学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

トルーマン・カポーティ『花盛りの家』

2010-02-25 20:40:10 | その他
今日は展覧会の準備でバタバタする一日…立ったり屈んだりを繰り返したせいで、膝が痛くてしかたがない。明日の筋肉痛は間違いなさそうです(苦笑)

さて、近頃はなかなかまとまった読書の時間が取れないので、短編ばかり読んでいます。昨夜読み終えたのは、トルーマン・カポーティ『花盛りの家』。村上春樹さんの訳です。主人公のオティリーは、幼いときに父は家を出、母は死に、粗野な農民一家に預けられますが、ひどい目に合わされる毎日を送っていました。そうして今では娼婦。そんな人生でしたから、オティリーは恋を知らない女性なのです。ところが、目の前にとある男性が現れて…。

出だしは何気ない調子でスタートしますが、途中から幻想味を帯びてきて、先が読めない展開になってきます。死んだ人間の気配を感じるというのは怖い…。また、オティリーは紹介したとおり、悲惨な幼少期を過ごしていますが、性格として陰りのある女性としては描かれずに、むしろ闊達な女性として描かれます。人生を楽しむ、とまではいかないのでしょうが、この明るさはどこから来るのでしょうか。たくましさすら感じます。

私はこれまであまりカポーティを読んだことはありませんでしたが、面白い小説でした。今は《ティファニーで朝食を》を読んでいます。今までにない世界を楽しむことが出来て、とても良い作家、小説と出会えたなあ、と縁に感謝です。

●トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』村上春樹訳 新潮文庫 2008年

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