
(参考資料)
『財政制度等審議会財政制度分科会 歳出合理化部会・財政構造改革部会合同部会資料』
(参考記事1)
[歳出削減、26.9兆円必要=増税抜きの財政再建で-財政審試算]
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は27日、歳出削減だけで国の財政健全化を進めた場合の長期試算をまとめた。財政再建に向け、国内総生産(GDP)に対する国債残高の比率を引き下げるには、2015年度に、国債の元利払いを除いた歳出の3割に相当する26.9兆円の削減が必要と指摘した。
しかし、歳出カットを一律実施した場合、医療費の自己負担は現在の2.5倍に膨らみ、基礎年金の支給開始年齢は71歳(現行65歳)に遅れる。歳出削減だけで財政健全化を図るのは現実味を欠き、消費税を含めた大型増税の必要性を強調する試算といえる。
谷垣禎一財務相は29日の経済財政諮問会議に内容を報告。政府が6月に策定する歳出・歳入一体改革案の検討材料とする。
(時事通信) - 3月27日13時1分更新
(参考記事2)
[15年度に消費税率22% 財政審、長期試算を発表]
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は27日、歳出・歳入一体改革の議論の前提となる一般会計の長期試算を公表した。
社会保障費などの歳出を削減せず、増税だけで財政を健全化するには、消費税率を現在の5%から2015年度には22%まで引き上げる必要があると指摘。逆に、増税せず歳出削減だけで財政再建を目指す場合は、15年度には26兆9000億円の歳出カットが必要と試算している。
財政審は「歳入・歳出両面から改革を行う必要がある」と強調。「大幅な歳出削減を行うことは国民生活や国家の機能に大きな影響を及ぼす」として、消費税率の引き上げを含む増税が欠かせないとの考えを示した。
(共同通信) - 3月27日12時46分更新
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詳細は、財政制度等審議会が発表した資料を見ていただくとして、ごく大まかに言えば、歳出削減だけで(すなわち増税なしで)国の財政健全化を進めた場合財政再建に向け、国内総生産(GDP)に対する国債残高の比率を引き下げるには、2015年度に、国債の元利払いを除いた歳出の3割に相当する26.9兆円の削減が必要という試算が出されている。それを国民生活に与える影響として具体化すると、次のような結果になる。
○医療にかかる自己負担:2011年度に約2倍、2015年度に約2.5倍に引き上げ
(現行:平均約16%)
○介護にかかる自己負担:2011年度に約2.5倍、2015年度に約4倍に引き上げ
(現行:1割等)
○基礎年金支給開始年齢:2011年度に4歳程度、2015年度に約6歳程度引き上げ
(現行:65歳支給開始)
○児童の保育:2011年度に約20万人、2015年度に約36万人の取りやめ
(現行:2006年度予算において、民間保育所分として約111万人を措置)
○児童手当の支給対象年齢:2011年度に小学校4年生以下、2015年度に小学校3年生以下に引き下げ
(現行:2006年度より小学校6年生以下に拡充)
逆に、歳出削減をせずに増税だけで対応しようとすれば、消費税率を現在の5%から2015年度には22%まで引き上げる必要があるという計算結果が出ている。
もちろん、試算はさまざまな仮定に基づいて行われているものだから、絶対というわけではないが、大まかな目安になることは間違いない。現実的に考えれば、歳出削減も増税も共に不可欠であることが理解していただけると思う。安倍官房長官・中川政調会長による歳出削減重視路線と谷垣財務大臣・与謝野大臣による増税重視路線の違いも、せいぜいニュアンスの違いといったところになろう。ただし、歳出削減を明確に掲げる方が国民に対して「示しがつく」という側面は大きいと思う。まずは政府の無駄遣いから手を付けるというのは、政治的配慮として適切なことである。もっとも歳出削減といった場合、政府の無駄遣いを減らすのは当然のこととして、それだけではなく、上に述べたとおり社会保障の給付削減といった国民が負うべき痛みもあることを心にとめておいていただきたいと思う。社会保障の給付減と消費税率アップのどちらに重点をおいた財政再建が望ましいのか、国民的議論が必要である。
(参考資料)
『財政制度等審議会財政制度分科会 歳出合理化部会・財政構造改革部会合同部会資料』
(参考記事1)
[歳出削減、26.9兆円必要=増税抜きの財政再建で-財政審試算]
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は27日、歳出削減だけで国の財政健全化を進めた場合の長期試算をまとめた。財政再建に向け、国内総生産(GDP)に対する国債残高の比率を引き下げるには、2015年度に、国債の元利払いを除いた歳出の3割に相当する26.9兆円の削減が必要と指摘した。
しかし、歳出カットを一律実施した場合、医療費の自己負担は現在の2.5倍に膨らみ、基礎年金の支給開始年齢は71歳(現行65歳)に遅れる。歳出削減だけで財政健全化を図るのは現実味を欠き、消費税を含めた大型増税の必要性を強調する試算といえる。
谷垣禎一財務相は29日の経済財政諮問会議に内容を報告。政府が6月に策定する歳出・歳入一体改革案の検討材料とする。
(時事通信) - 3月27日13時1分更新
(参考記事2)
[15年度に消費税率22% 財政審、長期試算を発表]
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は27日、歳出・歳入一体改革の議論の前提となる一般会計の長期試算を公表した。
社会保障費などの歳出を削減せず、増税だけで財政を健全化するには、消費税率を現在の5%から2015年度には22%まで引き上げる必要があると指摘。逆に、増税せず歳出削減だけで財政再建を目指す場合は、15年度には26兆9000億円の歳出カットが必要と試算している。
財政審は「歳入・歳出両面から改革を行う必要がある」と強調。「大幅な歳出削減を行うことは国民生活や国家の機能に大きな影響を及ぼす」として、消費税率の引き上げを含む増税が欠かせないとの考えを示した。
(共同通信) - 3月27日12時46分更新
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これは、実際その方向ですね。29日に行われた経済財政諮問会議で「歳出・歳入一体改革の中間とりまとめ」の素案が提示されたのですが、その中に「新たな国民負担による財源は国民にそのまま還元する」と明記してあって、回りくどい表現ですけど、消費税を福祉目的税化するということを示唆しています。議論の余地なく既定路線というべきか…。