学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

東京都現代美術館Ⅰ

2011-07-07 19:44:37 | 展覧会感想
休日を利用して、東京都現代美術館へ行ってきました。

現在、東京都現代美術館では企画展として「名和晃平-シンセシス」展と「フレデリック・バック」展が開催されています。

今日のブログは「名和晃平-シンセシス」展の感想です。


この展覧会、会場の始まりからして何かしら引き付けるものがありました。というのは、展覧会を2度楽しんで欲しいというメッセージが、私たちを迎えてくれるからです。

会場にはキャプションや解説は一切付けられていません。そこでこんな鑑賞方法を提案しているのです。
①最初に見るときは頭のなかをまっさらにして作品を見る。→自分の創造で楽しむ。
②2度目は、解説シートを読みながら見る。→作者の意図をつかむ。
 (展示会場は一巡したら、入り口に戻れるように導線が組まれています。)

こういう展示の仕掛け方、そして鑑賞方法の提案は面白いですね。あとは名和晃平さんの世界を存分に楽しむ。

プリズムのボックスにあるサボテンやパン、靴などの物体。物体は見えるけれども、角度を変えるとおかしな形になったり、見えなくなったりする。

剥製を大小の水晶の玉で覆ってしまう。(壁面に掛けられた小さな鹿?の剥製。斜めの角度からみると、目のところの透明な水晶が黒くなって見え、かわいい感じになっていました。名和さんの遊び心なのでしょうか)

展覧会終盤にある暗闇のなかでシリコンがボコボコとあわ立つ作品を見ていると、私は生きものの細胞を間近で見ているような心地になりました。細胞は日々更新されていく、けれどもとても高い放射能を浴びるとそれが更新されなくなっていく…ずっと昔に聞いた記憶が私の頭のなかをよぎり…。

展覧会の最後に、解説シートが置かれています。それをもって再び展示室へ。作者の意図は、ぜひ展覧会をご覧頂きましてのお楽しみに。

見て、考えて、体験して楽しめる面白い展覧会でした。オススメです。

明日は「フレデリック・バック」展をご紹介します。

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