諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

冬に入る沼 Vol,2

2012-11-30 21:18:39 | 日記・エッセイ・コラム

 あたゝかき十一月もすみにけり (草田男)  ▼ 霜月ーいきなりの“大陸性大寒気団”襲来です。(←11月中頃の予想は、暖冬傾向だったけど) 日中の気温10℃位ですと、身が縮み、活動力が低下いたします。(←東北・北海道の方々の苦労は半端ではありません・・)▼ この程度の寒さは、身が引き締まってイイと言う人もおりますもので、気候にも、“好き嫌い”と言う主観的要素が入りますかナ・・

公園の 小路に落ちし まてば椎(しい) 踏み砕かれて 生命(いのち)(しま)いぬ ー夢蔡ー

20121109_035_2 ▲ 【 マ テ バ シ イ 】 「“まてばじひ” 実は、3cm程あり“椎の実”より大きい。生まのものは渋いが、煮るか炒れば食べられる。南国の子供達は、この実をとって、コマを作って遊ぶ。葉も実も椎ずっと逞しくむしろ樫にちかい。」 (虚子編 新歳時記「花鳥諷詠」より) ▲ 「“待てば椎”になれます」、との俗説あり。(掲載写真は、11月15日頃に撮ったものです。) 

抜き足の 腹へり鷺や 冬ざるる ー夢蔡ー

ちゃぶ台かこみ 円(まる)き団欒(だんらん) -群峰ー

20121117_006_2 ▲① 冬になると、沼の水はすくなくなる。(←稲作用の灌漑用水の溜め池だから、ここまでは普通。) ▼ 大規模土地改良が実施されると、田圃の様相が一変する(←沼の水の利用価値が低まった。) 川から水を引き込んだ “溜池”には土砂が溜まる。*かい-ぼり 【掻い掘り】 (広辞苑・参) (←今は 死語 となりました。 )

過ぎたるが 及びおよびて メタボかな ー夢蔡ー

貧しさ分かつ 時代(とき)の哀しさ ー哀史ー

20121117_015 ▲② カルガモの食事する姿。沼のカモ達は、一ヶ所にねらいを定め、数羽~十数羽が集まり、沼底の土を嘴と足を使って回転してかき回します。水底の冬芽となった浮き草、時にはドジョウが口に入るのでしょうか。--

20121117_013 ▲③ 離れた所から、見ていた鷺は、脅かしながら近づき、浮き上がった“エサ”を横取りします。(←沼底の生態系は貧相なので、結果は悪そうですが・・・・。)

20121117_016 ▲④ サギには、カモの芸当は出来ません。「 オマ~エー 怠けていないで、早く回れヨ~

“へら鷺や水が冷たき歩き様” (一茶)  ▼ 小林一茶も、江戸←→信州を行ったり来たりの“歩き様”。身をかさねた俳句に感じ入ります。 

20121117_012 ▲⑤ 「現在は農業用水ばかりでなく、景観等、多数の生物の棲息繁殖地として、生態系の保全に欠かせない地域資源です。」 (←沼の看板より)

だったら~ どうして~こんなに腹がへるのかナァ~

近頃では、本来は内陸の沼川に棲息するコサギが、海岸付近に進出して、養殖生簀の網にふらふら不器用に止まって、浮き上がる魚を狙って姿が見られるとか・・。とかくこの沼川は住みにくいーのでしょうー

 十一月 (November)  一個の疲労困憊を十二分したものの第十一番目。 (ピアス「悪魔の辞典」より)

          ------ <了>ーーーー

 


川の辺の道 レクイエム

2012-11-25 18:02:18 | 日記・エッセイ・コラム

  “むこう岸十一月の猫走る”(小宅容義) ▼ 梅雨明け以来、 “川の辺の道”(←粕川土手)は、夏雑草(←特に葛・、アレチウリのツル、コセンダン草)が、大繁茂していて、人を寄せ付けない。▼木枯し一号の過ぎ去った初冬の日、雑草群落には、もはや、その勢いを感じなかったので、登り歩いてみた。 川岸は、草もみじ一色であった。歩ことしばしー、この辺りでは、ついぞ見かけたことがない、二三株の“花茎”に出会った。ー

木枯しの 吹き去りし野辺 冬ぬくし 何処(いずこ)より来(こ)し 吾亦紅‘映(は)ゆ’ 夢蔡

 ただし、いつもの散歩の“友”もうは居ない    (*原注ー「映える」=生える)

20121117_24w_010 ▲【 ワ レ モ コ ウ 】 吾亦紅・吾木香。秋の高原・山野に生える多年草。花は、直立した穂状花序。▼ 「吾も亦(また) (くれない)なりと ひそやかに(虚子)」 花言葉ー「愛慕」ー

冬麗(ふゆうらら) ほほけゆるるや 枯れ尾花 先ゆく君の 姿失(う)せにし ー夢蔡ー

20121117_27_016 ▲ ほほけ芒穂は、はや傾き始めた“ぬくき冬”の陽に薄赤く染まった。「ほ ほ け」・・→「 この旅死の旅であろう ほほけたんぽぽ 」 ▼ 漂泊に生きた俳人 “山頭火”の句を原歌としました。

人間(ひと)ならば 齢(よわい)九十 過ぎし犬 鎖なき世に 走り去りしか ー夢蔡ー 

20121114_016 ▲ 初冬の森の公園は、カエデの紅葉が盛りであった。公園北門にある犬と“子供の絆”的モニュメント。

 「山茶花(さざんか)や いぬころ死んで庭淋し」ー尾崎放哉ー 

 ▼ 「人は毎日食べたり眠ったりすることには退屈しない。空腹はまた生まれるし、眠気もそうだからだ。さもなければ、退屈するだろう。だから、精神的なものに対する飢えがなければ、人は退屈する。・・正義への飢え。(←少しばかり、重たいけど~))・・・・(以下略す)<パスカル「パンセ」-264> (*略の部分は、キリスト信仰上のことなので、要約はできません。“引用は良いとこどり”、あしからず。)

▼ 愛犬との散歩は、午後4時頃と決まっていた。今、“空白の時”である。

人間(ひと)ならば 齢九十 過ぎし犬 木枯し一号 やまぬ夜に逝く ー夢蔡ー

       

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高津戸峡 散策

2012-11-22 22:10:39 | 日記・エッセイ・コラム

 “ 紅葉かつ散りて神さびたまいけり ”(清原枴童) ▼近郷の総鎮守 “神明宮社”の境内をぬけると、“高津戸峡”への小路である。 まだいくぶん緑色を残している榎、濃紅に色づいた楓、早くも散り始めた欅、木々の紅葉には遅速がアある。小路は、これらの間を曲がりくねりながら、渓合に向かってくだっている。ーー

鳥寄(とりよ)せの 口笛うまき 友ありて ほほじろ啼くを 聞きて憶(おも)ひし ー夢蔡ー

20121110_016_2 ▲ 鳥の声 風の音 渓のせせらぎ 木漏れ日 心を開放して 静に散策してください。(←小路の入り口に立ててある看板)

鵯群(ひよむ)れは 声ごえ放ち 木々の間に 高津戸峡は 紅(あか)き彩(あや)なす ー夢蔡ー

20121110_008 ▲ 足尾山系に源流をもつ “渡良瀬川”は、高津戸の狭く切りたった谷合をしばらく流れる。やがて、平野部に出る。数十キロ(桐生→足利→佐野・藤岡→)下り、“渡良瀬遊水地”(旧谷中村跡)に至る。

ーー<閑話 休題>ーーー

 渡良瀬遊水地の建設は、日本の公害問題の「原点」とされる。問題の発端は、“足尾銅山”の「坑内から出て来る硫酸銅を含んだ水をそのまま、流し込んだ」ことにあった。(←当時の政府委員の説明) ▼ 他に、鉱山から出た数千万トンのいわば「排泄物」は、付近の谷間に捨てられていた。鉱山会社が造った「堆積場」は地形上、山の急斜面にあった。←▼ために、「豪雨ひとたび至り洪水氾濫すれば、鉱毒は排水溝や浄水装置を素通りしてしまう。」  時の政府は、鉱山の技術・諸設備の根本問題に迫らず、廃棄物の最終処分=「鉱毒問題を葬るため 谷中村を“遊水地”とした。」(←荒畑寒村「谷中村滅亡史」より)

ー美しい渓谷の裏側にあった「稗史」でありますが・・。ー カタイコト言い過ぎました。写真にモドリマ~ス。--

川波の 寄せる岩場に 降りたちて 這うごと進み 汗砂にしむ  ー夢蔡ー

20121110_010 ▲ 渓谷東岸は、整備された遊歩道である。約200段の階段を下りる。歩道をそれると、狭い砂地があり、その先は大岩石が幾つもあり、川波が白く砕けている。

波砕く 巌に川鵜 動かずに 病みておりしか 目のうつろいて ー夢蔡ー

20121117_21_013 ▲ 川鵜の写真 PC入力時に失敗。川鵜の居た岩場を上から見る。

20121117_21_017 ▲ 遊歩道に戻り、更に進む。今度は、100段ほどの上り階段である。陽は西に向かいつつある。カエデ紅葉が鮮やかに映える。

20121110_017 ▲ 遊歩道は、渓谷の一部(約1キロ)を回周して、神明宮の反対側に出て終わる。

ーー脚に張りがきています。歩き具合からすると、500キロカロリーは、消費したかナ

谷道や 木漏れ日ぬくし 蔦もみじ ー夢蔡ー

手に手を坂道 *いい夫婦らし ー夫婦善哉ー

 *注ー11月22日 「いい夫婦の日」ーー だってー

 ”マッチ擦るつかのまの海に霧ふかし身捨つほどの祖国はありや”*1970年代、寺山修司の歌であります。(←すこしニヒルではありますが、若さとは、このくらいの問いかけを持つことが許されるでしょう~!。) 「鳥寄せの口笛上手い友・・」を想ったように、頭をよぎりました。

       --高津戸峡 散策ー<了> ーー


冬に入る沼から - vol,1

2012-11-17 22:10:55 | 日記・エッセイ・コラム

 菊刈りてそのよきを挿す今朝の冬(虚吼) ▼ 立冬(11月7・8日頃)から、早くも10日たちました。関東平野の里山辺りは“紅葉の盛り”と見とれていれば、いきなり“北の寒気団” に襲われてふるえます。秋・冬が混在している日々であります。

 短日や 白く光りて 鷺立ちぬ ー夢蔡ー

 野末の紅(あか)き 柿を数えむー散歩人ー

20111104_016 小春日に沼の水面は静です。微風がサギの羽をそっと吹きたてております。〈*11月7日 撮影〉 ● 沼の辺の路端に、一本の柿木があります。実は、たわわについております。“ガキ大将”が、健在だった頃であれば、放っておかなかったでしょう。ー

  ーー<  >ーー

陽に透(す)けし 桜紅葉の 下を行く ー夢蔡ー

赤きほっぺた 幼日(おさび)遥けし ー草子ー

 【  を手にして、短歌一首を試みました。】ーー 

赤き葉を 栞(しおり)に読みし 山家集 捨てた憂き世に 惑うや西行  ー夢蔡ー

20121109_022 ▲ 沼東岸は、西北の風の通り道である。寒暖の差が大きくなり、サクラ葉が、鮮やかに紅葉する。--春爛漫の花の色に比べても遜色ありません。ーー   

 ー 西 行 和歌 寸考ーー

 “何事にとまる心のありければ さらにしもまた世の厭(いと)はしく ”(山家集・雑729)ー{意訳=まだ何かに執着が残っているのかナ~? せっかく出家したのに、まだ捨てきれない想いが残っていて、この世が厭わしくなります~#}

 “ 花に染む心のいかで残りけん 捨て果ててきと思ふ我が身に ” (山家集・春76)ー{意訳=花の色に心がすっかり染まっていて、花に執着する身についたままだ~!出家して、すっかり捨て果てたとおもっていたのに→!}

 西行が、出家したのは、何かの“勢い”でそうしたのかどうか、解っておりません。しかし、その“達成感”は、どうも得られなかったようです。(←*上記の引用の歌が、そう言っております)  時々、捨てたはずの都を訪ねたり、恋を匂わせる歌を作ったりで、後世、西行特有の「嘆き節」=「繰り言の歌」と言われる所以であります。(←正岡 子規は、こうしたウジウジした心情の歌にすご~く 苛立っております!。)

 「若すぎると正しい判断が出来ない。年をとりすぎても同様である。考えが足りない場合にも、考えすぎる場合にも頑迷になり、自覚を失ってしまう。」と パスカル は申しております。(「パンセ」-381)

 心すべきです日々を反省に生きるってこと~か~

          ーー本日は-<>ーー


行く秋や vol,2

2012-11-06 20:42:13 | 日記・エッセイ・コラム

 行く秋の草にかくるる流れかな ー白 雄ー。 ▼ 土堤管理の草払いのタイミングが、ずれるせいか、毎年、“植生”が変わります。今年は、土手の西北から南東にかけて約500m程が、“コセンダングサ”の大群落になっております。もうすぐ花が終わると沢山の“種子” がつきます。うっかり踏み込むものなら“ひっつき虫”が身体じゅうに “ひっつく ー 大変なことになります”ー *注・写真参)

高空の 雲を払うや 花芒 ー夢蔡ー

西日まぶしく 小手かざし行く ー流 想ー

20121101_009 ▲ 秋の七草 【ススキ】は、沼野辺の道筋のいたるところに群落ありました。かっては、荒地の代表、今や形無しであります。

秋蝶や あすより冬蝶 なりぬべし ー夢蔡ー

襲名披露で 酔いしひととき ー蕪喜人ー

1019_001_2 ▲ 【 コセンダングサ 】 の花の蜜を吸う 秋 蝶  *日和は小春。草葉の裏に潜んでいた蝶は渇きを癒します。あたりはすっかり“草紅葉”。花の期間が長いので冬越しの蝶には幸いですー

MEMO- 【コセンダングサ】は、熱帯アメリカ原産の帰化植物。要注意外来種に指定されています。--

20121107_003 ▲ 【コセンダングサ】の種子 何種類かの植物が、種子を動物などにくっつけて、その“棲息域 ”を広げる 戦略 を獲得いたしました。なかでも コセンダングサは、強力なひっつき方をいたします。ひっついてもすぐに振り落とされないように、種子の先端が二つに別れおり、釣り針のように“かえし”がついております。 

 “草じらみ”一つつまみて旅の果て(志城 柏) /   “ゐのこづち”ひとのししむらにもすがる(山口 誓子)

 日本在来種の“ひっつき虫”ー「草虱・いのこづち」は、押されっぱなしであります。

 ー やゝ寒や日のあるうちに帰るべし( 虚 子 ) 日は入りました。カラス達も 伊与久の森 帰りました。連山は闇に落ちました。ーー

きりきりと かすれこほろぎ ふゆどなり うすくひのもる まどひとつあり 夢蔡

20121101_027_2

   「DAY」ー名詞ー  その大部分は、浪費に終わるのが常である24の時間からなる一期間。・・・・” (A, ピアス 「悪魔の辞典」より)  * なお “・・・・” のところを要約しますと、「昼は仕事(雑用?)のもつさまざまの罪ために使われ、夜は別の種類の罪を犯すのに捧げられる。」 だってサーー

     --- 明日は、“立冬”ーー<了>ーー