goo blog サービス終了のお知らせ 

法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

「営業のやるべきことが分かる」- 第五段階「提案書提出・競合分析・受注条件整備」(その1)

2018-05-13 21:50:12 | マーケティングと理詰めの営業
顧客はサプライヤーを2~3社に絞り込み、仕様等を公開し、見積依頼(RFQ:Request For Quotation)や提案の依頼(RFP:Request For Proposal)をします。会社(役所)の規則で一定金額以上の案件は、3社見積もり必須というところが多いかと思います。

RFQ、RFPの説明会を行う場合もあります。私の経験では、各サプライヤーが個別に呼ばれ説明を受け、質疑応答を行う形式がほとんどでした。

米国大使館の入札の場合は、ホームページ上で入札説明会の案内が行われ、申し込んだサプライヤーを一堂に集めた説明会・現場調査が実施されました。質疑応答は行わず、質問は決められた日時までにメールで提出。回答はすべてのサプライヤーからの質問を整理してホームページに掲載されます。前回の入札価格について質問しても回答してくれませんが、前回の落札時に落札者名とともにホームページに掲載されているので、調べれば出てきます(データベースが大きすぎて私は調べきれませんでした)。

営業はRFQ、RFPの内容を精査し、提出書類の種類と内容、提出期限、サプライヤー選定基準などを確認します。一般的に提出書類には会社の財務諸表、会社の組織、対応チームのスキル・資格、品質管理体制など多岐に亘るため、社内の関係者を集めて説明会を行い、手分けして進めることが肝要です。

また、阻害要因がないか確認します。例えば、自社の製品では実現できない機能はないかチェックします。逆に言うと、第三段階までにインサプライヤーとして活動してきた営業は、他社にない機能などを仕様書に盛り込むように顧客を誘導し、自社の優位性を確立します。

実際に資料を作成し始めると、不明な点がでてきます。改めて質問できる場合もありますが、追加質問を許さない場合もあります。実際、現場調査を一回行っただけでは十分な情報は、得られません。このため現行のサプライヤーがいる場合は、彼らが有利になります。特に、顧客が現状のサプライヤーを気に入っているが、会社(役所)の規則でRFPを実施しなえればならない場合は、他のサプライヤーが落札するのは困難です。

以前、大阪のある役所の設備管理の業務を新規受注したことがありました。当該役所と長期間契約していたサプライヤーを価格差でひっくり返した例です。選ばざるを得ないくらいに価格差のあった例で、役所の担当者からは、「おたくが安すぎる値段を出したからこんなことになった。」といまだに文句を言われています。

また、現在、私は見積もりをお願いする立場にありますが、本当に真剣にサプライヤーを一から選びたい場合は別として、会社の仕組み上の理由で3社見積もりをする場合は、「それとなく」その旨、知らせてサプライヤーが無駄な労力を使わないように調整します。

また、「5段階、価格交渉をする。最後は社長が交渉」「50%以上値下げさせる」などのルールがある顧客もあるので予め聞き出しておきましょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「営業のやるべきことが分かる」- 第四段階「選定基準の明確化・競合分析」(更新)

2018-05-13 21:25:21 | マーケティングと理詰めの営業
第一段階から第三段階までは、顧客が検討を重ね、購買の意思決定を行うプロセスで、営業がもっとも顧客に貢献できるプロセスです。

一方、第四段階以降は、購買を実現させるプロセスで、顧客対サプライヤーに分かれて交渉する段階です。

顧客は外部に対して購買の意思を明らかにし、公に調達先候補と接触し、RFPを発行して、提案書、見積書を要求します。

そして、提出された資料を比較・分析して調達先を選定します。

第四段階以降は公式購買プロセスです。

反対に、第三段階までは非公式購買プロセスです。しかし、今まで説明してきたようにこの非公式購買プロセスこそが重要です。

それでは、第四段階以降を見ていきましょう。

この段階から顧客は、正式な購買手続きに従って購買活動を進めます。

具体的には、問題、課題を解決できる可能性のある製品やサービスを提供できる複数のサプライヤーと連絡を取り、問題あるいは課題、検討しているソリューションを開示します。

営業は自社の技術者とともに開示された内容を検討・理解します。

理解できない場合は、顧客と打ち合わせを行い、問題・課題を十分に理解します。

顧客が検討しているソリューションに関しても、適宜、提案を行います。

一方で、営業は、サプライヤーの選定基準が何なのかを調査します。

デモ結果、サービスサポート体制、納入実績、価格等、どのような選定基準があり、どのような比重を置くのかを調べます。

これが、定まっていない場合は、どんなにデモで良い結果を出しても失注する可能性があります。

例えば、顧客に意中のサプライヤーがある場合は、そのサプライヤーを選定するためにデモ結果ではなく納入実績に重きを置いた選定基準を設定するからです。

選定基準については顧客のコミットメントを取っておくほうがよいでしょう(なかなか日本企業相手には難しいですが)。

そして、競合他社がどこなのか推定し、競合他社の製品やサービス、強み・弱み等を調査します。

あなたの会社がこのRFPの説明会で初めて呼ばれたのなら、少なくともすでに1社はもっと早い段階から顧客と話会って、懐深く入っています。

それがどの会社か分かった上で、その会社と顧客の人間関係、評判をまず調べましょう。

この案件に関して、その会社以上に、強い人間関係をあなたが持っているか、気づくことができるかそこが一つのポイントになります。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「営業がやるべきことが分かる」 - その営業を勉強する方法は?(その2)

2018-04-30 23:11:37 | マーケティングと理詰めの営業
大前研一が営業プロフェッショナルを志す人のために書いたという本も読みました。

書籍名:大前研一と考える営業学 営業こそプロフェッショナルを目指せ
出版社:ダイヤモンド社
著者:大前研一(㈱ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長)、ほか

大前研一が営業をどう料理するのか、かなり期待して読みましたが、期待外れでした。

大前研一をしても営業を科学するのは難しいということでしょうか。

確かに、本のタイトルも「大前研一の・・・・」ではなく、「大前研一と考える・・・・」と、いつもより一歩引いたタイトルです。

章立ては以下の通り。

第一章 営業のプロフェッショナル化
第二章 問題解決型営業のすすめ
第三章 営業のマーケティングマインド
第四章 営業のセルフ・マネジメント力
第五章 営業チーム力の向上

どの章も重要な内容であるが、今までの大前研一の本には必ずあった、斬新さ、「目からうろこ」といったところが、残念ながらありませんでした。

具体的なソリューションとしては、アビームコンサルティングの「ロジカル・セリング」が、一歩あるいはそれ以上進んでいると思いました。

結局、マーケティングの考え方を参考にしつつ成績優秀な営業を研究することにしました。良い顧客を担当しているから営業成績が良いのか、良い営業だから重要な顧客をまかされているのか、見極めながら、様々な業種の営業や経営者の方々と話をさせていただきました。

その結果、見えてきたのは優秀な営業は、案件の匂いをいち早く嗅ぎ付け、蓄積した顧客情報等を元に受注までの営業ステップを即座に、かつ、関連する顧客の顔も含めて具体的に頭に描きます。そして目的達成のための戦略・戦術を練ります。営業ステップは、営業個人には依存せず、業界、業種、製品、サービス等に応じたものとして存在します。この営業ステップと推進方法を共有化することは可能です。

トップセールスは、案件ごとに常に最新の情報を収集・分析し、戦略を立て、能動的に会議を設定し、営業ステップを受注へと一歩一歩確実に前進させていきます。このトップセールスの頭の中にあるセールス方法を整理・可視化し、体系化しようと考えました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「営業がやるべきことが分かる」-営業の基本としての人間関係作り

2018-04-15 21:33:13 | マーケティングと理詰めの営業
営業の場合、ゼロから人間関係を作らねばならないことが多々あります。誰かに紹介してもらう場合は、あらかじめどのような人か人物像、評判を確認することができます。そうでな場合は、ゼロから手探り状態で「相手を知る」「こちらを知っていただく」ことを行っていく必要があります。

いきなり本題に入るのではなく、最初は差し障りのない時候の挨拶から入って、誰でも耳に入れているような業界の話題、ゴルフなどのスポーツの話題、政治以外のテレビニュース、酒や食べ物の話などから相手の反応を見ながら入ります。相手が話しやすいリラックスした雰囲気を作ることが重要です。

例えば、相手が日焼けをしたスポーツマンタイプであったら、「何かスポーツをおやりですか」と尋ねても良いでしょう。「いやぁ、毎週末、家庭菜園をしていまして」となったら、「どんな野菜を作られているのですか」「どのような手入れをされていますか」など二三質問してみましょう。それと自分のことも伝えると相手の記憶に残ることができます。例えば、「私は家庭菜園というほどのことはやっていませんが、ベランダで昨年、ゴーヤを植えて結構収穫しました」など実体験に基づいた話をすることはできます。

とは言え、仕事中なので無駄話ばかりをする訳にはいきません。話題に対する相手の反応を見つつ、仕事が好きな人間か、相手はどういう立場かなどを確認しながら、タイミングを見て(空気を読んで)、本題に入っていきます。アポを取るときに、「何々をご紹介したい」などと目的を事前にお伝えしておけば本題に入りやすいでしょう。

事前に相手から聞き出したい情報を整理し、それを引き出すための質問を用意しておきましょう。例えば売ろうとしている製品の導入目的となる相手の製品の技術的な課題などがあれば、「業界では・・・のような課題はありますがどう思いますか」などと質問してみましょう。想定している課題があるか、課題はあるが気づいていないだけか、あるいは課題そのものがないか(的外れ)、探り出しましょう。

また、相手の話の中に、別の潜在的な課題が眠っている可能性がありますので、相手にしゃべらせながら、察知することが重要です。

相手が興味をもったら更に具体的で詳細な話をさせて欲しい旨を伝えて、次のアポを取りましょう。営業が技術的なことまですべてカバーできるのが理想ですが、昨今の複雑な技術の説明にはエンジニアのサポートが必要です。チームで対応することをお勧めします。チームとして、会社としての対応ができるよう、営業は会社の組織を動かさねばなりません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「営業がやるべきことが分かる」-第三段階「説得材料の提供と不安の除去」

2018-04-08 20:32:25 | マーケティングと理詰めの営業
営業活動の第三段階では、顧客は「より具体的に」問題や課題の解決に必要な製品・サービスを製品名・仕様・価格等のように具体的に記述します。

そして、社内での説明、購入計画(年間予算申請等)へのインプットを行います。

ここでの営業の役割の一つは、顧客の「この段階でのキーパーソン」が、社内を説得できる材料を提供することです。

「この段階でのキーパーソン」とカッコ書きにしたのは、この人が第二段階で調べた意思決定者とは限らないからです。

キーパーソンは、案件が進む段階によって異なりのが普通です。

営業は、また、顧客が感じているリスクを和らげ、提案しているソリューションに対する顧客の確信を深めさせることが大切です。

「この会社の(営業の)ソリューションなら大丈夫だ。サポートも安心」などと顧客に確信させることです。

逆に言えば、営業は顧客が感じているリスクや不安を察知し、それらを取り除くためのデータや情報の提供、説得を行います。



これまで説明してきた第一段階から第三段階までが、顧客が検討を重ねて態度決定を行うプロセスです。

さて、皆さんの抱えている案件の状況はいかがですか。

「まだ、入札の案内が来ていない(見積もり依頼が来ていない)のでやりようがない」ですか?

もう営業は、始まっています!!いや、見ようによっては営業活動の終盤では!?


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする