学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

林檎と正岡子規

2010-12-07 22:06:29 | その他
 祖父から小包が届いて、蓋を開けてみると、美味しそうな林檎が入っていました。うれしい、と思いながらも、一人で食べるにはちと多すぎる量に驚きました。なんと16個!

 明治時代の俳人、正岡子規は果物好きで有名でしたが、明治29年の著書『松羅玉液』(しょうらぎょくえき)において、林檎にまつわる記述があります。

「林檎は北海の産を最上とす。歯にさわれば形消えてすずやかなる風ばかり口の中に残りたる仙人の薬にも似たらんか。」

 林檎を食べたくなってきますね。また、著書『くだもの』(明治34)には色彩についても次のように述べています。

「林檎に至っては一個の果物の内に濃紅や淡紅や樺や黄や緑や種々の色があって、色彩の美を極めて居る。」

 林檎がどれだけ素晴らしい果物なのか。子規の言葉を念頭に置いておれば、数日林檎を食べ続けても決して飽きることはあるまい。そう思っていたら、実は同じ『くだもの』のなかで、林檎のように酸味の少い汁の少いものは、2、3日続けて食べるとすぐに飽きがくる…と子規が述べているではありませんか。どうにも参りました。

 林檎、とても美味しくて、私の好きな果物のひとつですが・・・しばらく、朝、夜と林檎三昧の日々が続きそうです。