石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

教育と地域分権~秋田国際教養大学にその可能性を見る

2010-03-17 23:31:02 | 雑記
昨年の9月、全国行脚第1クールで秋田へお邪魔した時に、地元の方から「秋田には凄い大学がある」というお話を伺いました。「凄いってどう凄いんですか?」と尋ねると、「東大よりも難易度が高い!」と。その時は半信半疑で聞いていたのですが、今になってその記憶を呼び起こさせる「つぶやき」をツイッターで発見。あらためて調べてみると、とっても興味深い話にぶち当たりました。

この凄い大学とは、秋田の国際教養大学のことです。2004年に開校した公立大学で、学部は「国際教養学部」のみ。課程数も「グローバル・ビジネス」と「グローバル・スタディズ」の二つだけ。定員は1学年150人。2009年9月現在の在校生数は650人。これだけ見ると、単なる地方の小規模大学に過ぎません。

ところが!

やってることが、日本の大学としてはとっても革新的なのです。そのいくつかをご紹介すると:

1) 多様な入試オプション(6種類)。しかも、他の国公立大学と併願可能。
2) 特定教科だけ点数の足りない受験生には、「暫定入学」という制度を提供。
3) 一年生の時は全員が寮生活。その後も多くの学生がキャンパス内に居住。
4) 授業はすべて英語。欧米を含め、海外からの留学生が100名以上在学。
5) 一年間の留学が義務。そのためTOEFLで550点取らないといけない。
6) 教員は国際公募で、かつ3年間の任期制。
7) 24時間オープンの図書館(うらやましい!)

などなど。なかなか凄いと思いませんか?

ちなみに、TOEFLというのは米国の大学に入るために必要な英語能力テスト(私も21年前に受けました!)ですが、550点というのは比較的高いレベルの大学学部に入学するために必要な点数です。米国でも大学によっては500点で入学を認めてくれるので、550点取るというのは日本人には簡単なことではありません。そのために、留学できるまでかなりの足踏みをしてしまう生徒もいるはずで、大学を4年間で卒業できるのは45%程度に過ぎないというのも頷ける話です。欧米的ですね~。

しかし、その成果は「就職率100%」という数字に表れています。このご時世に、です。詳しくは、大学サイトのこのページと、こちらのブログを参照してください。卒業生の数が圧倒的に少ないにも関わらず、上場企業にも何人も送り出しているようです。凄いじゃないですか!ちゃんと生徒を「育てている」、そしてそれが企業からも「評価されている」ということですね。ちなみにこちらのブログでは「今の受験生に一番おススメしたい大学」として紹介されています。

私が一番、興味を引かれるのは、やはりこの大学が秋田にあるという事実。今は、大都市じゃないといい学生や教師が集まらない、大都市じゃないと就職に不利だ、大規模大学じゃないと非効率だ、と言われるような風潮があります。しかし、地方の大学でも、かつ規模が小さくても、大学としてのビジョンをしっかり持って、やるべきことをやって結果を出せば、学生・教師も集まるし、就職も出来る、ということをこの国際教養大学が教えてくれているようです。ゆくゆくは、人材を都会に送り出すだけでなく、国際教養大学を中心とした地域経済・知識拠点を秋田に育てていって欲しいですね。

私は、地域分権(主権)によるバランスの取れた日本の発展をめざしたいと思っていますが、その考えの核となるのが、大学を中心とした高等教育施設の地方分散化と知識・人材プールの多極化です。全国各地に、魅力ある高等教育施設を育て、さらに企業とのタイアップによる産学協同の実験や地域開発プロジェクトを応援して、地域に人材を育て、新たな知識を興し、産業を育成し、雇用と成長を生み出す ----- 簡単ではないでしょうが、そんな社会づくりに挑戦していきたいのです!