私は年に1、2回、岩手県は盛岡の街を訪れて、北国の空気を楽しみます。街の真ん中をゆらりと流れる北上川、雫石川の両川、遥かなる岩手山、苔むす盛岡の古城、そのどれもが私にとって魅力的です。
けれども、盛岡に来たことを強く実感させてくれるのは、岩手県立美術館で所蔵している舟越保武の彫刻です。あの世にも美しい女性たちのほほえみが、まるで私の再訪を歓迎してくれているかのように感ぜられるのです。と書くと、私に妄想癖があるように思われそうですが、こういう作品との付き合い方があっても悪くないかなと(笑)
付き合い方、という点でもう1つ。岩手県立美術館の常設は充実していて、特に舟越、松本竣介、萬鉄五郎は別室でもって紹介されています。私は萬鉄五郎室へ入り、何点かの自画像を見てゆく。代表作《赤い目の自画像》、これを長く見ていると眼が痛くなる。とにかく赤が強い。何といっても自画像の目の中まで赤いですから、これはおだやかでない。以前見たとき、私の精神状態は非常に疲れていました。そのせいか、萬のこの絵と自分が重なり合って、この自画像は萬でもあり、私でもある、と感じたのです。ところが、今になって絵の前に立って眺めてみると、どうも笑ってしまいたくなる。絶望感がありすぎて、逆に滑稽に見えてしまったのです。絵を見るときの心境によって、ものの見方が大きく変わることを久しぶりに実感しました。ただ…これは萬の新しい切り口になるかもしれないという、不確かな感覚も同時に持ちながら…。
岩手で見たもの、舟越と萬。次に来たときにも、舟越の彫刻は歓迎してくれるでしょうか、萬にユーモアを感じるのでしょうか、怖くもあり、楽しみでもあります。
けれども、盛岡に来たことを強く実感させてくれるのは、岩手県立美術館で所蔵している舟越保武の彫刻です。あの世にも美しい女性たちのほほえみが、まるで私の再訪を歓迎してくれているかのように感ぜられるのです。と書くと、私に妄想癖があるように思われそうですが、こういう作品との付き合い方があっても悪くないかなと(笑)
付き合い方、という点でもう1つ。岩手県立美術館の常設は充実していて、特に舟越、松本竣介、萬鉄五郎は別室でもって紹介されています。私は萬鉄五郎室へ入り、何点かの自画像を見てゆく。代表作《赤い目の自画像》、これを長く見ていると眼が痛くなる。とにかく赤が強い。何といっても自画像の目の中まで赤いですから、これはおだやかでない。以前見たとき、私の精神状態は非常に疲れていました。そのせいか、萬のこの絵と自分が重なり合って、この自画像は萬でもあり、私でもある、と感じたのです。ところが、今になって絵の前に立って眺めてみると、どうも笑ってしまいたくなる。絶望感がありすぎて、逆に滑稽に見えてしまったのです。絵を見るときの心境によって、ものの見方が大きく変わることを久しぶりに実感しました。ただ…これは萬の新しい切り口になるかもしれないという、不確かな感覚も同時に持ちながら…。
岩手で見たもの、舟越と萬。次に来たときにも、舟越の彫刻は歓迎してくれるでしょうか、萬にユーモアを感じるのでしょうか、怖くもあり、楽しみでもあります。
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