ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

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スティール・パートナーズは次にどこを狙う?

2009-05-29 16:55:34 | Weblog
スティール・パートナーズの保有銘柄一覧 2009年05月29日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK028897420090528
 米系投資ファンドのスティール・パートナーズが株式を5%超保有する企業は10社となり、保有株も減少傾向にある。5月に入ってからも、日清食品ホールディングスや松風の保有株を売却し、持ち株比率を5%割れの水準まで引き下げた。大量保有報告書によると、スティールの保有銘柄の一覧は以下のとおり。
提出日   対象会社         保有比率(カッコ内は直前の数値)
09.05.28 フクダ電子           13.08(14.09)
09.05.26 丸一鋼管           7.97(10.70)
09.01.09 電気興業           8.66( 9.84)
09.01.09 高田機工           17.29(19.11)
09.01.09 三精輸送機          23.05(24.57)
08.02.27 アデランスHD        26.00(24.69)
07.11.29 ハイレックスコーポレーション 8.37(6.30)
07.11.06 ノーリツ           18.60(17.59)
07.09.14 天龍製鋸           11.36(8.61)
07.01.11 サッポロHD         19.28(18.59)

**5%以下に低下**
09.05.26 松風             4.88(10.31)
09.05.26 日清食品HD         4.1( 7.4)
09.05.13 みらかHD          2.60( 6.57)
注)持ち株比率は発行済み株式ベース。


 で、そのスティールパートナーズですが、投資先企業の持株比率をかなり変更してきているようです。
 まあ、日清食品に対しては、そもそも比較検討できる規模のインスタントラーメンメーカーもなく、いくら手ごわい投資ファンドとはいえ、攻め込み口も見つからず、残りの株式も全株売却のタイミングを図っているのではないかと個人的には推測しているのですが、いささか予想外なのが、天龍製鋸の出資比率を高め、むしろ買い上げていること。
 まだアデランスやサッポロホールディングスを買い上げるのならばわからなくもないのですが、天龍製鋸と言えば、あの堅実経営で有名な静岡銀行がメインバンクで、地元企業が大株主となっていること、従業員組合がスティール陣営に強い拒否反応を示していること、企業業績もそれ程悪くないことを考えれば、とてもスティールパートナーズが付けこむ隙もないと思うのですが、まさかこのサブプライムバブルがはじけ海外投資家が投資資金を引き上げている状況で、『純投資』もないでしょうし、一体何をたくらんでいるのか不気味ですね…。
 サッポロHDに対しては、あわよくば、海外のビール会社かアサヒビールに会社を売却して東京の不動産部門を切り売り目的、ノーリツはこちらも社内がバタバタしているので付け込む隙があるとでも見ているのでしょうか…。ハイレックスコーポレーションもそうだと思いますが、持株比率を増やされている企業は、スティールの動きをかなり警戒しているでしょうし、若干持株比率が低下したとはいえフクダ電子や高田機工・三精輸送機などスティールの持株比率が高い企業も、スティールの動きにピリピリしているのではないかと思います。

アデランス株主総会がスティール提案の取締役を承認、ユニゾンはTOBを断念

2009-05-29 16:50:46 | Weblog
アデランス株主総会がスティール提案の取締役を承認、ユニゾンはTOBを断念 2009年05月29日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK028854820090528
 アデランスホールディングスが28日に開いた定時株主総会で、筆頭株主の米系投資ファンドのスティール・パートナーズが株主提案した8人の取締役は全員が承認された。一方、会社側提案の7人のうち、国内投資ファンドのユニゾン・キャピタルからの3人を除く4人を承認。早川清社長は両方で候補になっていたため、計11人の役員が承認されたことになる。
 株主総会での結果を受けて、ユニゾンは、会社側提案の取締役と監査役が承認されるという株式公開買い付け(TOB)開始のための前提条件が満たされなかったとし、TOBを開始しないと発表。そのうえで、アデランスとの間で4月に結んだ「戦略的資本業務提携契約」を解除するかどうかを、6月5日までに公表するとした。
 一方、スティールのウォレン・リヒテンシュタイン氏は「日本のコーポレートガバナンスに新たなページを開くことになった」とコメント。今後、収益性の回復と中核事業である男性用毛髪事業の運営改革、女性関連事業の統合、北米子会社の完全統合、非事業性資産の処分加速、アデランスの自社株の消却検討などを進めると表明した。
 株主総会は、午前10時に始まり、午後1時29分に終了した。議決権行使比率は約90%。
 1号議案の剰余金の処分、2号議案の定款の一部変更は可決。4号議案の監査役の選任では、白田佳子氏は承認されたものの、ユニゾン出身の安岡徹氏は否決された。5号議案に入っていたユニゾンの株式公開買い付け(TOB)にアデランスが自社株を応募する議案は、総会前に取り下げた。




 う~ん…(滝汗 アデランスの株主総会ですが、まさかこの期に及んでスティールパートナーズ側の提案が承認され、ユニゾンキャピタル側の提案が否決されるとは思いもしませんでしたね…(絶句
 ちなみに、ユニゾン・キャピタルは当初1株1000円でのTOBを発表したものの、25日に買い付け価格を1200円に引き上げたばかり。
 確かにアデランス株の保有比率は外国人が51.1%(うちスティールパートナーズが約27%)で、個人その他が20.9%(うち創業者の根本信男氏が約9%)、金融機関が12.6%、その他国内法人が7.5%を保有していることから、外国人全てを固めればスティール側が勝利することも十分可能ですし、リーマンショック以前は株価も1500-2000円程度をつけていたことを考慮すれば、1200円という買い付け価格に不満を持つ株主もいたとは思いますが、企業再生の実績で言えば、スティールよりもユニゾンキャピタルの方が明らかに実績は上(というより、私はスティール・パートナーズが日本企業を立て直したという具体的な実績を知りません)ですし、今のような国民総不況のような状況でアデランスの株価を短期的に(1200円以上に)引き上げることは正直かなり難しいと思われるだけに、やはりこの結果には驚きを感じずにはいられません。
 もしスティールパートナーズが日本企業を支配できる可能性があるとすれば、このアデランスホールディンスとサッポロホールディングスの2社ではないかと以前から思っていましたが、これで再びスティール陣営が盛り返したわけで…。
 今回のスティール案の承認で、ますますアデランスの経営が迷走することにならないか心配ですね。

自動車部品の旭テック、米子会社が破産法 米部品大手も申請

2009-05-29 10:03:51 | Weblog
自動車部品の旭テック、米子会社が破産法 米部品大手も申請 2009年5月29日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090529NTE2INK0728052009.html
 米自動車大手の経営危機で、部品メーカーへの影響が広がってきた。28日には日本の部品メーカー、旭テックの全額出資子会社である米メタルダイン(ミシガン州)と、米フォード・モーターの旧部品製造部門であるビステオンがそれぞれ米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。ゼネラル・モーターズ(GM)の11条適用申請の可能性も強まっており、同社は法的整理に備えた事前調整を急いでいる。
 メタルダインの負債総額は9億2900万ドル(約900億円)。旭テックは2009年3月期に315億円を特別損失として追加計上、予想最終赤字は当初の2億円から233億円に増える。メタルダインは米投資ファンドのカーライル・グループや旭テックの親会社RHJインターナショナル(RHJI、旧リップルウッド)が支援、旭テック傘下から離れる。
 ホンダ元副社長の入交昭一郎氏が社長を務める旭テックは、エンジン関連の金属部品などを製造するメタルダインを07年に1320億円で買収していた。



 う~ん。ビッグ3の経営難問題ですが、経営破綻がクライスラーだけで済むのならば、部品メーカーへの影響も最小限に抑えることができると思っていたのですが、ここにきてGMも法的整理やむなしという雰囲気が強まり、アメリカではミシガン州にある旭テックの全額出資子会社の米メタルダインと、米フォード・モーターの旧部品製造部門であるビステオンが連邦破産法を申請してしまいましたね…。
 ビッグ3の経営問題は、とかく自動車会社の問題とばかり勘違いされがちですが、実はアメリカの自動車業界は、日本程明確に系列が分かれておらず、ビッグ3社全てに部品を納品している会社も多く、中にはビッグ3だけでなく日本勢を含む海外の自動車会社の現地法人にも部品を納品しているケースがあるため、部品会社が経営破綻すれば、最悪 ビッグ3だけでなく日本車など海外勢も車の現地生産が止まってしまう可能性も決して否定できませんし、それだけに、その影響は日本でかっておきたマツダや日産の経営危機以上に深刻…。
 今後、この2社の経営破綻が、アメリカでの車の生産にどのように影響していくのか注意深く見守る必要があると思います。