粉飾決算「昭和の時代から」 バイオの林原、更生法申請 2011年2月3日 朝日
甘味料の天然糖質トレハロースの開発や抗がん剤インターフェロンの量産で知られる岡山市のバイオ企業、林原(はやしばら)とグループ2社が2日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。引責辞任した林原健・前社長(69)が「最も重要な透明化ということを忘れて、事実と異なる極めて不適切な会計処理を行った。昭和の時代から続けてきたこと」と粉飾決算を認めており、今後刑事事件に発展する可能性もある。
林原は私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)による再建を目指していたが、急きょ法的整理に転換した。2日に東京で開いた債権者の金融機関向けの説明会でADRについて理解を求めたが、一部の金融機関が強く反発、私的整理が断念に追い込まれたためだ。負債総額は約1300億円。
更生法申請代理人の森倫洋弁護士によると、粉飾は1984年以降続いており、売上金や売掛金の水増しなどは288億円に上るという。
昨年11月、資金繰りに窮した林原が主要取引先の金融機関に不正経理の実態を報告。メーンバンクで、林原が大株主でもある中国銀行(本店・岡山市)などがADRでの再生を検討していた。しかし、中国銀などが他の金融機関に先駆けて林原から担保を取るなどしていたため、金融機関の間で足並みが乱れたとみられる。
今回、林原が債権者集会で粉飾を認めたことで刑事事件に発展する可能性もあるほか、メーンバンクを中心に、銀行側も過剰な貸し付け行為がなかったかなど問題が広がることも予想される。
先月の25日に私的整理手法の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを申請していたバイオ企業の林原ですが、結局会社更生法を申請しました。
林原の場合、本業とは全く関係のない美術館や自然科学博物館といったメセナ事業や不動産の運用事業、そして京都センチュリーホテルというビジネスホテルまで抱えていて、しかも取引金融機関が30社に及ぶ中、昭和の時代から事実と異なる極めて不適切な会計処理(粉飾決算)を続けてきた(少なくとも二十数年間は金融機関をだまし続けてきた計算になります)ことに加えて、ここにきてメインバンクの中国銀行が他の金融機関に先駆けて林原から担保を取るなどしていたことも判明…。
これでは、やはり取引の浅い金融機関だって反発するでしょうし、全金融機関の同意が不可欠な事業再英ADRの申請は限りなく困難で無謀ということは既にわかっていたことではないかと思います。
厳しい言い方にはなりますが、『粉飾決算の事実が新聞報道にリークされた段階で状況は厳しい』でしょうし、もし私がスポンサー候補の立場になるならば、やはり債権債務をリセットする法的整理の段階を経て、債権債務をリセットしてからそれでも採算が合うかどうかをシビアに計算することになると思いますが、会社の言っていることが信じることができないことに加えて、非本業の売却など抜本的な対応策を打ち出すこともできなかった時点で、法的整理への道は避けられなかったのではないでしょうか…。
粉飾決算が発覚して民事再生法を申請した富山県の生産技術のケースでも、営業譲渡まで10カ月近くかかっていますが、今回は本業と関係が全くない事業も多く抱えている(メセナ事業は廃止か地元自治体や地元企業に売却でいいとしても、遠く離れた京都センチュリーホテルは売却先を探すことさえ苦労することになるでしょう)だけに、交渉にはより多くの時間もかかる可能性だってありますし、仮に再生ができたとしても、その間に貴重な人材が多数逃げだし企業の競争力が大きく落ちることにならないかが何よりも気がかりです。
甘味料の天然糖質トレハロースの開発や抗がん剤インターフェロンの量産で知られる岡山市のバイオ企業、林原(はやしばら)とグループ2社が2日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。引責辞任した林原健・前社長(69)が「最も重要な透明化ということを忘れて、事実と異なる極めて不適切な会計処理を行った。昭和の時代から続けてきたこと」と粉飾決算を認めており、今後刑事事件に発展する可能性もある。
林原は私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)による再建を目指していたが、急きょ法的整理に転換した。2日に東京で開いた債権者の金融機関向けの説明会でADRについて理解を求めたが、一部の金融機関が強く反発、私的整理が断念に追い込まれたためだ。負債総額は約1300億円。
更生法申請代理人の森倫洋弁護士によると、粉飾は1984年以降続いており、売上金や売掛金の水増しなどは288億円に上るという。
昨年11月、資金繰りに窮した林原が主要取引先の金融機関に不正経理の実態を報告。メーンバンクで、林原が大株主でもある中国銀行(本店・岡山市)などがADRでの再生を検討していた。しかし、中国銀などが他の金融機関に先駆けて林原から担保を取るなどしていたため、金融機関の間で足並みが乱れたとみられる。
今回、林原が債権者集会で粉飾を認めたことで刑事事件に発展する可能性もあるほか、メーンバンクを中心に、銀行側も過剰な貸し付け行為がなかったかなど問題が広がることも予想される。
先月の25日に私的整理手法の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを申請していたバイオ企業の林原ですが、結局会社更生法を申請しました。
林原の場合、本業とは全く関係のない美術館や自然科学博物館といったメセナ事業や不動産の運用事業、そして京都センチュリーホテルというビジネスホテルまで抱えていて、しかも取引金融機関が30社に及ぶ中、昭和の時代から事実と異なる極めて不適切な会計処理(粉飾決算)を続けてきた(少なくとも二十数年間は金融機関をだまし続けてきた計算になります)ことに加えて、ここにきてメインバンクの中国銀行が他の金融機関に先駆けて林原から担保を取るなどしていたことも判明…。
これでは、やはり取引の浅い金融機関だって反発するでしょうし、全金融機関の同意が不可欠な事業再英ADRの申請は限りなく困難で無謀ということは既にわかっていたことではないかと思います。
厳しい言い方にはなりますが、『粉飾決算の事実が新聞報道にリークされた段階で状況は厳しい』でしょうし、もし私がスポンサー候補の立場になるならば、やはり債権債務をリセットする法的整理の段階を経て、債権債務をリセットしてからそれでも採算が合うかどうかをシビアに計算することになると思いますが、会社の言っていることが信じることができないことに加えて、非本業の売却など抜本的な対応策を打ち出すこともできなかった時点で、法的整理への道は避けられなかったのではないでしょうか…。
粉飾決算が発覚して民事再生法を申請した富山県の生産技術のケースでも、営業譲渡まで10カ月近くかかっていますが、今回は本業と関係が全くない事業も多く抱えている(メセナ事業は廃止か地元自治体や地元企業に売却でいいとしても、遠く離れた京都センチュリーホテルは売却先を探すことさえ苦労することになるでしょう)だけに、交渉にはより多くの時間もかかる可能性だってありますし、仮に再生ができたとしても、その間に貴重な人材が多数逃げだし企業の競争力が大きく落ちることにならないかが何よりも気がかりです。