学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

大地の芸術祭(もぐらの館)

2015-08-19 21:20:07 | 展覧会感想
今日からブログは、再び「大地の芸術祭」です。

《下条茅葺きの塔》を見ていたとき、ボランティア解説員から強く勧められたのが《もぐらの館》でした。なんでも、その解説員が仲間たちと酒を酌み交わしたときに、今回の「大地の芸術祭」は《もぐらの館》がすごい、と大盛り上がりになったらしい。解説員のアドバイスをありがたく頂戴するとともに、地元の人たちがアートをつまみに酒を交わすことの豊かさに驚かされました。

私たちは解説員から勧めていただいた《もぐらの館》へ向かいました。

街道から外れて、山の中をうねうねと入ると、閉校した小学校へたどり着きます。

校舎の前に、まるで学校の主のような存在感を持つ大平和正さんの《風環元「球体01」》が、でんと構えています。

ぜひ近くで見てみなければ、と車から降りると、やはりすさまじい暑さ。暑くて頭がくらくらする。

じっくりと見たいのですが、体調と相談して、まずは屋内から。校舎の廊下及び壁面は土だらけ。まるでモグラの巣のなかへ入って行った気持ちになる。各教室ごとに作品が展示されていて、「土」という素材の可能性をどこまでも感じさせてくれます。特に《土壌モノリス》は、いくつもの土地ごとの地層を縦長のケースに取り入れて作品にしたもので、私たちが踏みしめる土壌の色彩、風合いなどに意識を向けさせてくれるものです。

屋内を巡った後、再び《風環元》のもとへ。間近で見ると、やはり大迫力。円でありながら、転がるような不安定さというものはまったくなく、どっしりとしています。かといって、決して我が強いわけではなく、木材の風合いが周りと調和して、あまり違和感なくそこに存在している。不思議…。

解説員からお勧めいただいた通り、とても楽しむことができた場所でした。

次は光の館周辺をご紹介したいと思います。