猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

子育て支援税制議論、政府・与党少子化協議会が初会合―N分N乗方式・税額控除方式などを検討

2006-03-29 01:40:21 | 財政・税制
 少子化対策の一環として税制を有効活用できることは、3月7日に『所得税、N分N乗方式導入のすすめ―少子化対策の一環として』という記事を書いて、所得を世帯の人数で頭割りして税額を算出することにより、大家族ほど税額が抑えられる「N分N乗方式」という制度について紹介した。
 23日に初会合が開かれた政府与党の少子化対策に関する協議会では、N分N乗方式や、子供の人数に応じて一定額を差し引く「税額控除方式」などが検討される見通しである。
 現在の控除の方式は、扶養家族の人数に応じて課税対象となる所得を減額する、所得控除方式をとっている。これだと、累進課税の結果、収入が大きいほど減税効果が大きいことになり、少子化対策として不十分なのではないかと考えられる。これに対して、税額控除方式は、納めるべき税金から子供1人当たり一定の額を差し引くものであり、”負の人頭税”とでもいうべきものである。税額控除方式の利点は、所得が少ないほど減税効果が大きい点だが、課税最低限を下回っている低所得者には恩恵が全くない。N分N乗方式の欠点は家族の構成人数が増えるほど効果が頭打ちになる点である。
 理念の問題として考えると、税額控除方式は少子化対策としての性格が明らかになる反面、所得再配分の思想が強すぎる気がする。N分N乗方式は課税単位を個人から家族に変更するということで、家族重視(といっても家族の多様な在り方を否定するものでもない)の思想が見て取れる。私には、今のところ、N分N乗方式が理念としてもバランスの面でも好ましく思われる。



(参考過去ログ)
『所得税、N分N乗方式導入のすすめ―少子化対策の一環として』
『N分N乗方式の少し正確な概算(訂正版)』


(参考記事)
[子育て支援税制議論、政府・与党少子化協議会が初会合]
 政府・与党は23日午前、首相官邸で、少子化対策に関する協議会の初会合を開いた。
 政府は6月をめどに総合的な少子化対策を取りまとめ、2007年度からの実施を目指している。
 初会合では、政府・与党双方から、子だくさんの大家族が優遇される税制の必要性が指摘され、今後、具体策を検討していくことになった。
 所得を世帯の人数で頭割りして税額を計算することで、大家族ほど税額が抑えられる「N分N乗方式」や、本来納めるべき税額から子供の人数に応じて一定額を差し引く「税額控除方式」などが検討される見通しだ。現行の、子供の人数に応じて課税対象となる所得を控除する「所得控除方式」に比べ、より効果的な子育て支援策になるのではないかと期待されている。
 このほか、仕事と子育てが両立できる職場環境の整備、出産費無料化などについて、検討を進める。
 協議会には猪口少子化相や安倍官房長官、川崎厚生労働相ら9閣僚のほか、自民、公明両党の幹事長、政調会長らが出席した。
 出席者からは、「従業員301人以上の企業に義務付けられている育児と仕事両立のための行動計画の公表を義務化すべきだ」(坂口力・元厚労相)、「地方からは出産費無料化を求める声が多い」(猪口少子化相)などの意見が出された。
 会合後、猪口少子化相は記者団に対して、「即効薬、万能薬はないが、知恵を出し合えば対応できるのではないかとの意気込みが感じられた」と強調した。
(読売新聞) - 3月23日11時59分更新


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