諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

年の果て残日録

2012-12-25 22:05:15 | 日記・エッセイ・コラム

 “はらわたの紆余曲折を年の暮れ” (中原 道夫) ▼ カレンダーは余すところ数日となりました。(←凡々なる日々でして、振り返る事柄ありません 「近いうちに~」 何かを残そうなんて思っておりましたが、「年の果て」になりました。▼ 流行語大賞が、「ワイルドだろう~」 何がそうなのか良くわかりません。変な「口車」に乗せられた感じです。

ー残日のⅠ章ーー

ー「ワイルドだろう~」って、こんな感じ?でしょうか~

20121109_006 ▲ カマキリ 【蟷螂 鎌切】 三角頭に大きな“複眼”。学名 「mantis 」は、「預言者」の意。 拝み虫(おがみむし)。民間伝承から、イボを取ってくれるくれるとされ、いぼむしり。*写真のカマキリは、その色から「枯蟷螂」(かれとうろう)と呼ばれているが、生まれもった色で、緑色から変化したのではない。 (11月15日撮。小春日、陽だまりの草はまだ緑) 

枯蟷螂 鎌あげしまゝ 突き刺され ー夢蔡ー

 ー 「突き刺され」→ モズは、獲物を木の枝に突き刺して、“はやにえ”(速贄)を作る習性がある。(広辞苑) *何事も用心が“肝要”と言う意味を込めて、川柳といしました。ー夢蔡 拝ー

ー 残日のⅡ章ーー

冬の虫 変身せしは 誰なるや  ー夢蔡ー

20121114_039_2 ▲ 庭の小隅の陽だまりに咲いた【冬しらず】の花芯に取り付き、花粉をかじる蛾(冬の蛾 「シャクガ」?)の幼虫。(←写真は、立冬の頃、陽だまりの加減が良く、越冬するべき卵から孵ってしまったか~。) *【冬しらず】→「キンセン花」の近縁種。地中海原産。原名は「カレンデュラ」、始めは、園芸種として、今は野生化 (←寓居の窓前では・・) よく寒咲きする。

ーー“変身”考ー①ーー

フランツ・カフカー「変身」 「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目を覚ますと、自分が寝床の中で、一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。・・」 ▼ グレーゴルは、自由に生きたいと願う。しかし、現実はままならない。「焦燥」「苦悩」「破滅的意識」がつきまとう。自己の“存在”は、閉塞的状況では、「悪夢」にしかすぎない。(←カフカは、ヨーロッパ社会の異邦人=ユダヤ人。その出自が、色濃く影をおとす。) *「変身」は、不条理な状況ゆえで,自ら望んだものではない。

その②ーーー

“轉生を信じるなれば鹿などよし” 不治の病であった結核と闘った俳人斉藤空華。「輪廻転生」があって、生まれ変われるのであれば、「鹿など」でもいい。(←「など」と句を結ぶのは、何だっていいから生まれ変わって生きたい儚い表情が透いて視える。<塚本邦雄解説>) * 「変身」願望は、生への執着である。

その③ーーー

「欲はあらゆる種類の言葉をはなし、あらゆる種類の人物の役を演じ、無欲の人物まで演じてみせる。」(ラ・ロシュフコー箴言集ー34) *この「変身」は、時に傲慢である。しかし「どれほど念入りに敬虔や貞淑の外見で包み隠しても、その情念は、必ずその覆い布を透してありありと見えてしまう。」 (同箴言ー12)

ー 残日のⅢ章ーーー

独り居の 老女陽に座す 花やつで ー夢蔡ー

20121117_24w_032 ▲ はな-あぶ 【花虻】が、 やつ-で 【八手】の多数球状の小花の蜜を吸っている。羽音高く、複眼が日の光りに輝く。やつでの花は、初冬に咲き始める。

ー昆虫の地球上での成功は、「① 軽くて薄い翅を獲得し、高い運動能力を実現した。②変態(卵ー幼虫ー蛹ー成虫)することで、成長と繁殖を分離して、効率的な資源利用を可能にした。③花をつける植物(被子植物)と共生関係を結んだ。」ことによる。(「昆虫ー驚異の微小脳」 水波 誠 中公新書) ▼ ①~③を実現するための機関の一つとして「複眼」を開発した。「複眼」は、前後・左右・上下の360度をカバーし、アクロバット飛行を可能にする。自分を中心にしたパノラマの視界で生きている。(←600mを越えるスカイ・ツリーから、人は何を見いだすのでしょうか?ー

ー開発競争をして、「エコだ~、エコカーだ~!エコ的資源利用だ~etc」とか叫ぶ昨今の人間社会とは何なのだ、と考えさせられます。昆虫はとっくにやっておりますのに~!▼ 人間も「昆虫」の如く生きろと申しません。しかし、人間も昆虫も地球という同じ生態系を利用して、今日に至っております。「人間」対「自然」 この「対立概念」を根底から問い直す時ではないでしょうか。マヤの予言とその騒動のことは絵空事でしょう。しかし、現代社会へのアイロニーが底流にあります。ーー

      ーーー残日録ーー<了>---

  

  


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