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法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

マーケティング3.0とコンプレックスセールス

2019-09-29 17:43:45 | マーケティングと理詰めの営業
マーケティングの大家、フィリップ・コトラーは、『マーケティング3.0』の中で、

・マーケティング1.0:製品中心のマーケティング
・マーケティング2.0:顧客中心のマーケティング
・マーケティング3.0:人間中心のマーケティング

という大きな流れを示しました。

これらに対応する営業を考えてみました。

マーケティング1.0「製品中心のマーケティング」は、日本の場合、高度成長期から半導体や自動車などのモノづくりで世界市場を席巻した1980年代までのマーケティングです。

これに対応する日本の営業は、営業1.0「根性・気力・気合の営業」でしょう。「日本の営業」としたのは、海外の営業はもう少し洗練されていて、日本ほど体育会系ではないからです。この体育会系営業で、日本を経済大国に押し上げました。

そしてバブル崩壊。

マーケティング2.0「顧客中心のマーケティング」は、バブル崩壊後の成熟市場でのマーケティングです。顧客が何を欲しているか分からない、顧客自身も何を欲しているか分からない、そんな時代のマーケティングでした。CRM(Customer Relationship Management)など顧客情報の活用が盛んに叫ばれました。この時代の営業を、営業2.0「顧客情報活用営業」あるいは顧客のニーズに基づく「提案営業」または「ソリューション営業」と呼びます。

マーケティング3.0「人間中心のマーケティング」は、どうでしょうか。マーケティング3.0は、顧客を単なる購買者としてではなく、マインドとハートと精神(スピリット)を備えた全人的な存在として捉えるべきだと主張しています。顧客をマスあるいはセグメントで括るのではなく、個人個人のニーズをとらえるべくマーケティングするのが3.0です。実際、インターネットを活用し、個人個人をターゲットにしたマーケティングツールは整えられつつあります。例えば、アマゾンのお勧め機能などは、個人を対象にしたマーケティングの成功例といえます。

コンプレックスセールスのBtoBの営業を考えた場合、案件の関係者、個々人の心理面にフォーカスすることが、「人間中心のマーケティング」に通じると考えます。問題・課題が複雑化するにつれて、意思決定に関わる人が増えるため、営業は参加者個々の求めているものを理解し、参加者間の利害調整を行う必要があります。

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「営業がやるべきことがわかる」 - 第七段階:納品の推進と検収の調整

2018-06-17 18:40:12 | マーケティングと理詰めの営業

第六段階で一つのサプライヤーが選択されます。競争を勝ち抜き受注が確定した段階です。営業としてはほっとする瞬間です。ここからは仕上げの段階です。

『購買行動と営業活動』には、さらに、もう二つのステップがあります。一つは「納品の推進と検収の調整」で、もう一つが「納入後の成果のフィードバック」です。

第七段階で、サプライヤーは顧客から注文書を受け取りますが、その前に検収条件を整理しておく必要があります。

納入までの間、あるいは、納入後のテストで追加の問題が発生する場合があり、それに応えるために検収が延び延びになり、売り上げがたたなくなるなどの問題が発生する場合があります。追加の問題が発生した場合、それがもとの注文書の範囲内で処理すべきか、あるいは追加の仕様として別途処理されるべきかが判定できるように仕様書、検収条件などを書面として整備しておきましょう。

営業は顧客との板挟みになりますが、きちっと線引きをして問題を解決し、かつ、顧客との関係も損なわれないようにする、それが営業です。「そうは言っても」と言っているうちは二軍の営業です。

さて、サプライヤーは、顧客から注文書を受け取った後(あるいは内示後)、顧客と共同で、納入に関する諸手続きの設定と手続きに関する取り決めを行います。

納期や立上げのスケジュールの確定、納入のための搬入経路の確保、立上げのためのスペースの確保、試験用材料・工具の用意、電気・ガス等の手配もこの準備の一部です。営業は、自社のサービス技術と打合せを行い、納入・立上げのプランを行います。

また、営業は、開発が必要な製品・サービスについては、納入までの進捗管理、顧客への進捗の報告を行います。

そして、実際に製品・サービスを納入し、立ち上げて試験を行い、収集したデータをもとに検収会議を開催し、検収をいただきます。

「営業はきちっと線引きをして問題を解決し、かつ、顧客との関係も損なわれないようにする」と前述しましたが、実際には営業は根回しをして、滞りなく検収会議が行われるようにします。

そして、そのまま顧客と飲み会というのが私のパターンでした。

顧客のキーパーソンやエンジニアだけでなく、自社のエンジニアにも参加してもらい、今後のエンジニア同士の協力関係の構築にも心がけましょう。

そして、第八段階として「納入後の成果のフィードバック」がありますが、ここでは省略します。

繰り返しになりますが、営業活動は『顧客の購買意思決定を支援・誘導して顧客の購買による問題解決を支援すること』です。各購買段階での顧客支援と誘導を戦略的に行い、購買(営業)の段階を進めるツールが「理詰めの営業」です。
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「営業のやるべきことが分かる」 - 第六段階:交渉と譲歩、交渉条件の整理、社内コンセンサスの取付け

2018-06-01 03:03:26 | マーケティングと理詰めの営業
顧客はサプライヤーが提出した見積書や提案書を比較検討します。また、サプライヤーと面談し、機能、価格、納期等の具体的な条件の折衝を行います。そして、最終的に1社に内定通知を出します。

営業は提案書提出後の交渉に臨む準備として、価格、納期、導入後のサポートなど交渉のポイントを整理し、どこまで妥協できるか、その場で回答するかどうかなど、社内の関係者と打ち合わせをして決めておくことが重要です。

失敗例として、

案件を絶対に取りたいが故に価格交渉時に大幅な値下げを購買に約束。帰社後、社内の同意、承認が得られず頓挫。「下げなきゃとれねーんだよ」「客の言うことが聴けないのか。」と上司や関係部署の面々を恫喝。結局、この案件から外され、上司がお詫びに。

営業は案件を取りたいがために前のめりになりがちです。また、案件を落とせないプレッシャーもあります。営業が単独で決断、回答するのではなく、チームで決めて回答する仕組みにしましょう。

競合の出方も重要なポイントです。価格をあまり下げずにオプションをただで提供したり、導入後のサポートを厚くしたりする会社もあるでしょう。例えば、「導入後、半年、エンジニアを最低1名常駐」などです。

顧客側の状況も日々、変化しており、RFPに記載されている納期が、顧客側の事情により遅れることもあります。そのような状況をつかんでおけば、納期は楽にコミットできる、場合によっては早めるとホラをふくこともできます。

もう一度、選定基準に立ち返り、交渉のポイントを整理し、社内のコンセンサスを取り、交渉に臨む役者を整えましょう。即答が必要な場合は、営業だけでなく開発エンジニア、サポートエンジニアの責任者に同行してもらったほうが良いでしょう。

ただ、単なる当て馬であると分かっていてほぼ絶対に受注できない場合は、最終提案として超ローボールを投げるのも手です。顧客の当該案件担当者は、「何故こんなに安いA社から買わないでB社にするのか」を説明せねばならなくなり、本命のサプライヤーB社に対しても価格低減を求めることになります。これにより本命サプライヤーB社の財務体質を弱らせることができます。そこまで考えるのが営業です。
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「営業のやるべきことが分かる」- 第五段階「提案書提出・競合分析・受注条件整備」(その3)

2018-05-29 22:25:24 | マーケティングと理詰めの営業
営業は注文を取りたいがために前のめりになりがちです。

例えば、

「今、社内で検討中のソリューションでお客様の問題は、確実に解決できる」と営業が客先での会議でコミット。その場にいたエンジニアと帰社後、口論。「まだ、検討中なのにあれはないでしょ」「解決できないのなら打ち合わせの時に反論すればよかったのに」とエンジニアに言い、口論はエスカレート。受注はできたが、その後のエンジニアのサポートが悪く、顧客からの評価は最悪に。

顧客の問題・課題を解決できなければ、訴訟問題にも発展しかねません。顧客の問題・課題を真摯に分析し、そのソリューションを検討します。現在の製品、サービスで「できること」、「できないこと」を明確にしましょう。

「できないこと」を「できること」に変える方法も考えます。例えば、現時点では「できないこと」でも、適切な費用と納期をいただければ開発可能な場合もあります。

現在あるソリューションであれば、費用はいくらで、何か月で納入可能、新たな開発が必要な場合は、さらに費用と開発期間がこれだけかかる等をできる限り正確に見積もります。

また、「できないこと」も他社との協業により、可能になる場合があります。

私が手掛けたビル管理業の場合は、「他社の組み合わせ」を基本とするソリューションでした。自社では顧客とのインターフェース、まとめ役、簡単な日常業務だけを行い、実際の業務、特に専門的で技術的な業務はすべて他社に任せます。例えば、無停電電源装置の点検は東芝、空調機器の点検はダイキン、消防設備点検は能美防災といった具合です。このような場合は、各社へ仕様書を出して見積りを取り、受注できた場合は協業していただくことについてコミットしてもらいます。

これらが受注条件の整備です。営業だけで決めるのではなく、社内の関連各部門あるいは協力会社のコンセンサスを取り付けることが肝要です。
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「営業のやるべきことが分かる」- 第五段階「提案書提出・競合分析・受注条件整備」(その2)

2018-05-20 22:57:08 | マーケティングと理詰めの営業
競合他社を調査し、対抗策を練ります。

以前も書いたように、この案件に関して、あなたがこのRFPの説明会に初めて呼ばれたのなら、少なくともすでに1社はもっと早い段階から顧客と話会って、懐深く入っています。

それを分かった上で競合他社の仕様やデモの状況、顧客との人間関係、顧客での評判、他の顧客での評判、価格戦略、技術サポート体制、経営状況などを入念に調査し、戦略を練ります。

特に選定基準となるところは、冷静に分析し、提案書の中で自社の強みをどう伝えるか、自社が劣っている点をどう説明するか知恵を出し合いましょう。

また、真剣に取り組まないことも選択肢の一つです。例えば、以下の私の経験例。

大手企業のS社の事業部長A氏は「天皇」と呼ばれる人で、100%の決定権を持っており、かつ、現行サプライヤーはこの人が選んだとのこと。
しかも、「天皇」は、サプライヤーの変更を望んでいないらしい。

私はこの案件は、あきらめました。RFPを受け取ってから提出までの短時間で人間関係を構築するのは無理だからです。そもそも、この段階で初めて呼ばれたことが私の会社の現状を如実にあらわされています。

今後を考え、失礼のない提案書を提出し、次の案件を目指し、戦略を始めました。

特にS社内の組織、人間関係、事業部としての問題・課題・戦略、意思決定方法(本当に天皇が決めているのか)など、基本的なところから始めました。後述する「理詰めの営業」の初歩です。


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