学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

仕事の優先順位

2018-12-09 22:09:15 | 仕事
今日もとても良い天気となりました。戸外は肌を刺すような冷気に満ちていて、師走らしい1日でした。

どんな職業でもそうですが、学芸員の仕事も色々な業務を並行して行なっていきます。施設の管理、展覧会開催、教育普及から実習生の受入など、多岐に及びます。それらの業務を順調にこなしていくためには上手な段取、つまりスケジュール管理が求められます。

私の場合、仕事を3種類に振り分けています。ひとつめは、外部から依頼されている仕事。ふたつめは、上司から依頼された仕事。最後に自分の裁量でできる仕事です。実はこれがそのまま私の仕事の優先順位になります。まずは外部の対外的な仕事から優先に、というわけです。ときおり臨機応変に動くことがありますが、基本的にそれを元に仕事をスケジュールに組んで行っています。私なりの仕事術といったところ。

新人の頃、仕事は段取八分だと上司から口酸っぱく教えて頂きました。わかっていても、なかなかうまくうまく動けないのが新人時代。怒られながら、恥をかきながら、自分なりの仕事術を少しずつ身につけて、今に至ります。

今日の冬の澄んだ夜空を眺めていたら、そんな昔のことを思い出しました。冬はちょっと感傷的な気持ちになりますね。年末も近いせいでしょうか。美術館では中堅の年齢になったけれど、いつまでも初心を忘れず、日々成長できるよう努力していきたいものです。
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マルシェを楽しむ

2018-12-08 20:33:28 | その他
今日の天気は曇りのち晴れ。日差しがとても暖かい1日でした。今朝は、冬空を舞っていたであろう、鳶の鳴き声で目が覚めました。ピーヒョロロ、と優しい声に、私の目覚めもすっきりです。

今日は休日を利用して、遠方のイベントを楽しんできました。とある広場に、キッチンカーや雑貨店などが立ち並ぶ、いわゆるマルシェのイベントです。40から50店舗ほどがずらりと並び、私が昼過ぎに行ったときにはたくさんのお客さんでにぎわっていました。キッチンカーはいずれも長蛇の列、私もずいぶん長い時間を並びましたが、ランチのメキシコ料理やチーズバーガーは、どれも大変美味しいものばかりでした。また、食後に買ったホットはちみつジンジャーはとても温かくて美味しく、身も心もぽかぽかに。なんという幸せでしょう!

そういえば、福島県のやないづ町立斎藤清美術館では面白い試みをしていて、展覧会の企画に合わせて週末カフェを開催していました(現在は終了しています)。それは館内に「実力派焙煎マイスター」をお招きし、柳津町の風景を見ながら、コーヒーを楽しめるというイベント。戸外ではないけれど、これもまた身も心も温かくなるような企画ですよね。美術館活用の一方法として、とても勉強になります。

イベントを楽しんだ後、帰り道に温泉につかって、帰途につきました。マルシェの店舗のみなさんが心を込めて作って下さった美味しい料理のおかげで、1日贅沢な休日を楽しむことができました。本当に感謝です。さあ、また明日からの仕事、頑張ろう!
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出品する作品を選ぶ

2018-12-07 21:13:11 | 仕事
師走らしい寒い1日でした。温度も下がり、湿度も下がる冬は、美術館の空調が大忙しです。

さて、今日は来年度、常設展の出品作品の選定をする仕事をしていました。あるテーマを決めて、それに関する作品を選んでいくという作業。どの作品を選ぶか、何百点というなかから選ぶのはなかなか大変です。

私は似たような題材の作品だったら、なるべく展示されたことのない作品を選ぶようにしています。それは、同じ作品を展示し続けることのリスク、具体的には劣化を防ぐ必要性があるため、はもちろんですが、お客様にたくさんのコレクションを見ていただきたい、知っていただきたいためです。よほど状態の悪い作品でなければ、お客様に公開するのが義務であると考えています。

結果、今回の常設展では古いものでは20年ぶりに公開する作品も出てきました。久しぶりにお客様へのお披露目で、作品も喜んでくれるといいな。

選定した作品を展示の図面まで落とし、だいたいのイメージが仕上がりました。これから、チラシやポスターの製作に取り掛かります。ここでも、目玉の作品と共に、なるべく図版に使われてこなかった作品を選ぶ予定です。少しでも目新しさを出したいのです。

明日は仕事がおやすみ。地域のイベントに参加して、楽しんで来る予定です。それでは、おやすみなさい。
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いいことだけのノート

2018-12-06 21:17:14 | その他
今日の天気は昨日とは変わって、冷たい雨がしとしとと降る、師走らしい寒い1日でした。

昨日のような明るい日差しに満ちた日もあれば、今日のように冷たくて暗い日もあります。私たちの日常も、そんな天気の変化のように、良い日もあればそうでない日もあるでしょう。私は以前から1日の終わりに自由帳を広げて、そこに自分の好き勝手なことを書くことを習慣にしていました。1日の良いこと、嬉しいこと、悪いこと、気になっていることなどのほか、筆のおもむくままに落書きもします。すると、頭のなかが整理されたようになり、すっきりと眠れるのです。

最近はそれを改良して、1日にあった良いことだけを書くようにしています。悪いことを書いてしまうと、読み返したとき、気持ちが落ち込みやすくなるためです。悪いことは早く忘れて、良いことだけを心に取り入れる。すると、気持ちがとても前向きになります。また、日々起こる物事もプラス志向で捉えられる気がしています。

今日はお客様から温かいお礼のお電話をいただきました。美術館に行きたいが高齢でとても行けそうにない、ついてはせめて美術館のチラシを読んで行った気持ちになりたい、とのご連絡を受けて、早速チラシをお送りしたところ、大変に喜んで下さったのです。美術館のチラシをご覧になって幸せな気持ちになられたそうで、私自身もとても幸せな気持ちになりました。ありがたいことです。何気ないことですが、美術館がこうしたお客様に支えられていることを実感します。

戸外は暗くて寒し、されど心の中は明るく温かく。明日も良いことがありますように。

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来年の展覧会は何を見る?

2018-12-05 21:02:42 | その他
今日も引き続き暖かい1日でした。天気も良くて、心持ちも自然と明るくなりますね。

師走に入り、書店の雑誌コーナーには、2019年の博物館・美術館の展覧会ガイドがちらほら見受けられるようになりました。私が勤める美術館にも、展覧会ガイドが届き、ぱらぱらとめくって見たのですが、来年も楽しみな展覧会が全国でいくつも開催されそうです。

私がぜひ行って見たい展覧会は、奇想の系譜展(東京都美術館)、グフタス・クリムト展(東京都美術館、豊田市美術館)、岸田劉生展(東京ステーションギャラリー、山口県立美術館、名古屋市美術館)、河鍋暁斎展(サントリー美術館)、新・北斎展(森アーツセンターギャラリー)などです。特に琳派との関連性があるとされるクリムト展は気になりますね。新・北斎展も、森アーツセンターギャラリーという現代美術の舞台で、どんな風な切り口で北斎が取り上げられるのか楽しみです。

かくいう、私が勤める美術館でも、来年の展覧会に向けて順調に準備が進んでいます。展覧会はおよそ2、3年前から計画されるもので、いよいよお披露目のときがやって来るわけです。たくさんのお客様にご覧いただけるよう、より良い展覧会を目指して、開催まで頑張りたいと思います。

今宵も更けてまいりました。それでは、また明日お会いしましょう。
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展覧会の取材対応

2018-12-04 19:55:38 | 仕事
今日は師走の割に暖かい1日でした。朝一番で外出も、コートは羽織らずともよし。寒さひと段落、といったところでしょうか。

今日は新しく立ち上がった展覧会について、メディアによる取材対応をしました。立ち上げた展覧会を、より多くの方にご覧いただくためには、広報活動は欠かせません。なかでも、効果が高いのが、テレビや新聞。メディアの方には、いつも御足労をいただいて、記事にしていただいています。本当にありがたいことです。

広報活動というと、最近の美術館はSNSによる情報提供を積極的に行っています。FacebookやTwitter、Instagramなど。チラシやポスターだけではない、新しいかたちの広報活動ですよね。しかも無料でできるというメリットもあります。ただ、私が勤める美術館ではSNSでの情報発信はしつつも、テレビや新聞のメディアをご覧になっていらっしゃるお客様のほうが多いようです。広報活動のターゲットをどの年齢層に絞るのかも、考えなくてはいけない大切なことかもしれません。

私がまだ新人の頃、NHK教育テレビ「新日曜美術館」のアートシーンで展覧会を数分取り上げていただいたことがありましたが、当日から1週間程度は、ものすごい数のお客様にご来場いただくことができました。自分が担当した展覧会を大勢のお客様にご覧にいただけて、心から嬉しかったことを覚えています。

今回の展覧会もたくさんのお客様にご覧いただいて欲しい、との願いを込めまして、取材対応させていただきました。どうか願いが叶いますように…。
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温泉でリラックス

2018-12-03 21:37:38 | その他
今日は久しぶりの曇り日で、ときどきぱらぱらと雨が降る1日でした。

今日は休日なので、近くの温泉に浸かってゆっくり休んできました。私は長時間、温泉に入っていられないたちで、というのは、熱いのが苦手なので、すぐにのぼせてしまうからです。でも、今日の温泉は比較的ぬるま湯で、私としてはありがたく、のんびりと心ゆくまで楽しむことができました。

温泉、ではないけれど、お風呂を題材とした美術作品では、小倉遊亀さんの《浴女 その一》が有名ですよね。私も何度か本物を見たことがありますが、あの水のぐにゃりとしためまいがするような空間の捉え方が特徴です。お風呂に入浴または入浴しようとする女性を描こうとすると、どうしても女性の色っぽさを強調しがちになるのですが、この作品はそこに目を行かせないのがすごいところ。作者のやりたかったことは、やはり水の揺らぐ空間表現にあると見て良いのでしょう。

温泉場は平日にも関わらず、お客さんでいっぱいでした。賑やかな温泉場に来ると、元気が湧いて来るような気がします。さて、明日からまた仕事です。頑張って行きましょう。
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収蔵庫の整理

2018-12-02 22:06:39 | 仕事
今日も引き続き晴れました。紅葉もだいぶ終わり、路面の落ち葉が風に流れてカラカラ音を立てています。

年末が近いこともあり、今日は美術館収蔵庫の整理をしました。美術館収蔵庫は、一般のお客様がまず足を踏み入れないところですが、この部屋は作品を保管、保存するための部屋で、温度20度、湿度55%前後で24時間管理されています。一定の温湿度を保つことで、作品の劣化やカビなどを防ぐ環境にあります。

今日の仕事は収蔵庫内にある作品の確認と整理。密閉された空間なので、作品がどこかに行ってしまうことはあり得ないのですが、展覧会や他館への貸出などで、作品が移動しますので、所定の位置にきちんと作品があるか一通りの確認です。不思議なことですが、収蔵庫内で作品を見ると、展示会場で見るのとは違い、なにか作品自体がリラックスしているような感じを覚えることがあります。よそ行きの顔ではないといいますか。ちょうど人間も内と外で違う表情を見せるのと似ているのかもしれません。作品の立場としては、展示されるのが嬉しいのか、収蔵庫にいるほうが嬉しいのか、どちらなのでしょうか?

明日は月曜日でおやすみ。特に予定もなく、ゆっくりするつもりです。それでは、今宵も更けてきました。おやすみなさい。
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サントリー美術館「扇の国、日本」展をみる

2018-12-01 22:20:42 | 展覧会感想
今日も見事に晴れて良い天気となりました。朝の冷たい空気がとても心地よい毎日です。

サントリー美術館で開催中の「扇の国、日本」展を見て来ました。扇、というアイテムから見た日本の美術を紹介したとても面白い着眼点の展覧会です。扇の役割は単に風を起こすためだけに非ず、呪術、メモ帳などに活用されたほか、美術としては、扇がパッと開くイメージから、華やかな物語性を持つ意味合いとして用いられたようです。また、屏風に描かれた扇はデフォルメされているものがちらほらあり、非常に装飾的な役割も担っていたようです。扇のなかに描かれた源氏物語、源平合戦などの一場面は、まるで幻燈でも見るかのよう。

歴史のなかで私が驚いたのは、古来より扇が日本の重要な輸出品となっていたこと。贅を凝らした扇にはブランド力が備わっていたのですね。展覧会では、豪華な、というより、たぶん一般の人々が用いる扇の製作場面を描いた屏風、それは小さな家で男女それぞれ役割分担して扇を作っている姿を捉えたほのぼのとする作品も展示されていました。日常を捉えた貴重な作品ではないでしょうか。

扇の奥深さをとても堪能できる展覧会です。私は長沢芦雪の扇2枚が可愛らしくて好きになりました。機会がありましたら、ぜひご覧になって見てはいかがでしょうか。
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